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1年前、11歳上芸人と“電撃婚”した美人女優。「歳の差100歳の恋」も熱演したNHK朝ドラヒロインとは

  • 2026.7.27
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2014年1月、ブルーリボン賞助演女優賞に選ばれた二階堂ふみ(C)SANKEI

二階堂ふみという俳優を語るとき、いつも出てくるのは「役に飲み込まれない強さ」だ。どんなに癖の強い人物でも、危うい関係のただ中に置かれても、画面の中心で芯を失わない。10代でヴェネチアの映画祭に立った頃から、この人はずっとそういう場所で芝居をしてきた。

そんな二階堂が2025年8月10日、結婚を発表した。相手はお笑いコンビ・メイプル超合金のカズレーザー。予想外の相手だった。とはいえ以前から、二階堂はカズレーザーのファンだと公言しており、二階堂の熱烈ぶりはバラエティ番組の共演でも知られたところだ。

結婚を伝えた各紙は発表時点の年齢差を「11歳差」と報じた。年齢も、立場も、釣り合わない組み合わせ。けれど考えてみれば、それは二階堂がスクリーンの上で何度も引き受けてきた関係の形そのものだ。

揃わない恋をくり返し引き受ける

二階堂が演じてきた恋は、最初から前提が傾いていることが多い。

その象徴が、2017年に日本テレビ系で放送された『フランケンシュタインの恋』だ。二階堂が演じた津軽継実は、森で100年以上を生きてきた“怪物”と心を通わせる理系の女性。「歳の差100歳の恋」と宣伝された、人間と怪物のあいだの恋である。相手が人ですらないという、これ以上ないほど釣り合わない前提を、二階堂は物語の中心で受け止めてみせた。

さかのぼれば2014年の映画『私の男』でも、二階堂は花という女性を演じ、養父との踏み越えた関係を生きている。血のつながらない親子でありながら、そこを越えてしまう危うさ。この芝居で第38回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞を受けた。倫理の外側に半分足を踏み入れた役を、若くして中心で担っていたことになる。

釣り合わない、許されない、本来なら成立しないはずの関係。そういう役は、少し気を抜けば説明くさい絵空事になってしまう。相手が怪物でも、越えてはいけない相手でも、観る側が「この人は本気でこの相手を想っている」と信じられなければ成立しない。二階堂はそこを、感情の大きさではなく、まなざしや間合いの確かさで持ちこたえる。だから危うい設定ほど、彼女が中心にいると芯が通る。早くからその難しい場所に立ち続けてきたのだ。

まっとうな夫婦を正面から生きる

危うい恋だけが二階堂の関係ではない。誰かの隣に長く立ち続ける役も、この人は正面から生きてきた。

2020年のNHK連続テレビ小説『エール』。二階堂はヒロインの関内音を演じた。窪田正孝演じる作曲家・古山裕一の妻として、夫の音楽を信じ、支え、ときにぶつかりながら、生涯を並んで歩く役だ。禁断でも異形でもない、まっとうな夫婦。けれど夫婦という関係を長い時間をかけて説得力のある姿で見せるのは、瞬間の激しさを出すよりむしろ難しい。二階堂はオーディションでこの役をつかみ、朝の連続テレビ小説の半年を、音という一人の女性として生き切った。翌年、この演技で第29回橋田賞を受けている。

激しい関係を張り詰めた芝居で見せるより、変わらない日々をずっと信じられる姿で保つほうが、俳優にとってはよほど骨が折れる。派手な見せ場のない時間に説得力を宿すのは、危うい役とはまた別の腕がいる。危うい関係の名手が、伴侶としてただ隣に立ち続ける時間も、同じ強度で描けること。『エール』はそれを証してみせた一本だ。

性別も国籍も飛び越える

二階堂がずらしてみせる前提は、年齢や倫理だけにとどまらない。2019年の映画『翔んで埼玉』で演じた壇ノ浦百美は、原作でも男性のキャラクターだ。二階堂は性別そのものを外して、この美しい男を演じ切った。2023年の続編でも同じ役で戻ってきている。その演技が評価され、第43回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞につながった。

関係の前提をずらす仕事は、恋の相手の側にも及ぶ。2024年に主演したTBS系ドラマ『Eye Love You』で、二階堂が演じた本宮侑里は、韓国から来た年下の留学生と惹かれ合う。言葉も育った国も違う相手との恋を、主演としてまっすぐ引き受けた。

性別を外し、国籍の壁を越える。共通しているのは、まず前提をずらしてから、その相手を本気で想う一人の人間をていねいに立ち上げていくところだ。設定の奇抜さで押し切らず、あくまで関係の中身で見せる。前提が揃わない場所へ、二階堂は迷わず入っていく。

新人と並ぶ側へ

その二階堂が、いま立場を一つ反転させようとしている。2026年10月公開の映画『わたしの知らない子どもたち』で、二階堂は教師・曽根文美子を演じ、新人の小八重葵美と二人で主演を務める。この作品は第51回トロント国際映画祭のプラットフォーム部門に選ばれ、同部門のオープニング作品を、日本映画として初めて飾った。かつて10代の新人として国際映画祭に立った人が、今度は新人と対等に並ぶ側へまわる。立場が静かに入れ替わっていく。

揃わない関係を、真ん中で引き受ける

二階堂ふみが演じてきた関係を並べてみると、年の差、禁断、性別、国籍と、どれも前提の揃わないものばかりだ。釣り合わない組み合わせを、絵空事にせず生身で立たせる。それがこの人の芝居の芯にある。予想外の相手との結婚も、前提が揃わないという一点で、これまで演じてきた関係と同じ形をしている。演じる関係と生きる関係が、同じ輪郭を描いていることが面白い。

そして二階堂は、海外でも活躍する。ハリウッド作品『SHOGUN 将軍』では、世継ぎの母・落葉の方を演じた。物語を動かす大役で、続編にも続投が決まっている。ヨーロッパの映画祭で名を知られた俳優が、アメリカの大作でも中心の一人に数えられた。ひとつの到達点と呼んでいい場所だ。

現在地は、もう一つある。2026年7月からのTBS系日曜劇場『VIVANT』続編(第11話〜)だ。二階堂は、主人公と惹かれ合う医師・柚木薫を続けて演じている。続編で柚木薫がどんな活躍を見せるのか、それはこれから画面で確かめていきたい。

前提の揃わない関係を、二階堂ふみはこれからも真ん中で引き受けていくのだろう。


※記事は執筆時点の情報です

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