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大切にしてくれた少年との再会を誓い、少女は時代と運命に立ち向かう。16世紀、オスマン帝国支配下のブルガリアを舞台にした切なく美しい歴史ロマンス『蒼きバルカナリア』【書評】

  • 2026.7.10

【漫画】本編を読む

大切な人と離れ離れになったとき、人はどこまで相手を想い続けられるのだろうか。『蒼きバルカナリア』(ささきさ/秋田書店)は、16世紀のオスマン帝国支配下のブルガリアを舞台に、過酷な運命に翻弄されながらも互いを求め続けるふたりを描いた歴史ロマンスである。

主人公の少女・リュカは幼い頃に家族を失い、冷たい義理の家族に引き取られ肩身の狭い生活を送っていた。そんな彼女の心の支えとなっていたのは、ともに暮らす少年・レフの存在だけだった。レフはリュカに生き方を教え、彼女を守り続けてきた。リュカにとってレフは「生きる理由」そのものとなっていく。

ところがある日、帝国軍人による「少年狩り」がリュカの住む村を襲う。支配地域の少年たちを強制的に連れ去り、兵士として育てるオスマン帝国の制度「デヴシルメ」である。レフはその対象として連れ去られ、リュカの前からいなくなってしまうのだった。やがて9年という月日が流れる。16歳になったリュカは変わらず義理の家族たちに虐げられながら、再会を誓いあったレフのことをずっと想い続け、そしてついに、彼を探し出すための行動を起こす――。

16世紀を舞台にした異国の歴史物語とはいっても難解さは一切感じないため、歴史ものが得意ではない人も楽しめるだろう。むしろ、物語全体に漂う支配される側の恐怖や理不尽さ、そしていつ誰が犠牲になってもおかしくない不安を持ちながら生きるリュカに、いつの間にか感情移入しているはずだ。

そしてやはり注目したいのがリュカとレフの恋愛とも家族とも違う特別で複雑な関係の行方だ。長い年月を経ても消えない想いは、ふたりを再び巡り合わせることができるのか。過酷な時代の中で懸命に生きるリュカの物語は始まったばかりだ。

文=坪谷佳保

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