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「雨に濡れずに乗れて満足だったんですが…」約4,200万円の注文住宅、初めての夏にMさんが直面した“盲点”【一級建築士は見た】

  • 2026.7.20
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「あこがれのビルトインガレージをつくったんです。雨に濡れずに車に乗れて、タイヤや道具も置けて満足だったんですが……夏になると中がじめじめして、置いていた段ボールや工具に、カビが出てしまって」

そう話すのは、注文住宅(木造2階建て・4LDK・延床およそ38坪)を約4,200万円で建てたMさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

1階に、車を雨や盗難から守れるビルトインガレージを設けました。ところが夏になると、シャッターを閉めたガレージ内に湿気がこもり、床のコンクリートが雨の日でもないのにうっすら湿っていることがありました。

なぜビルトインガレージは、夏に湿気がこもるのか

ビルトインガレージで湿気がこもるのには、はっきりした理由があります。

ビルトインガレージは、家の1階に組み込まれた車庫です。シャッターを下ろすと密閉性が高く、風通しが悪くなります。換気が足りないと、こもった湿気が逃げず、じめじめした状態が続きます。

そして、ガレージ内がじめじめする大きな原因が結露です。空気は暖かいほど多くの水分を含み、冷えたものに触れると、含みきれなくなった水分が水滴になります。夏のガレージで冷えているのは、床のコンクリートです。土間のコンクリートは地面の温度に近く、夏は外気よりひんやりしています。そこに湿った空気が触れると、冷たい飲み物のグラスに水滴がつくのと同じ理屈で、結露が生まれるのです。

湿気は、車や道具にも影響する

見落とされがちなのが、その湿気が、ガレージに置いたものや車にダメージを与えることです。

ビルトインガレージは、タイヤや工具、アウトドア用品、段ボールなど、家の中に置きにくいものの収納場所としても便利です。ただ、湿気がこもると、こうしたものにカビが生えたり、金属の部分がサビたりすることがあります。大切な車も同じで、ボディがサビたり、車内にカビが出たりすることもあります。

カビは、湿度がおおむね60%を超えると生えやすくなり、70%を超えると一気に増えます。閉め切ったガレージは、夏にこの条件になりやすいのです。

Mさん夫婦はどう対応したのか

そこでMさん夫婦がまず取り組んだのが、換気でした。もともとあった換気扇を、車の乗り降りのときだけでなく、こまめに回すようにして、こもった湿気を含む空気を外に逃がしたのです。そして、雨の日に走った車は、車体やタイヤに水をまとっているため、車自体が大きな湿気のもとになります。帰宅したあとは、しばらく換気してからシャッターを閉めるようにしました。

あわせて、濡れた道具や荷物は、拭いてからしまうようにしました。濡れたまましまうと、それ自体が湿気のもとになるからです。収納するものは、すのこやラックを使って床に直置きせず、下に空気が通るように。サーキュレーターで空気を動かすのも役立ちました。

その夏のうちに、カビの再発は止まりました。「中のものを守るには、空気を動かして、湿気をためないことが大事なんですね」とMさんは振り返ります。

ビルトインガレージをつくるとき・使うときは「湿気」も考えて

ビルトインガレージは、車を雨や盗難から守れて、収納場所にもなる、便利で魅力的な空間です。一方で、シャッターで閉じるぶん、夏は湿気がこもりやすくなりがちです。取り入れるときは、見た目や便利さだけでなく、以下の点もあわせて考えておくと安心です。

・シャッターを閉めたときに、換気扇や通気口で空気を入れ替えられるか
・サーキュレーターや扇風機で、こもった空気を動かせるか
・濡れた道具や荷物を、拭いてからしまっているか
・収納するものを床に直置きせず、空気の通り道をつくれているか

大切なのは、あこがれのビルトインガレージが、夏は湿気のこもりやすい空間にもなりうると知っておくこと。風を通して湿気をためない工夫をすれば、大切な車も道具も、いい状態で守れます。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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