1. トップ
  2. 住まい
  3. 「電気代が安くなるかも」SNSの情報を信じた30代夫婦→真夏の午後に響いた「パキッ!」で“修理費15万円”の痛手

「電気代が安くなるかも」SNSの情報を信じた30代夫婦→真夏の午後に響いた「パキッ!」で“修理費15万円”の痛手

  • 2026.7.27
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

夏になると「貼るだけで断熱」「冷房代が下がる」「DIYで簡単に節電できる」といった窓フィルムがSNSでたびたび話題になります。実際に、断熱や紫外線対策として活用されている商品も多く、上手に使えば快適な住環境づくりに役立つこともあります。

一方で、マンションではガラスの種類との相性や施工方法によっては、思わぬトラブルにつながるケースがあることをご存じでしょうか。

今日は、SNSで話題の窓フィルムを自分たちで施工したことで、あとからガラスとの相性という思わぬ盲点に気付くことになった30代夫婦のお話をご紹介します。

SNSで話題の「貼るだけ節電」に期待してDIY

これは私がマンション管理に携わっていた頃、担当物件にお住まいだった30代のAさん夫婦のお話です。マンションへ入居して初めて迎える夏。連日の猛暑予報を見ながら「今年は少しでも冷房代を抑えたいね」と夫婦で話していたそうです。

そんなある日、SNSで何度も目にしたのが断熱効果のある“窓フィルム”でした。

「これなら業者へ頼まなくても、自分たちで貼れそうだね」

休日の午前中、夫婦は家具を少し移動させ、窓ガラスをきれいに拭き上げてから、リビングの大きな掃き出し窓へフィルムを丁寧に貼っていきました。施工後は見た目もほとんど変わらず、部屋にはいつもどおり夏の日差しが差し込んでいました。

「これで今年は少し電気代が安くなるかもしれないね」

SNSで見た節電効果への期待もあり、Aさん夫婦はすっかり安心して夏本番を迎えたそうです。

真夏の午後、「パキッ」という音が部屋中に響いた

異変が起きたのは、施工からしばらく経った真夏の午後でした。強い西日がリビングいっぱいに差し込み、エアコンの効いた部屋でAさんがくつろいでいたそのときです。

「パキッ!」

静かな室内に、乾いた音が突然響きました。

「えっ、今の音は何?」

驚いて音のした窓へ目を向けると、ガラスの端に一本の細いひびが入っていました。次の瞬間、そのひびはゆっくりと伸び始め、みるみるうちに蜘蛛の巣のような亀裂がガラス全体へ広がっていきます。

「うそ…何もぶつかっていないのに…」

Aさんは慌ててベランダへ出て外側を確認しましたが、石やボールなどが飛んできた形跡はありません。ガラスにも何かが衝突したような傷は見当たらず、原因はまったく分かりませんでした。

不安になったAさんは、その日のうちに管理会社へ連絡し、専門業者に状況を確認してもらうことにしました。

原因は「熱割れ」だった

数日後、ガラス業者が現地を訪れ、割れた窓を一緒に確認しました。ガラスのひびの入り方を見た担当者は、窓に貼られたフィルムへ目を向けながらこう説明しました。

「これは熱割れの可能性が高いですね」

熱割れとは、ガラスの一部だけが強く熱せられて温度差が生じ、その膨張の違いによってガラスが割れてしまう現象です。担当者は窓を指しながら説明しました。

「このフィルムによってガラスへ熱がこもりやすくなり、ガラスの種類との組み合わせで熱割れが起きた可能性があります」

「フィルムを貼っただけで、ガラスが割れることなんてあるんですか…?」

Aさん夫婦は思わず顔を見合わせました。SNSでは節電効果や断熱効果ばかり目にしており、ガラスとの適合性まで考えたことはなかったといいます。

さらに、マンションでは窓ガラスの交換にも管理組合への届出や工事日程の調整が必要でした。業者との日程調整や部材の手配もあり、すぐに交換できるわけではありません。最終的に、ガラス交換費用や工賃などを合わせて約15万円を負担することに。

その後、フィルムメーカーへ問い合わせたところ、ガラスの種類によっては施工を推奨していない製品があることを初めて知ったそうです。

「貼る前に確認していれば、防げましたね…」

そう話すAさんの表情には、悔しさがにじんでいました。

窓フィルムは施工前にガラスの種類を確認することが大切

窓フィルムは、断熱・紫外線対策・防犯対策などに役立つ製品も多く、適切に使用すれば住まいをより快適にするアイテムです。

一方で、ガラスの種類によっては熱がこもりやすくなり、熱割れのリスクが高まる場合があります。特に網入りガラスや一部の複層ガラスでは、使用できるフィルムが限られるケースもあるため、施工前に適合性を確認することが大切です。

また、マンションの窓ガラスやサッシは原則として「共用部分」にあたるため、勝手な工事や仕様変更ができないよう、管理規約でルールが定められているのが一般的です。

SNSで話題になっている商品を取り入れる際は、フィルムメーカーの適合表や取扱説明書を確認し、不安な場合は管理会社や専門業者へ相談してから施工しましょう。

ひと手間かけて事前に確認することが、思わぬ修理費や住まいのトラブルを防ぐことにつながります。

参考:ガラスの「熱割れ」現象について教えてください。(YKK AP株式会社)



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ