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「時間内に終わらないのは自分の責任だよね?」残業した社員に冷たく言う社長が設けた最悪のルールとは

  • 2026.6.23

事務所の片隅にある100円玉の箱

うちの会社の事務所には、奇妙な箱がひとつ置かれている。

社長が出張先で買ってきた貯金箱で、上にマジックで「残業罰金」と書かれていた。

残業をする社員は、1日につき100円玉をこの箱に入れなければならない。

箱は事務所の出入口近くに置かれており、誰が払い、誰が払わなかったかが視線で全員に共有される配置になっていた。

社長の建前は「ダラダラ残業をなくすため」だった。最初に説明された朝礼では、皆が苦笑いしながら頷くしかなかった。

誰も真っ向から反論できなかったのは、社長が普段から「時間管理ができないやつは無能」と公言していたからだ。

声を上げた人間が無能の烙印を押されるのは、火を見るより明らかだった。

夕方18時を過ぎる頃、事務所には独特の緊張感が流れ始める。

仕事が終わっていない人間は黙って財布を出し、100円玉を1枚指でつまんで箱に近づいていく。

チャリン、と乾いた音だけが事務所に響く。誰も顔を上げない。

隣の席も、向かいの席も、まるで音そのものを聞かなかったかのようにキーボードを叩き続ける。

新人が震える声で発した質問

その日も同じだった。

入社2ヶ月目の若い新人が、デスクに残った見積書の山を見つめていた。

先輩から引き継いだ案件は明日が締切で、定時で帰れる状態ではない。

新人は箱の前に立ち、財布から100円玉を取り出した手を止めた。

そして社長の方を恐る恐る振り向き、震える声で聞いた。

「これ…払わないとダメなんですか?」

事務所中の手が止まった。

誰もが10ヶ月以上、無言で払い続けてきた100円玉に対する初めての異議申し立てだった。

社長は資料を見ていた顔をゆっくり上げた。表情に笑みはなかった。

「時間内に終わらないのは自分の責任だよね?」

声色は穏やかで、説教の語調でもない。

事実を確認するような響きだけがあった。新人は何も返せず、しばらく立ち尽くしたあと、無言で100円玉を箱に落とした。

チャリン、と音が鳴る前に、事務所の空気が凍った。

その日以降、新人は2度と質問しなかった。先輩から引き継いだ業務量がそもそも定時で終わる量でないことは、皆が知っていた。

月末の請求書ラッシュ、年度末の決算補助、繁忙期の案件量。どれをとっても1人の人間が定時で終わらせるのは物理的に不可能だった。

それでも誰も声を上げない。声を上げた瞬間に「無能」のタグが貼られることを、誰もが察していたからだ。社長は今日も穏やかな顔で、満杯になった箱の100円玉を数えている。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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