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創作にトラウマを持つ主人公が、個性的だけどひたむきなクリエイターたちと出会い変わっていく。「好き」でいることの苦しさと尊さを描いた群像劇【書評】

  • 2026.7.10

【漫画】本編を読む

夢を持って懸命に取り組んでいたことに挫折し、一度距離を取ってしまうと、情熱を再燃させることはなかなか難しい。『創る庭』(みかん氏/KADOKAWA)は、創作に苦い思い出を持つ主人公が、個性豊かなクリエイターたちとの出会いを通じて、再びその世界に向き合っていく物語だ。

主人公・片島ひめは、「描くこと」に興味を持ち、同人イベントに憧れていた女性である。一般参加者として見ていたときはきらきらしていたイベントも、いざ創作し出品する側に回ってみると厳しい現実にぶつかってしまう。自分の作品に誰も足を止めてくれないという苦い経験をして心に傷を負ったひめは、描くことから距離を置くようになる。

そんなひめが、祖母の代理として双子の妹・ゆめとともにシェアハウスの管理人を務めることになる。ところがそのシェアハウスに住んでいる住人たちは、全員が何かを作るクリエイターばかりだった。描くことから離れていたひめが、よりによって創作の空気に満ちた場所へ足を踏み入れることになったのだ。

シェアハウスの住人たちのなかでも強烈なのが、バニーガールに並々ならぬ情熱を注ぐ萌子だ。ひめはひょんなことから、締め切り間近の萌子の同人誌の制作を手伝うことになる。ここで胸に刺さるのは、他人にどう思われるかを気にするひめと、好きなものにまっすぐ向き合う萌子の対比だ。過去の経験から創作に複雑な思いを抱えるひめは、萌子の何気ない言葉に反応し、思わず相手の大切なものを軽んじる言葉を口にしてしまう。その一言には創作から離れることにしたひめ自身の傷や、好きなものを心の奥に隠してきた苦しみがにじんでいる。そんなひめが萌子との出会いによって、どんな変化を見せるのかが大きな見どころだ。

本作は創作することの楽しさとまぶしさはもちろん、生み出すことの苦しみも描いている。今まさに何かを作っている人には共感を呼び、好きなことを諦めた人の心にも響く、にぎやかだけど少しほろ苦い群像劇である。

文=ゆくり

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