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【詳報】『ハリー・ポッター』事故で胸から下が不随となったデヴィッド・ホームズの物語

  • 2026.7.3

ダニエル・ラドクリフが映画『ハリー・ポッター』の撮影中の事故で胸から下が不随となったスタントマン、デヴィッド・ホームズのドキュメンタリーを制作。ダニエルと20年以上の交流を持つデヴィッドの経歴、彼が撮影中に見舞われた事故、そしてその後に起きたことをまとめた。

14歳でスタントマンになり、ハリーやマルフォイのスタントを担当

デヴィッド・ホームズのポッドキャスト番組の公式ページによると、イギリス出身のデヴィッドは体操のバックグラウンドを活かして、14歳の時に『ロスト・イン・スペース』でスタントのキャリアをスタート。

2000年からは映画『ハリー・ポッター』シリーズに起用され、1作目の『ハリー・ポッターと賢者の石』から全8作において、ダニエル・ラドクリフ演じるハリー・ポッターやトム・フェルトン演じるドラコ・マルフォイといったメインキャストのスタントを務めた。

22歳の時には英国スタント登録機関(BSR)の資格も得たデヴィッド。しかし25歳だった2009年1月28日、スタントのリハーサル中に事故に遭い、胸から下が不随となった

『ハリー・ポッター』スタントマン事故の詳細、当日何があった?

事故当日は、シリーズ最終作である『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』のリハーサルが行われていた。

クライマックスであるホグワーツの戦いで、ハリー・ポッターが爆発によって後ろに吹き飛ばされるシーンのスタントのリハーサルをしていたデヴィッド。身に着けたハーネスに取り付けられたワイヤーによって後ろに引っ張られマットに着地する“ジャーク・バック”というスタントをしていたのだが、何かしらの原因で、高強度のワイヤーにハイスピードで引っ張られたデヴィッドは壁に激突してマットに着地。衝撃で首を骨折した。

当時の様子を2014年に英The Mirrorにて詳細に明かしたデヴィッドによると、当初彼はことの重大さに気づいていなかった。しかし、血相を変えて走ってきたスタントコーディネーターに「俺の指をギュッとしてみろ」と言われてやったところ、相手の手を持てたもののギュッと握る事が出来ず、何かがおかしいと気づいたという。

「彼の目を覗き込み、その時、何か重大なことが起こったのだと理解しました」と明かしたデヴィッドは、あまりの激痛に何度か意識を失ったそうで、「以前にも骨折したことがあったので、その時の奇妙な感覚が指先からつま先まで広がっているのを感じました。何か重大な負傷をしてしまったのだと気づきました」と振り返る。

「腰から下は何も感じない」と訴えていたというデヴィッドは、リハーサルをしていたワーナー・ブラザース・スタジオ・リーブスデンから車で10分ほどの場所にあるワトフォード総合病院に緊急搬送され、その後、ザ・ロイヤル・オーソパーエディック・ホスピタルに移された。そしてそこで、胸から下が麻痺しており、腕と手の動きにも影響が出ることを知らされた。

その後、約半年入院したデヴィッド。「両手で30分間も身体を支えられていた状態から、突然、ベッドで起き上がることもできない状態に置かれた」ため、「信じられないほどの忍耐力を学ぶ必要があった」という。

事故後の様子、ダニエル・ラドクリフやトム・フェルトンたちとの絆

事故後、ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフはチャリティオークションやチャリティディナーを開催するなどして、デヴィッドの治療費を捻出するために奔走。

ダニエルは2011年のドキュメンタリー『When Harry Left Hogwarts』のなかで、「デイヴ(※ダニエルの愛称)とはずっと昔からの関係です。僕とデイヴを見て『ダニエル・ラドクリフと車いすの人だ』とは思って欲しくないのです。僕は、デイヴが僕の人生においてどれだけ大切な存在なのかをみなさんに分かっていてほしい」と語った。

また、ドラコ・マルフォイ役のトム・フェルトンもチャリティ目的で開催されたクリケットの試合に参加するなど支援を行ない、2022年に発表した自伝『Beyond The Wand』でもデヴィッドのことを「ホームジー」という愛称で呼び、彼との思い出に触れた。

一方のデヴィッドは、手で操作できる自動車を使った自動車レースの世界に挑戦したり、絵を趣味にしたり、世界中を旅したりと、新たなライフスタイルを情熱的に楽しんでいる。そして2020年からは、スタント技術とそのリスクを啓もうするためのポッドキャスト番組『Cunning Stunts』をスタート。ダニエルはゲストホストを務めるなど、番組の宣伝にも協力した。

ドキュメンタリー『デヴィッド・ホームズ 生き残った男の子』配信へ

そして2023年11月、米HBOとHBO Maxと英Skyで、ダニエルのプロデュースでデヴィッドの半生を描いたドキュメンタリー映画『David Holmes: The Boy Who Lived』が配信。日本では『デヴィッド・ホームズ 生き残った男の子』という邦題で、U-NEXTにて2023年12月14日より配信開始した。

タイトルになっている“The Boy Who Lived(生き残った男の子)”は、ハリー・ポッターに与えられていた、「生き残った男の子」という異名。約1時間半の映画は、「カメラの前での私の功績だけでなく、私が日々直面している困難、そして、首を骨折した後の人生に対する姿勢を物語っている」と、デヴィッドはインスタグラムで明かしている。

デヴィッドは『ハリー・ポッター』でアルバス・ダンブルドアが発した言葉「人は団結すればそれだけ強くなるが、分裂すればそれだけ弱くなる」を引用し、「私が生きていられるのは、幸運にも団結した愛とサポートを得られたおかげです。そして、この愛とサポートのおかげで、皆さんと私の旅を分かち合うことができるのです」と綴った。

※この記事は2023年10月26日に公開された記事を更新したものです。

【追記】ドキュメンタリーで語られたデヴィッド・ホームズの“いま”

その後、ダニエル・ラドクリフのスタントダブルを務めていたデヴィッド・ホームズの半生は、ドキュメンタリー『David Holmes: The Boy Who Lived』(2023)として映像化された。ラドクリフ自身も製作に関わり、事故を乗り越えて前を向くホームズの姿と、2人の変わらぬ友情が描かれた。困難のなかでもユーモアと前向きさを失わないホームズの言葉は、多くの人に勇気を与えている。

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