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「都心のど真ん中なのに、どうして…」タワマン30階、30代夫婦がスマホ操作で陥った“誤算”【一級建築士は見た】

  • 2026.8.5
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

「駅からすぐのタワーマンションに引っ越したんです。それなのに、リビングでスマホの動画が止まったり、通話が途切れたり。アンテナの表示は立っているのに、つながりが悪いんです。都心のど真ん中なのに、どうして…」

そう話すのは、この春、都心のタワーマンション30階の住まい(築7年・3LDK・75㎡)を買ったGさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。駅近で便利、眺めも良好。ただ、暮らし始めてすぐ、部屋の場所によってスマホの電波が不安定なことに気づきました。内見は昼間の短い時間だったため、まったく気にならなかったのです。

なぜ高層階は、スマホがつながりにくいことがあるのか

高層階の電波には、地上とは違う事情があります。

携帯電話の基地局のアンテナは、地上で使う人に向けて、基本的に下向きに電波を出しています。そのため、基地局より高い位置にある高層階には、最寄りの基地局の電波がかえって届きにくいのです。

一方で、高層階は見通しが良いため、遠くの基地局の電波は届きます。ただ、距離が遠いぶん、今度はスマホ側から出す電波が基地局まで届かず、通話が途切れたり、こちらの声だけが相手に届かなかったりすることがあります。さらに、たくさんの基地局の電波が同じような強さで届くため、電波どうしが干渉して、通信の質が落ちることもあります。アンテナ表示は立っているのに不安定。高層階特有のこの現象には、こうした理由があるのです。携帯電話会社も高層階へ向けた電波の出し方を工夫していますが、環境しだいで不安定な場所は残ります。

電波の入り口は「窓」、その窓が通しにくい

見落とされがちなのが、窓ガラスです。部屋の中に電波が入ってくる主な入り口は、壁ではなく窓。ところが、タワーマンションで広く使われる、金属の膜をコーティングした省エネタイプの複層ガラス(Low-Eガラス)には、電波を反射して通しにくい性質があります。夏の日差しや冷房の効きには心強い窓が、電波にとっては壁に近い存在になるのです。

金属の網が入ったガラスや、金属をコーティングした遮光カーテン、閉めたシャッターも同じです。とはいえ、電波の主な入り口が窓であることは変わりません。通しにくい窓でも壁よりは電波が入るため、家の中では窓ぎわほど届きやすく、離れるほど弱くなります。Gさんの家で、窓から離れた部屋の奥ほどつながりにくかったのは、偶然ではありませんでした。

Gさん夫婦はどう対応したのか

そこでGさん夫婦は、まず契約している携帯電話会社の窓口に、自宅の電波状況を相談しました。各社には電波改善の相談窓口があり、電波を増幅する装置(レピーター)や、自宅に置く小型の基地局(フェムトセル)を無料で貸し出す仕組みがあります。ただし、フェムトセルは指定の光回線契約などが条件で、どちらも電波調査の結果しだいでは設置できない場合があります。Gさんの家には後日、調査のうえでレピーターが設置され、費用はかかりませんでした。

あわせて、家の中の「電波の良い場所」を把握しました。スマホのアンテナ表示を見ながら家じゅうを歩くと、南の窓ぎわが安定していると分かり、通話はなるべくそこで、と場所を決めました。ふだんのデータ通信は自宅の光回線のWi-Fiに任せれば、電波の弱さはほとんど気になりません。

「場所と仕組みが分かってからは、困ることがなくなりました。無料で貸してもらえる装置があるなんて、知りませんでした」とGさんは振り返ります。

タワマンを選ぶときは「電波」も確かめて

駅近のタワーマンションは、通勤にも子育てにも便利な住まいです。高層階ならではの眺めの良さも、大きな魅力です。一方で、電波の環境は階数や窓、部屋の位置で変わり、内見の短い時間では気づきにくいポイントです。選ぶときは、以下も確かめておくと安心です。

・内見のとき、各部屋で自分のスマホのつながり具合を確かめる(家族で契約会社が違うなら、それぞれの端末で)
・アンテナ表示だけでなく、動画の再生や通話など、実際の使い方で試す
・つながりにくい場合は、契約会社に無料の電波改善の相談窓口があると知っておく
・ふだんのデータ通信は、自宅の光回線のWi-Fiと使い分ける前提で考えておく

電波は目に見えなくても暮らしの快適さを左右する住環境のひとつなので、内見でひと手間かけて確かめておけば、住んでからの誤算を減らせます。

参考:特定環境による影響(NTTドコモ)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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