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『四月の余白』吉田恵輔監督が主演・一ノ瀬ワタルの演技を絶賛「持っている愛情みたいなものが大きかった」

  • 2026.7.3
映画『四月の余白』公開記念スペシャルトークショーより (C)2026 N.R.E. width=
映画『四月の余白』公開記念スペシャルトークショーより (C)2026 N.R.E.

映画『四月の余白』の公開記念スペシャルトークショーが行われ、吉田恵輔監督と映画ライターのSYOが登壇。上映直後の観客の余韻を大切にしながら、作品の制作背景やキャラクター造形、実体験をベースにしたエピソードなどについて語り合った。

【写真】吉田恵輔監督が制作秘話と実体験の裏側を語る トークショーの様子

本作は、吉田恵輔監督自身が多感な時期に出会った非行少年や彼らを取り巻くコミュニティーをモデルに、人の痛みも常識も理解できない少年たちと、そんな子供たちに本気でぶつかりながらも彼らに寄り添う大人の生々しいもがきを描く。

上映後、SYOは作品について「吉田さんの作品なので相当暗いだろうと思って観たら、自分の覚悟が甘かったことを突きつけられた」と率直な感想を口にしつつ、「でも“衝撃作”とは言いたくない」と続ける。「描かれている人たちが、自分たちと同じ地べたを生きている人だから、カテゴライズしたくない」と語った。

そんな意見に、吉田監督は「ここ最近作っている作品の中では、かなり柔らかくてホームドラマ感があるものを作ったつもりだった(笑)」と笑いながら語り、「今までは主人公が暴れ回る作品が多かったけど、今回は受け止める側。どちらかというと“キャッチャー”的な映画」と自己分析。しかし、観客から寄せられる感想とのギャップには「俺の感覚がバグってるのかもしれない」と苦笑いを浮かべた。

吉田監督ならではの演出スタイルについては「自由に一回やってみてもらって、そこからどんどん決めていく」という形をとっているそうで、「余計なものを撮らないから編集も早い」と語り、「編集は3~4日くらいで終わる」と驚きの制作スピードも明かした。

作品づくりについては“教育”といった大きなテーマを掲げながらも、出発点は吉田監督自身の経験にあるという。施設で働く友人から聞いた話や、周囲の親たちの声、さらには自身が中学生だった頃の記憶などを組み合わせて脚本を構築したと話す。

SYOは「(手に負えない生徒の)海斗のような子供を“モンスター”として描いていないことが大きい」と指摘し、さらに、親としての視点が丁寧に描かれている点にも触れ「親の映画でもあると感じた」と語る。すると吉田監督も「親の瞬間を見せないと、一方通行の映画にしたくなかった」と説明。子どもだけでなく、その周囲で葛藤する大人たちにも視線を向けていたことを明かした。

SYOが「『ミッシング』でも、周囲の親たちの声が役作りに活かされていた」ということに触れると、吉田監督は笑いながら「同じママたちの意見を参考にしました。治安の悪いママ友たち(笑)」と冗談交じりに返答。作品の着想について、「生活圏の中にあるものから生まれることは多い」と語った。

そうして生まれた本作は、レビューサービス「Filmarks」の初日満足度ランキングで第1位を獲得。その一方で、吉田監督は「もっと評価が低くなると思っていた」と意外な本音を吐露する場面も。その理由について、「今はコンプライアンスがすごく意識される時代。子どもに手をあげる描写や、大人が子どもとどう向き合うかという部分は、どうしても嫌悪感を持たれやすいと思った」と説明。作中で描かれる行為についても「どこまでやっていいのかはすごく悩んだ」と振り返った。

特に気を配ったのは、暴力的な行為が“大人の八つ当たり”として見えてしまわないことだったという。「例えば頭を叩くにしても、何かを止めようとしている瞬間なのか、その子のためを思っている行動として伝わるのか。そこを間違えると、ただの体罰になってしまう」と語り、「でも、本当にそう見えるのかどうか怖かった」と率直な葛藤を打ち明けた。

その上で「意外と成立した」と感じている理由として、一ノ瀬ワタルの演技を挙げる。「一ノ瀬さんが持っている愛情みたいなものがすごく大きかった」とコメントし、さらに問題児・海斗(上阪隼人)という存在についても「“こいつは本当に危ないかもしれない”と思わせてくれた」と分析し、「その2つのバランスで成立している」と絶賛した。

最後に吉田監督は「もし気に入っていただけたら、いろいろ宣伝していただけたらうれしいです。1人でも多くの方に観てもらえたら」と呼びかけ、トークイベントを締めくくった。

映画『四月の余白』は、公開中。

※吉田恵輔監督の「吉」は「つちよし」が正式表記

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