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幼少期の「ごっこ遊び」、数年後のメンタルと関係していた

  • 2026.6.23
幼少期のごっこ遊びの上手さは、数年後のメンタルヘルスと関連がある / Credit:Canva

子どものころ、「お店屋さんごっこ」や「お医者さんごっこ」をした記憶はありませんか?

多くの人にとって懐かしい幼児期の「ごっこ遊び」ですが、新たな研究では、この遊びが数年後のメンタルヘルスと関係している可能性が示されました。

オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)などの研究チームは、2〜3歳時点のごっこ遊び能力と、その後の情緒面・行動面の困難との関連を追跡調査したのです。

この研究は、2026年3月27日付の学術誌『Early Childhood Education Journal』に掲載されました。

目次

  • ごっこ遊びの影響を調査
  • 幼少期にごっこ遊びが上手だった子は、数年後のメンタルに問題が少ない

ごっこ遊びの影響を調査

ごっこ遊びとは、現実の物や状況を、別のものとして扱う遊びのことです。

たとえば、ぬいぐるみにご飯を食べさせる、タオルを毛布に見立てる、段ボール箱を家にする、友だちと役になりきって遊ぶといった行動が含まれます。

大人から見ると単なる空想遊びに見えるかもしれません。

しかし小さな子どもは、ごっこ遊びを通して気持ちを表現することがあります。

まだ言葉で不安や怒りを十分に説明できない子どもでも、遊びの中では経験を再現したり、誰かの役になったり、自分の気持ちを外に出したりできます。

これまでの研究でも、ごっこ遊びは不安への対処や感情発達と関係する可能性が指摘されてきました。

ただし、ごっこ遊びが数年後のメンタルヘルスとどう関係するのかを、大規模な一般集団で長期的に調べた研究は多くありませんでした。

そこで研究チームは、オーストラリアの大規模縦断研究「Longitudinal Study of Australian Children」のデータを使い、子ども1426人を対象に分析しました。

調査では、まず2〜3歳時点で、保育者が子どものごっこ遊び能力を評価。

評価項目には、人形やぬいぐるみに食べ物をあげるような単純なふり遊び、物を別の物に見立てる遊び、友だちと役割を演じる遊びが含まれていました。

その後、4〜5歳と6〜7歳の時点で、保護者と教育者が子どものメンタルヘルスを評価しています。

ここで見られたのは、不安や抑うつ、引きこもりのような内在化問題と、攻撃性、多動、ルール違反のような外在化問題です。

結果として、2〜3歳の時点でごっこ遊び能力が高かった子どもほど、4〜5歳、6〜7歳の時点で、こうした情緒面・行動面の困難が少ない傾向が見られました。

より詳細な結果を次項で見ていきましょう。

幼少期にごっこ遊びが上手だった子は、数年後のメンタルに問題が少ない

研究チームは、家庭の社会経済状況、母親のメンタルヘルス、子どもの言語能力、親子の愛着関係など、発達に影響しそうな要因を統計的に調整しました。

それでも、ごっこ遊び能力の高さと、後のメンタルヘルス上の困難の少なさとの関連は残りました。

特に教育者による評価では、4〜5歳時点と6〜7歳時点の両方で、内在化問題や外在化問題が少ない傾向が確認されています。

保護者による評価でも、6〜7歳時点では小さいながら有意な関連が見られました。

研究チームは当初、ごっこ遊びが感情調整能力(不安や怒りなどの感情を落ち着かせ、コントロールする力)を育てることで、後のメンタルヘルスにつながると予想していました。

しかし実際には、この「感情調整」を介した関係は確認されませんでした。

そのため研究者たちは、別の発達過程が関係している可能性を考えています。

論文では、その候補として「身体化認知」という考え方が挙げられています。

これは、考えることが脳の中だけで完結するのではなく、身体の動きや物との関わりとも深く結びついているという考え方です。

子どもが箱を家に見立てたり、医者になりきったりするとき、そこでは想像力だけでなく、身体の動き、役割理解、即興的な判断、問題解決が組み合わさっています。

こうした経験が、感情調整とは別の形で、後の心の健康と関わっている可能性があるというのです。

ただし、この研究は観察研究であり、「ごっこ遊びが直接メンタルヘルスを良くした」と証明したものではありません。

もともと情緒面や行動面の困難が少ない子どもほど、ごっこ遊びをしやすかった可能性も残ります。

また、ごっこ遊びの評価は保育者への3項目質問に基づいており、対象も保育サービスを利用していた子どもに限られます。

そのため、今後は研究者による直接観察や構造化された遊び課題、さらにランダム化比較試験によって、因果関係や具体的な仕組みを確かめる必要があります。

それでも今回の研究は、幼児期の自由なごっこ遊びが、単なる暇つぶしではなく、子どもの心の発達と深く関係している可能性を示しました。

子どもが夢中で作る小さな空想の世界は、未来の心を支える練習場なのかもしれません。

参考文献

Early pretend play is linked to better mental health years later
https://www.psypost.org/early-pretend-play-is-linked-to-better-mental-health-years-later/

元論文

Longitudinal Evidence of the Relationship Between Pretend Play and Mental Health in the Early Years
https://doi.org/10.1007/s10643-026-02150-7

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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