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10年後の未来のための種まきを見守りたい|東京モーターサイクルショーに見る変わろうとする意志【ThinkingTime】

  • 2026.6.29

バイクを売るためのショーからライダーを増やし育てるための場へと変貌を遂げつつあるモーターサイクルショーを見る

モーターサイクルショーの新機軸

今年のモーターサイクルショーも盛況のうちに幕を閉じた。一般社団法人日本二輪車普及安全協会(日本二普協)が主催する大阪・東京の両会場では強力なIP(※)を活用したコレボレーション企画が実施されており、若年層や無関心層の誘客、タッチポイントの創出といった点で有効性が確認されている。バイクを売るためだけでなく、新たなバイクファンを生み出すと共にライダーを育てられる場として変貌を遂げつつあるように感じられる。こうした視点で東京モーターサイクルショーを振り返ってみる。

会期を通して天候に恵まれた東京会場来場者数は昨年を上回り盛況となった
「第53回東京モーターサイクルショー2026」は例年通りお台場の東京ビッグサイトで開催され、3月27日(金)〜29日(日)の3日間で11万9,266人(前回比100.4%)の来場があった。今回は期間中に雨天もなく晴天に恵まれていた。

10年後を支えるZ世代へモンストコラボで好発進

まずはIPコラボから。昨年は2・5次元アイドルグループ「すとぷり」のさとみさんを公式アンバサダーに迎え、10〜20代の女性が来場し話題となったが、今年は人気スマホゲームの「モンスターストライク」(モンスト)とのコラボが行われた。筆者もクイズラリーに参加し定性的に参加者に話を聞くなどしたが、昨年とは打って変わって年齢層が幅広い。話が聞けたのは10〜40代だったが「以前やっていた」「子どもの頃にはまっていた」という20代も複数人いた。モンストは2013年にサービスを開始しているがいまだにセルラン(売上)上位を維持している強力かつロングセラーのIPだ。免許を取得でき、バイクの購入ローンを組めるなどある程度自由なお金も使えるZ世代(13〜29歳)に対して広くリーチできたのではないだろうか。

次にお伝えしたいのが、新基準原付の周知に関する施策。近年は自転車も含めた小さく多様なモビリティに関する法改正や制度改正が続いている。こうしたなか、道交法での公道走行ルールはもちろんでのこと、出先での駐輪や自宅での保管についても知っておくべき問題が残されている。今回のモーターサイクルショーでは、来場者への認知と理解を深めるべく様々な手段で施策が展開されていた。驚いたのは「モンストクイズラリー」の質問にも採用されていたこと。これはとても良いアイデアだと感じたし、既存の原付免許試験問題などにも新基準原付に関する設設問を反映させてほしいと思う。また、会場を歩いていて目を引いたのが、キャラクターマーケティングを狙ったような動きがあちこちで見えていたこと。オリジナルのキャラクターを絵師(イラストレーター)に書いてもらい、ブースにパネルを置くといったことは随分前から行われていたが、今年はAIで生成しただろうイラストも多かった。日本二普協が若年層・無関心層の誘客とリーチに取り組むなか、少しとっつきにくい印象のある用品・機器開発メーカーにとっては、親しみやすさを演出するのに良い手段となりそうだ。

このように、ここ数年のモーターサイクルショーは、主催者と出展企業が共に同じ方向を向き「場の転換」へと挑戦しているように見える。バイクに乗るということは、免許が取れる年齢になっても取れない(各校の残留三ない運動)というところから始まって、どれもハードルの高いものばかりだ。二輪業界にとって、マンガやアニメ、Vチューバーらの影響により「楽しそうだな」「乗ってみたいな」と思ってもらえることは本当にありがたいこと。関心層となった若者に免許を取ってもらいバイクや用品を購入してもらう、その後の安全運転を実践してもらうためには、オンラインからオフラインへの誘導が一層重要になる。バイク販売店が「入りづらい……」と若年層に敬遠されがちな中、モーターサイクルショーがタッチポイントとしてその敷居をどんどん下げていってくれることに今後も期待したい。

人気ゲーム・アニメ「モンスト」とのコラボレーションも好評だった

大阪・東京モーターサイクルショー2026を主催する日本二輪車普及安全協会は、近年、10〜30代の若年層に向けた誘客施策を展開している。今年は大人気かつロングセラーとなっているスマホアプリゲーム「モンスターストライク」(株式会社MIXI)とのコラボレーションを行った。

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フォトブースではキービジュアルをバックにバイクと写真が撮れた
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公式Xのフォロー&リポスト、ハッシュタグでの会場画像投稿でもらえたステッカー
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バイクのクイズに挑戦するスタンプラリー
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ラリーをゴールしガチャを引くとコラボグッズがもらえた

限定ガチャの当選画面

「新基準原付」区分の認知拡大へ日本二普協がさまざまな取り組み

ニューメディアからの発信を中心としたミスリード(クルマの免許で125㏄に乗れる、125㏄の運転ルールが原付一種と同じになる等)を払しょくすべく、新基準原付に関する正しい認識と理解を深めるための施策もさまざまに展開された。新基準原付普及の如何はこうした地道なPR施策にかかっている。

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アトリウム特設ステージで開催された「JAPAN RIDERSステージ」では「『新基準原付』ってなに?」というテーマでもトークが行われた
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日本二普協ブースで配布された新基準原付のPRカード。QRコードを読み込むと自工会制作のかなり詳細な説明サイトを閲覧できる

3月27日(金)、アトリウム特設ステージで赤池誠章 元参議院議員から、オートバイ「希望ナンバー制」の10月中旬正式導入が発表された

胸部プロテクターの薄型軽量化とメーカーの壁を越えた共通規格化

プロテクター類の薄型軽量化とライダー用エアバッグに関する展示・イベントも目立っていた。アールエスタイチはクルマ用エアバッグなど自動車安全システムを開発するオートリブ社(本社スウェーデン)と共同開発したエアバッグ内蔵ベスト「T-SABE」を発表し注目を集めた。

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胸部プロテクターの普及と装着率向上のための環境整備「共通規格化(CPS)」について説明するアールエスタイチ社の栗栖慎太郎さん
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プロテクターの薄型軽量化を推し進めるコミネ社は「ENIGMA(エニグマ)」シリーズやドライカーボン製の各種プロテクターなどを壁面展示

若年層施策に積極的なスズキがVTuber・輪堂千速さんとコラボ

人気格闘ゲーム「ストリートファイター6」(株式会社カプコン)とのコラボレーションなど若年層・無関心層へのコミュニケーション、リーチ拡大に取り組むスズキは、バイク・クルマ好きを公言するホロライブ所属のVTuber・輪堂千速さんとコラボレーションし話題となった。

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3月29日(日)にはスズキブースで千速さんのスペシャルトークショーが開催された。ブース内は千速さんのファンであふれかえった
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千速さんとスズキでデザインしたGSX250R[Chihaya Remix]。千速さんのパネルと一緒に車両にまたがっての記念写真も撮影できた

イラスト生成AIの活用も。キャラクターマーケティングの兆し

今回、会場で特に目立っていたのがキャラクターマーケティングを行う企業が増えたこと。すべての企業に確認したわけではないが、近年、主催の日本二普協が取り組み続ける若年層・無関心層へのコミュニケーション施策や推し活ブームからの影響もありそうだ。

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クラッチメーカーのエフ・シー・シーで目立っていたのは、社員がAIで生成したというキャラクターイラスト
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アールエスタイチは公式キャラクターの「ニャイチ」をデビューさせた。ブース内ではグッズを多数販売
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