1. トップ
  2. 住まい
  3. 台風前、塀の撤去費用『50万円』が発覚した46歳夫→40年暮らす隣人の一言で判明した“思わぬ事実”

台風前、塀の撤去費用『50万円』が発覚した46歳夫→40年暮らす隣人の一言で判明した“思わぬ事実”

  • 2026.9.18
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社に入社以降10年以上の現場経験があり、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。台風の予報が出ると、家のまわりで風に飛びそうな物や倒れそうな設備が気になる方も多いのではないでしょうか。

庭やベランダの片付けだけでなく、古い塀の安全性が心配になる場面もあります。今回は、台風を前に自宅のブロック塀を点検したところ、隣家との共有物だと判明して撤去に苦労した事例を紹介します。

チラシをきっかけに点検した高さ1.8mの塀と50万円の見積もり

会社員のRさん(46歳)は妻と高校生の息子の3人家族で、5年前に築30年の中古戸建てを購入しました。隣家との境には、高さ1.8mのブロック塀が立っています。

今年の9月、区の広報と一緒にブロック塀の点検を呼びかけるチラシが届きました。台風の予報が出ていた週だったため、Rさんはチラシの点検項目に沿って塀を確認しに向かいます。

高さは地盤から2.2m以下に収まっていましたが、高さが1.2mを超えているにもかかわらず、控え壁(塀を支えるために直角に付ける短い壁)がありません。上のほうに傾きがあり、ひび割れも2か所見つかりました。

業者に見てもらうと、撤去して軽いフェンスに替えるのが安全だと言われます。撤去と新設の見積もりは50万円ほどでした。

助成の対象外・隣人の話・弁護士の説明と25万円ずつの決着

Rさんは費用の負担を減らすため、自治体の助成制度について区役所に電話をかけました。窓口の担当者から説明を受けます。

「助成の対象は道路に面した塀です。隣地との境にある塀は対象になりません。それと、共有の塀を撤去するには共有者全員の同意が要りますよ」

予期せぬ条件を聞かされ、Rさんは戸惑いました。売買のときの書類を見返しても、塀が誰のものかは書かれていません。Rさんが隣の家に事情を話すと、40年暮らす居住者が口を開きました。

「あの塀は、うちの親とお宅の前の持ち主で半分ずつ出したものですよ」

塀が単独の所有物ではないと知ったRさんは、区の無料法律相談へ足を運びます。相談を受けた弁護士は、民法の規定に触れながら状況を整理しました。

「境界線の上に建てた塀は、隣同士の共有と推定されるのが民法の考え方です。原則として、一方の都合だけでは撤去できませんし、費用も一方が全額出す話ではありません」

境界線上の塀は隣同士の共有と推定され、一方の都合だけでは解体できないと判明します。隣人も塀が倒れる不安は同じでした。話し合いの結果、撤去とフェンスの新設を一緒に発注し、費用は均等に25万円ずつ負担して決着しました。

将来のトラブルを防止するには?

自分で見られる点検項目は、高さ2.2m以下、厚さ10cm以上(高さ2mを超える場合は15cm以上)、1.2m超の控え壁の有無、コンクリートの基礎の有無、傾きやひびの有無です。基礎や鉄筋の強度は外見から確かめられないため、専門家に見てもらいましょう。

撤去費用の助成は道路に面した塀が中心となり、隣家との境界部分は自前で直す前提になります。共有の塀なら工事に着手する前に隣家と合意し、費用の分け方を決めておく必要があります。

中古の家を買うときは、業者に任せきりにせず、塀やフェンスが誰の物か、境界線のどちら側にあるかを売主と仲介会社に確認してください。手元の契約書類を確かめ、塀の所有関係を文書に残してもらうことで将来のトラブルを防止できます。

参考:
ブロック塀等の点検のチェックポイント(国土交通省)
ブロック塀等の撤去工事費用に対する助成制度について(世田谷区)



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ