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「南側は月極駐車場で日当たり抜群」3,600万円の注文住宅、3年後に訪れた"想定外の変化"

  • 2026.7.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「家を建てたとき、南側は月極駐車場で、リビングは日当たり抜群だったんです。それが3年たって、駐車場に2階建ての家が建つことになって…完成したら、1階のリビングは思った以上に暗くなるし、風も通りにくくなって。でも、相手は何も悪くないんですよね」

そう話すのは、郊外の住宅地に注文住宅(4LDK・延床110平方メートル)を建てたSさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。建物本体(上屋)にかけた費用は約3,600万円。南側が駐車場で日当たりがいいことも、この土地を選んだ決め手でした。

ところが3年後、その駐車場に住宅が建ち、リビングの日当たりと風通しは、大きく変わってしまいました。

なぜ法律は、「今の日当たり」まで守ってくれないのか

法律が「今の日当たり」まで守ってくれないのには、はっきりした理由があります。

土地は、それぞれの持ち主のものです。都市計画法の用途地域で決められた範囲であれば、持ち主は適法に建物を建てられます。住宅地に2階建ての住宅が建つのは、まさにルールどおりの使い方です。

建築基準法には、周りの日当たりに配慮した高さのルール(斜線制限や、中高層の建物に対する日影規制)もあります。ただ、これは「今の日当たりをそのまま守る」ためのものではなく、お互いさまの最低限の決まりです。2階建て同士なら、南隣に家が建てば1階に影がかかることは、ルールの範囲内で普通に起こります。日照権という言葉はありますが、明文の法律があるわけではなく、適法な建物なら受け入れざるをえない場合がほとんどなのです。

空き地や駐車場は「いずれ建つ土地」

見落とされがちなのが、空き地や駐車場、畑は「いずれ建物が建つかもしれない土地」だということです。

家やマンションを選ぶとき、多くの人は「今の」日当たりや眺め、風通しを見て決めます。けれど、隣の駐車場がずっと駐車場である保証は、どこにもありません。持ち主や土地の使い道が変われば、そこに家が建ち、日当たりだけでなく、風の通り道や視線の抜けも変わります。

「南側が空いているから明るい」という魅力は、裏を返せば「南側に建てば変わってしまう」魅力でもあるのです。

Sさん夫婦はどう対応したのか

そこでSさん夫婦は、建物ではなく、暮らしのほうを変えました。

まず、家具の配置換えです。ソファや子どもの遊びスペースを、暗くなった南側から、明るさの残る東側の窓際に移しました。カーテンを厚手のものから明るい色のレースに替え、視線を遮りつつ、光を採り込めるようにしました。

風通しは、窓の開け方で補いました。南の窓だけに頼らず、北側や2階の窓もあわせて開けて風の通り道をつくり、サーキュレーターで空気の流れを助けるようにしています。日当たりが減った1階の洗濯物干しは、2階のベランダに移しました。

「建った家は変えられないので、うちの暮らし方を変えました。工夫すれば、意外となんとかなるものですね」とSさんは振り返ります。

家を買う・建てるときは「隣に建物が建った後」も考えて

日当たりのいい土地は魅力的で、暮らしの満足度も高めてくれます。南向きのリビングは、冬も暖かく過ごせます。一方で、その日当たりが「隣の土地が空いているおかげ」なら、将来変わる可能性があります。これから家を買う・建てるなら、今の環境だけでなく、以下の点もあわせて考えておくと安心です。

・南側の空き地や駐車場に「建物が建ったら」を想像して土地を選んでいるか
・周辺の用途地域を調べ、どのくらいの建物が建ちうるか確認したか
・隣に建物が建っても暗くなりにくい間取りや窓(2階リビング・高窓など)を検討したか
・日当たりも風通しも、1方向だけに頼りすぎていないか

周りの環境は変わりうると知ったうえで、「隣に建物が建った後」まで想像して住まいを考えることが、長く快適に暮らす備えになります。

参考:
建築基準法(e-Gov法令検索)
用途地域による建築物の用途制限の概要(東京都都市整備局)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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