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「法律上は問題なく建てられる」約3,300万円で買った郊外の一戸建て、近くにデータセンター建設で夫婦が直面した"想定外の壁"

  • 2026.7.23
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「最近、家のすぐ近くの大きな土地に、データセンターが建つと聞いて…完成したら騒音が出るとか、窓のない大きな建物になるとか。心配で調べたんですが、法律上は問題なく建てられるようで、どう向き合えばいいのか分からなくて」

そう話すのは、数年前に郊外の住宅地に中古の一戸建て(築17年・4LDK・延床104平方メートル・土地と建物をあわせて約3,300万円)を買ったAさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。最近になって、家の近くの土地に、データセンターの建設計画が持ち上がりました。

データセンターとは、インターネットのデータを保管・処理するサーバー(コンピューター)を、たくさん集めて動かす施設です。動画の視聴やネット検索、AIなど、私たちの暮らしを支える社会に欠かせない存在で、全国で建設が急増しています。

とはいえ、住まいのすぐ近くにできるとなると、気になることも出てきます。Aさん夫婦も、完成後の騒音や、大きな建物の圧迫感を心配しています。

なぜ住宅の近くに、データセンターが建てられるのか

住まいのそばにデータセンターが建てられるのには、法律的な背景があります。

どんな建物をどこに建てられるかは、都市計画法の「用途地域」で大まかに決められています。全部で13種類あり、たとえば住居専用の地域には主に住宅などの限られた用途の建物しか建てられないなど、地域ごとに建てられる用途が定められています。

ただ、データセンターは比較的新しい施設で、まだ独立した分類がありません。そこで多くの場合、「事務所」として扱われます。事務所は、住居専用地域をのぞく多くの用途地域に建てられます。住宅が建ち並ぶ地域でも、住居専用地域とは限りません。Aさんの家の周辺も事務所を建てられる地域だったため、住宅のすぐ近くで計画が進むことになったのです。

「事務所」とはいっても、中身は大きく違う

見落とされがちなのが、同じ「事務所」でも、データセンターは中身が大きく違うことです。

データセンターは、たくさんの機械を詰め込んだ施設で、働く人はほとんどいません。なるべく多くの機器を入れるため、その土地で許される大きさいっぱいの、窓の少ない建物になりがちです。周りの住宅とは見た目や大きさが異なるため、人によっては圧迫感を覚えることもあります。

音については、機械を冷やす設備が24時間動くため、低い「ブーン」という音(低周波音)が生じることがあります。非常用発電機の点検で、一時的に大きな音が出る日もあります。低周波音は壁を回り込んで伝わりやすいなど、ふつうの騒音とは性質が違うため、環境省が対応の考え方をまとめた手引書を公表しています。こうした特徴は施設の性質上生じるもので、事業者に悪意があるわけではありません。

Aさん夫婦に、何ができるのか

計画が法律に適合している場合、住民の反対だけでそれを止めることは、制度上難しいのが実情です。大切なのは、暮らしへの影響をどう小さくし、事業者の配慮をどう引き出すかという視点です。

Aさん夫婦は、まず市区町村の窓口(まちづくりの担当)に相談して状況を確かめ、事業者が開く説明会にも参加して、騒音や景観への心配を直接伝えることにしました。

自治体によっては、条例や要綱などで、事業者に早めの説明や、騒音・緑化への配慮を求める動きも出ています。東京都も2026年に「まちと調和したデータセンターに向けたガイドライン」をつくりました。こうした仕組みを通じて、配慮を引き出せる場合があります。

完成後に音が気になったときも、市区町村の環境担当に相談すれば、環境省の手引書に沿って確認や測定が行われることがあります。

家を買う・建てるときは「周辺の土地」も見て

家選びでは、つい建物や間取りに目がいきますが、周りの土地がこの先どうなるかも、暮らしやすさを左右します。これから家を買う・建てるなら、見た目や価格だけでなく、以下の点もあわせて確かめておくと安心です。

・近くの大きな空き地や駐車場が、将来どう使われそうか
・周辺の用途地域を調べ、住宅以外の大きな施設が建ちうるか
・データセンターなど、大きな施設の建設計画が近くにないか
・気になる施設について、自治体に相談窓口や条例・要綱があるか

用途地域は市区町村の窓口やホームページで調べられるので、自分の家だけでなく、周りの土地のルールにも早めに目を向けておくと、住み始めてからの安心につながります。

参考:
まちと調和したデータセンターの実現(東京都都市整備局)
低周波音問題対応の手引書(環境省)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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