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「下の階のお部屋で…至急、確認を」“テラス付きマンション”で…40代夫婦を青ざめさせた“突然の着信”

  • 2026.7.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

住宅を探していると、「どうしてこの物件だけこんなに安いのだろう」と感じる物件に出会うことはないでしょうか。室内はきれいで立地も良く、「この条件でこの価格ならお買い得かもしれない」と購入を決断する方も少なくありません。

しかし、不動産は室内の状態や立地だけで価値が決まるわけではありません。建物全体の管理状況や過去のトラブルが価格に影響しているケースもあり、購入後に思わぬ問題に直面することもあります。

今日は、周辺相場より安かったオープンテラス付きマンションを購入した40代夫婦が、入居後に管理組合の総会議事録を見て初めて知った「建物の問題」をご紹介します。

「これだけ条件が良くて安いなんて」理想のマンションとの出会い

今回ご紹介するのは、知り合いの不動産会社が売買仲介を担当した40代のAさんご夫婦のお話です。Aさん夫妻は、小学生のお子さんがのびのび遊べる住まいを探していました。

「休日はテラスで朝食を食べたり、子どもを遊ばせたりできる家に憧れているんです」

そんな希望を受けて案内したのは、駅から徒歩圏内にある築年数の浅いマンションでした。

室内はきれいに使用されており、リビングの大きな掃き出し窓を開けると、そこには開放感のある広いオープンテラスが広がっています。テーブルやチェアを置いても十分な広さがあり、ガーデニングや家庭菜園も楽しめそうな空間でした。

「ここなら子どもを安心して遊ばせられそうね」「休日は家族でテラスランチを楽しみたいな」

現地を見た奥様はうれしそうに話し、ご主人も新生活を思い描いている様子でした。さらに、販売価格が周辺エリアの同条件の住戸と比べても大幅に安く、ご夫婦は迷うことなく購入を決断しました。

こうしてAさん夫妻は「理想の住まいが見つかった」と期待を胸に、新しいマンションでの生活をスタートさせたのです。

記録的豪雨の日…突然届いた管理会社からの電話

入居から数ヶ月が過ぎた頃のことです。その日は朝から激しい雨が降り続き、夕方にはスマートフォンに「記録的短時間大雨情報」が届くほどの豪雨となっていました。

外出先で雨雲レーダーを見ながら、「すごい雨だね」と夫婦で話していたそのとき、Aさんの携帯電話が鳴ります。相手はマンションの管理会社でした。

「下の階のお部屋で漏水が発生しています。至急、お部屋を確認していただけますでしょうか!」

突然の連絡にAさん夫妻は言葉を失い、急いでマンションへ戻りました。室内に目立った浸水はありませんでしたが、オープンテラスへ出ると、大雨で一気に流れ込んだ雨水が排水口の処理能力を超え、溢れ返った跡が残っていました。

後日、管理会社が現地を調査したところ、短時間に大量の雨が降ったことで排水能力が追いつかず、オープンテラス周辺から雨水が建物内部へ回り込み、下の階へ漏水した可能性が高いと説明を受けました。

その後、管理会社による現地調査や保険会社とのやり取りが進み、Aさん夫妻はテラスへ物を置かないことや、豪雨の予報が出た際には排水口周辺を事前に確認するよう説明を受けました。

「憧れて購入したテラスなのに、大雨のたびに『また大丈夫だろうか』と気にするようになってしまいました」

入居前は休日を過ごすお気に入りの場所になると思っていたテラスは、いつしか不安を感じる場所に変わってしまったそうです。

総会議事録に残っていた「何度も繰り返された排水トラブル」

豪雨からしばらく経ったある休日。Aさんはオープンテラスの排水口を掃除していました。

「あれ以来、雨が降る前は必ず確認するようになったんです」

そう話しながら掃除を終え、管理組合から配布されていた書類を整理していると、一冊のファイルが目に留まりました。表紙には「管理組合総会議事録」と書かれています。

何気なくページをめくると、そこには思わず目を疑うような記載が並んでいました。

「豪雨時の排水不良について」「テラスからの漏水報告」「排水能力改善の検討」

しかも、それらは一度だけではありません。同じような議題が何年にもわたり繰り返し取り上げられ、住民から改善を求める意見もたびたび記録されていたのです。一方で、建物構造や改修費用などの問題もあり、抜本的な対策は簡単ではなかったこともうかがえました。

議事録を閉じたAさんは、しばらく黙ったままこうつぶやいたそうです。

「購入する前に、この議事録をしっかり読んでいたら…」

中古マンションは総会議事録まで確認することが大切

オープンテラスやルーフバルコニー付きの物件でも、適切な維持管理が行われ、快適に暮らせるマンションは数多くあります。

一方で、テラスやルーフバルコニーは一般住戸より雨水が集まりやすい構造となる場合があり、排水設備の状態や維持管理状況によっては、豪雨時に漏水リスクが高まることがあります。

中古マンションを購入する際は、室内の設備や価格だけで判断するのではなく、管理組合の総会議事録で過去の漏水や排水トラブルの有無を確認するとともに、テラスやルーフバルコニーの排水設備の管理状況についても確認しておくことが大切です。

なお「過去に何度も漏水トラブルがあったなら、重要事項説明で必ず説明されるのでは?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。

実際には、管理組合の総会議事録に過去のトラブルが記載されているという理由だけで、直ちに宅地建物取引業者の重要事項説明の対象となるわけではありません。一方で、現在も継続している重大な不具合や、取引の判断に重要な影響を及ぼす事実を宅地建物取引業者が把握している場合には、説明が必要となるケースもあります。とはいえ、売主からの申告漏れなどにより、仲介業者でさえ過去のトラブルを把握しきれないケースがあるのも実情です。

そのため、中古マンションを購入する際は重要事項説明だけに頼るのではなく、総会議事録や長期修繕計画書なども確認し、気になる点は不動産会社へ質問することが大切です。

特に周辺相場より大幅に安い物件では、「なぜ価格が安いのか」という背景まで確認することが、購入後の思わぬトラブルを防ぐことにつながります。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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