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人と動物との、目に見えない境界を写す。遠藤文香の写真集『Pneuma』が完成

  • 2026.6.25

光や動物、自然を対象に、それらと人間との間に生まれる感覚に心を寄せ、写真作品を制作している写真家の遠藤文香さん。日本とロンドンを行き来しながら、今回刊行したのは、岩手・遠野にある高原で撮影した作品集。その制作について話を聞いた。

写真集『Pneuma』内の作品
BRUTUS

「岩手の遠野は民俗学と縁のある土地で、大学で民俗学を研究していた友人に、2年前に誘ってもらい行くことになりました。撮影をした荒川高原牧場には、夏の間だけ約100頭の裸馬が放牧されています。撮影はたった1時間くらいの一瞬の出来事でしたが、撮り始めた瞬間からカメラとシンクロしている感覚がありました。

いい写真が撮れるかどうかはいつも運みたいなもので、無駄足になることもたくさんある。その中で、一瞬で一作品になることはめったにありません。

写真集『Pneuma』内の作品
『Pneuma』に収録されている一枚。

タイトルの『Pneuma』は、ギリシャ語で風、魂、息という意味です。馬はとても繊細な動物なので、馬たちと自分の間に流れる空気や、言語になる前の呼吸やリズムのようなものを意識しながら撮影していました。特にここの馬たちは自由で好奇心旺盛、今まで出会った馬とは違い、初めて本来の馬の姿を見たような気がして驚きでした。

集中している時は、時間や音、自分自身からすら離れて没入している感覚があって。研ぎ澄まされていないと瞬間を察することはできません。その感覚を失わないよう、純度を保っていたいし、生き方や自分の状態は写真に正直に出てしまうと思うので、自分に嘘をつかず、生きていきたいですね」


Information

写真集『Pneuma』の書影
BRUTUS

『Pneuma』

アート、ファッション、広告など、幅広く活動する遠藤文香の写真集。「風でも、魂でもない、そのあいだにあるもの」を意味するギリシャ語『Pneuma』を手がかりに、岩手・遠野で撮影。roshin books刊。


profile

写真家・遠藤文香のプロフィール写真
BRUTUS

遠藤文香

えんどう・あやか/1994年埼玉県生まれ。2021年東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。『Pneuma』と同時期に『Ayaka Endo: Kanoko』も刊行。6月28日まで〈POETIC SCAPE〉にて個展『Kanoko』を開催中。

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