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『恋人』歴史解説②ジャンヒョンとギルチェを引き裂いた「丙子の乱」とは

  • 2026.7.1

テレビ東京で放送中の『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』。ナムグン・ミン演じるミステリアスな男イ・ジャンヒョンと、アン・ウンジン扮する元お嬢様ユ・ギルチェの過酷な運命と究極の愛を描いた本作は、当時の朝鮮王朝の歴史が色濃く反映されている。

物語の根幹をなすのが、1636年に勃発した「丙子の乱(韓国では「丙子胡乱」と呼ぶ)、それに続く「三田渡の盟約」という歴史的事件である。今回は、主人公たちの人生を大きく狂わせたこの出来事について解説する。

「丙子の乱」勃発と主人公たちの運命 

1636年12月、清は12万という大軍を率いて朝鮮王朝への侵攻を開始した。1627年の続く2度目の侵攻だ。韓国史ではこの第2次清侵攻を「丙子胡乱(ピョンジャホラン)」という。

清の侵攻は壮絶で圧倒的だった。ドラマの中でも、のどかな村に突如として清の大軍が押し寄せる「怒涛の展開」が描かれ、主人公ジャンヒョンとギルチェの運命は想像もつかないほど激変していく。

ギルチェは貴族階級・両班(ヤンバン)の令嬢として優雅な生活を送っていたが、親友ウネと一緒に清の兵士に襲われる局面に追い込まれた。

『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』より(写真= ©2023MBC)

そんな大ピンチを救ったのが、主人公のジャンヒョンだが、圧倒的な清の軍勢の前に朝鮮側は劣勢を強いられ、戦いに志願した男たちは地獄のような修羅場に直面することになる。ヒロインのギルチェが慕っていた儒生のヨンジュンも戦地に赴き、絶望的な現実を目の当たりにした。

朝鮮王朝史上、最も屈辱的な瞬間

清の大軍を前に、第16代王・仁祖(インジョ)は首都の漢陽(ハニャン)の南にある南漢(ナムハン)山城に避難して籠城した。

しかし長くは持ち堪えられず、翌1637年1月についに屈服する。仁祖は漢江(ハンガン)のほとりの三田渡(サムジョンド)で、清の皇帝の前で額を地面にこすりつけて土下座し、謝罪した。一国の王が敵国の皇帝に平伏するこの出来事は、朝鮮王朝史上、最も屈辱的な瞬間であった。

敗戦の重すぎる代償と過酷な人質生活

 敗戦の代償はあまりにも重く、朝鮮王朝は清に従属を余儀なくされ、莫大な賠償金を課されたうえに、長男の昭顕世子(ソヒョンセジャ)夫婦をはじめとする息子たちが人質として清の首都・瀋陽(しんよう)へ連行された。王は慟哭しながら息子たちを見送るほかなかった。

ドラマでもギルチェが人質として連行され、人間の尊厳を踏みにじられる苛酷な日々を送ることになるが、まさにこの当時の朝鮮は王も貴族も庶民たちも屈辱を強いられた日々だった。

言葉の通じない異国の地で、幾度も絶望の淵に立たされるギルチェ。彼女を救うために動くジャンヒョンの一途な姿が涙を誘う。

「三田渡の盟約」という国家の悲惨な敗北と、極限状態の中で引き裂かれた男女の運命。この重く苦しい歴史的背景を知ることで、『恋人』が描く戦乱の中での愛の再生がいかに尊く、力強い光を放っているかをより深く理解できるだろう。

構成=韓ドラLIFE

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