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『オブセッション 災愛』で狂気的な恋愛感情を体現したキャスト2人が語る、撮影の裏側「私たちは兄妹のような関係。恋愛的な相性ではありません」

  • 2026.7.5

全米で社会現象級の大ヒットを記録しているホラー『オブセッション 災愛』(7月17日公開)。製作費100万ドル未満ながら口コミを中心に爆発的な話題を呼び、北米の累計興収が『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』(公開中)を上回る2億ドル(2026.6/18 Box Office Mojo調べ)を突破するなど2026年の映画界を席巻している。監督を務めたのは、本作で長編映画デビューを果たしたカリー・バーカー。YouTubeで発表した長編ホラー動画「Milk & Serial」で200万回以上の再生回数を叩きだした俊英だ。

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物語の主人公は、孤独で内向的な青年ベア。想いを寄せる女性ニッキーとの距離を縮めたい一心で、“願いを叶える”という不気味なまじない「ワン・ウィッシュ・ウィロー」に手を出したことから、彼の日常が少しずつ狂い始める。純粋だったはずの想いは執着へと変貌し、“最愛”が“災愛”へと反転していく。このたび、本作でベアとニッキーを演じ、悪夢的な恋愛感情のもつれを体現した新星、マイケル・ジョンストン&インディ・ナヴァレッテのインタビューが到着。本作のサプライズヒットをどのように受け止めているのか?2人の相性やバーカー監督の仕事ぶりについても明らかにしている。

「どこへ行ってもみんな『オブセッション』の話をしている」(ナヴァレッテ)

――記録的なヒットで話題の『オブセッション 災愛』ですが、この大成功をどのように受け止めていますか?

インディ・ナヴァレッテ(以下、ナヴァレッテ)「最高の気分です!こんなに大きなことになるとは思っていませんでした。ここまでヒットしていることはすごくすてきですし、信じられないことです」

マイケル・ジョンストン(以下、ジョンストン)「同じ気持ちです。人生でずっと夢見ていた瞬間がやってきた感じです。この映画のために、僕たちはみんな本当に一生懸命仕事をしました。その努力が認められたように感じています」

――映画を観た人たちからの反応をたくさん聞いたと思います。予想外だったこと、驚いたこと、印象に残っているリアクションはありましたか?

ジョンストン「僕の友人には、ホラー映画が苦手な人が結構います。それでも僕を応援するために映画を観に行ってくれて、驚くことにみんな気に入ってくれました。『ホラー映画が好きじゃない人たちにも受けている』という話を聞きました」

ナヴァレッテ「どこへ行っても、みんなこの映画の話をしているように感じます。スーパーに行った時も店員が『「オブセッション」観た?』と話していて、もう一人が『どんな映画?』と聞き返していたんです。病院でも看護師さんに『最近、どんなお仕事をしましたか?』と聞かれて、『オブセッション』という映画に出たと答えたら、すごく盛り上がりました」

ニッキー役のインディ・ナヴァレッテ [c] 2026 Focus Features LLC.
ニッキー役のインディ・ナヴァレッテ [c] 2026 Focus Features LLC.

「観客は自分自身の人生経験とつなげながらこの映画を観る」(ジョンストン)

――特にナヴァレッテさんの場合、劇中のニッキーとは全然違うので周囲は気づかないですよね。極端に振り切ったシーンを演じるのは難しかったですか?

ナヴァレッテ「毎日少しずつ階段を上がっていく感じでした。どんどんレベルアップしていくような。最初に家の中のシーンをすべて撮影しました。それが終わると、私たちは最大の任務を終えたような気になれました。次の段階にステップアップしつつ、今日はどこまでクレイジーにやれるか挑戦するような感じでしたね」

ジョンストン「インディが言ったように、まずベアの家の中のシーンを全部撮影したんです。それが最初のほぼ2週間だったので、いきなり最もクレイジーなシーンから始まったんですよ。とはいえ、僕たちは最初に会った日から、自分たちがなにに飛び込もうとしているのかわかっていた気がします。『よろしく』とお互いに挨拶した直後には、もうキャラクターになりきって怒鳴り合っていましたね」

――エンタメなので誇張はされていますが、語られることは国境や世代を超えて共感できることですよね。

ナヴァレッテ「誰かに愛されたいというのは自然な感情。この映画では、『そのためにどこまでやるのか』というところに踏み込みます。私が好きなのは、『誰が誰に執着しているのか』という点を曖昧にしているところ。ベアがニッキーに執着しているのか、それとも、ニッキーがベアに執着しているのか」

ジョンストン「この作品には、すごく現代的で時事的なテーマや話題がたくさん詰まっていると思います。観客は自分自身の人生経験とつなげながらこの映画を観るのだと思います。正直に自分の思いを伝えなかったらどんなひどいことが起き得るのかも語っています。映画を純粋に好きだと言ってくれる人もいるし、登場人物の行動に腹を立てている人もいます。街で見知らぬ人が近づいてきて、この映画のストーリーについて深い話をされたこともありました」

ベア役のマイケル・ジョンストン [c] 2026 Focus Features LLC.
ベア役のマイケル・ジョンストン [c] 2026 Focus Features LLC.

「オーディションでマイケルとの相性を感じられてよかった」(ナヴァレッテ)

――オーディションはいかがでしたか?過激なシーンを演じたりされたのでしょうか?

ジョンストン「最初にやったシーンはなんだっけ?」

ナヴァレッテ「車のシーンだったと思う」

ジョンストン「そうだったね。それと『なぜ普通になってくれないんだ』などと怒鳴るシーン。この2つが最初に一緒に読んだシーンでした。それまで僕たちは一度も会ったことがなくて、部屋に入って挨拶をして、すぐシーンを始めたんです。終わると、監督、プロデューサー、キャスティングディレクターに『今日はありがとう』と言われ、僕たちは帰りました。インディはあの時点で自分が役を取れたと知ってた?」

ナヴァレッテ「知らなかった」

ジョンストン「僕も同じ。2人ともあとから知ったんです。僕らはそれぞれほかの俳優とも組まされてオーディションをしたのですが、インディと会った時に、『彼女こそニッキーだ』と思いました」

――2人の相性がよくなければ、映画は成立しませんからね。

ジョンストン「その通りです」

ナヴァレッテ「オーディションの段階でマイケルとの相性を感じられて、すごくよかったです。それがベアとニッキーの関係性に信憑性を与えたと思います。私とマイケルは、兄妹のような関係。恋愛的な相性ではありません。それが余計にベアとニッキーの関係を不穏にするのです」

ジョンストン「もし2人のキャラクターの間に、本当に情熱的な恋の花火があったら、こういう物語にはならなかったのではと思います。ベアの願いが叶って、物事が別の方向に進み、2人が幸せに結ばれて終わるなら、この話は成立しませんよね。2人はお互いにふさわしくないのです。それが、このストーリーの求めるものなんです」

純粋だったはずの恋愛感情は執着へと変貌し、“最愛”が“災愛”へと反転していく [c] 2026 Focus Features LLC.
純粋だったはずの恋愛感情は執着へと変貌し、“最愛”が“災愛”へと反転していく [c] 2026 Focus Features LLC.

「悪役に近いのはベアであり、ニッキーのほうがむしろ純粋」(ジョンストン)

――ベアには短い時間のなかでかなり大きな変化があります。最初は優しく傷つきやすいタイプの人で、自分の気持ちを相手に伝える勇気がない。しかし、しだいに追い詰められていき、最後には観客が驚くような行動に出ます。順番通りに撮影されたわけではないなかで、彼がその時どの段階にいるのかを演じ分けるのは難しかったのでは?

ジョンストン「たしかに難しかったです。撮影は脚本と全然違う流れでされましたが、結果的にはあの順でよかったと思っています。あの順番だったから、『ベアがいま、本当に求めているものはなにか』を考えるしかなかった。彼は人生の愛を失いたくないんです。少なくとも本人はそう思っている。だから、そこだけを考えて演じました。他人への影響はいっさい考えず、自分の欲望だけを見る、トンネルビジョンの状態で」

孤独で内向的な青年ベア [c] 2026 Focus Features LLC.
孤独で内向的な青年ベア [c] 2026 Focus Features LLC.

――ニッキーも怖いことをしますが、彼女自身にはコントロールできません。だから観客も『お願いだからやめて!』と思いつつ、同時に彼女を応援してしまいます。容赦なく暴力的なのに、単なる悪者にならないためになにを意識しましたか?

ナヴァレッテ「一番大事だったのは、『ニッキーのなかにはちゃんと人間がいる』ということを観客に忘れさせないことでした。最初の彼女を絶対に失わないようにしながら、“願い”に支配されたバージョンの彼女を演じる、というのが私の目標。観客の共感が失われないことを一番重視しました。『Pearl パール』、『ヘレディタリー/継承』、『ゲット・アウト』、『ジェニファーズ・ボディ』のような映画も参考にしています。まるで卓球のラリーのように常に頭のなかで、本来のニッキーと願いに支配されたニッキー、いまはどちらが前面に出ているのかを考え続けていた感じです。監督のカリーも本当に助けてくれました。脚本にも、“彼女が表に出る瞬間”や“引っ込む瞬間”がかなり明確に書かれていました」

ジョンストン「おもしろいのは、スクリーン上で怖い存在なのはニッキーのほうで、少なくとも映画前半のベアはかなり無垢に見えること。でも実際には、より悪役に近いのはベアであり、ニッキーのほうがむしろ純粋なんです。そこも観客に受けている理由なのではないかと思います。この映画が扱うテーマを探索することにおいて、とても新鮮なアプローチですから」

ベアが想いを寄せるニッキー [c] 2026 Focus Features LLC.
ベアが想いを寄せるニッキー [c] 2026 Focus Features LLC.

「カリーは頭のなかをしっかり形にすることに強い情熱を持っている」(ナヴァレッテ)

――カリー・バーカー監督とのお仕事について聞かせてください。彼にとって、劇場公開用の長編映画は今回が初めてです。しかも低予算で、撮影期間も20日程度だったそうですが、見事に成功させてみせました。

ナヴァレッテ「本当に素晴らしかったです。彼は自らがなにを求めているのかを完全に理解していました。この映画に、彼は多くの時間をかけてきたんです。脚本も自分で書き、どういう瞬間が必要なのかをずっと頭のなかで思い描いていて、それをしっかり形にすることに強い情熱を持っていました。さらに素晴らしかったのは、私たちが彼のビジョンをしっかり形にできた時、あるいは現場でなにか別のアイデアを出した時に――マイケル、なんて説明すればいいかな?」

ジョンストン「『それも試してみよう』と背中を押してくれる感じですね。彼はショットリストも作っていて、カメラアングルやキャラクター配置のイラストまで描いていました。それぞれのシーンがどう見えるか、自分でアートワークを作っていたのです。たしか彼と撮影監督は実際にロケ地に行って、簡易モデルみたいなものまで作って、カメラテストもしていたと思います。それだけ準備をしていたおかげで、撮影当日は自由に遊べる時間が増えました。すごく低予算の作品だっただけに、準備できていることが大きかったのだと思います。自分の求めるものを非常に具体的に知っているからこそ、逆にカリーは僕たちに自由もくれました」

パーカー監督の手腕をジョンストンとナヴァレッテも絶賛 [c] 2026 Focus Features LLC.
パーカー監督の手腕をジョンストンとナヴァレッテも絶賛 [c] 2026 Focus Features LLC.

「“究極の悪者”をやりたい。絶対楽しいと思う」(ジョンストン)

――『オブセッション 災愛』で大きな注目を集めるようになりましたが、将来的にやってみたい役柄や映画のジャンルはありますか?

ジョンストン「実はいま、すごくワクワクするようなお話が来ていて、監督たちとミーティングをさせていただいたりしています。間違いなく『オブセッション』のおかげです。この作品で評価していただけたからこそ訪れたチャンスです」

ナヴァレッテ「私も感激続きです!マイケルが言ったみたいに、おもしろいお話、それもいろんなジャンルのものをたくさんいただいています。正直、一生ホラーだけをやっていてもいいくらいなんですが、ホラーを続けつつ、ほかのジャンルにも挑戦したいと思っています」

ジョンストン「インディ、もしどんな役でも選べるなら、どんなキャラクターをやりたい?」

ナヴァレッテ「アクション映画に出たいかな。子どもがいる若いママで、めちゃくちゃ強くて敵をボコボコにするような、すごくかっこいい女性。アクションが本当に好きなので、ずっと前からそういう役をやりたいと思っています」

ジョンストン「僕は“究極の悪者”をやりたいです。最初はすごく優しそうに見えるのに、実はとんでもない悪役みたいなキャラクター。絶対楽しいと思います。ニッキーを心から楽しんで演じているインディを見て、『自分もあんなふうに激しく叫んでみたい』と羨ましかったので(笑)」

構成・文/平尾嘉浩

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