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散らかった部屋は心のありようを映す! 片付けられない人たちに寄り添いながら、部屋と心の乱れを整理整頓していく物語【書評】

  • 2026.7.2

【漫画】本編を読む

「部屋の乱れは心の乱れ」と聞くと耳が痛い人は多いのではないだろうか。とはいえ忙しい日々に追われていると、自宅の整理整頓なんて後回しになってしまう。そんな「わかっているけれど、どうにもできない」人たちの部屋と心に、そっと寄り添い、整理してくれる物語が『夜をととのえる』(浜田咲良/KADOKAWA)だ。

物語は、大学生・悠馬が同級生の黒沢に誘われて、整理、収納、清掃サービスを行う「ナイト&ブルーム」でアルバイトを始めるところから始まる。時給の高さにひかれた悠馬だったが、彼が現場で目の当たりにするのは、単に掃除のお手伝いでは片付けられない、さまざまな事情を抱えた依頼人たちの姿だった。

たとえば、部屋に物がほとんどないのに、お気に入りの食器を捨てられず困っているミニマリスト男性や、職場では完璧に仕事をこなしているが自宅は足の踏み場もない状態の女性秘書、双子の育児に追われ家の中で自分の居場所を見失ってしまった主婦……。

彼らは皆、社会的には何も問題のない人々だ。それなのに、なぜ自分の生活空間だけがこれほどまでに乱れてしまうのか。悠馬たちが向き合うのはゴミの山ではなく、その山の下に埋もれてしまった依頼人たちの整っていない心なのだ。

掃除のプロである「ナイト&ブルーム」の面々は決して依頼人を否定しない。無理やり捨てさせることもしない。ただ、なぜこれが必要だったのか、なぜ捨てられなかったのかを問いかける。そんな対話を通じて、依頼人たちは何に執着していたのかを自覚していく。物理的に部屋が片付けられていく過程はぐちゃぐちゃになっていた感情が整理されていく過程と重なっているのだ。

読後はきっと、自分の部屋を見渡すことだろう。そしてこの部屋で暮らす自分の心は整理整頓されているのかと考え、ゴミ袋を手に取るかもしれない。

文=坪谷佳保

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