1. トップ
  2. エピソード
  3. 彼が送ってきた料理の写真→料理の脇に、見知らぬジュエリー店の伝票が映り込んでいた

彼が送ってきた料理の写真→料理の脇に、見知らぬジュエリー店の伝票が映り込んでいた

  • 2026.6.29
ハウコレ

恋人から送られてきた写真を、私は何度も拡大しては元に戻していました。料理を褒める返事を打ちかけたところで、写真の隅を二度見したのです。料理のすぐ脇に、見覚えのない伝票のようなものが置かれていました。拡大してみると、店名の一部に「ジュエリー」の文字が読み取れたのです。

聞いたことのない、宝飾店の名前

彼の口から、ジュエリー店に行ったという話は一度も聞いたことがありません。男の人がわざわざ女物の店に出向く用事といえば、私の中ではひとつしか思い浮かびませんでした。私の知らない誰かへの贈り物を、彼はこっそり用意しているのではないか。料理の味を褒める言葉も、もう頭から消えていきました。

日ごとに短くなっていく返信

写真のことを問いただす勇気は出せず、私はメッセージで「おいしそう」とだけ返しました。それからの彼は、忙しいという返事ばかりで、会う約束にも気乗りしない様子です。あの伝票と、そっけない態度とが、私の中で一本の線につながっていきました。一度そう思い込むと、別の考えを探す気力さえ湧いてきませんでした。

思いきって尋ねたときの答え

数日後、私は彼の部屋を訪ねました。例の伝票はもう見当たりませんでしたが、私は写真のことを切り出します。「あの料理の横にあった紙、なんだったの」。そう尋ねた私から、彼は目をそらしました。「それだけは、今は言えないんだ」。やましさというより、どこか追い詰められたような表情でした。問いを重ねるほど、彼の逃げ場をふさいでいる気がしてなりませんでした。

そして…

そして、迎えた私の誕生日の夜。彼がテーブルに小さな箱を差し出してきます。中に入っていたのは、ずっと前に彼の部屋へ置き忘れたまま、針が止まりっぱなしになっていた私の腕時計でした。秒針が、ちゃんと動いています。「あのジュエリー店、時計の修理もやっててさ」。ここ数週間ずっと固まっていた何かが、ようやくほどけていきました。私は、何ひとつ確かめないうちから、勝手に疑う物語を書き進めていたのでした。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる