1. トップ
  2. エピソード
  3. 「お互い自分のことは自分で!」が口癖の夫。だが、食器を放置する夫に宣言通りやらせた結果

「お互い自分のことは自分で!」が口癖の夫。だが、食器を放置する夫に宣言通りやらせた結果

  • 2026.6.19

口癖と、流しの皿

夫には、ことあるごとに口にする言葉があった。

「お互い自分のことは自分で!」

家事を頼もうとするたび、決まってこれだ。なのに当の本人は、夜に食べた食器を流しに置いたまま寝て、翌朝そのまま出勤していく。

「お皿、洗ってから寝てね」

「自分のことは自分で、って言ってるじゃん」

その理屈で、なぜ皿が流しに積み上がるのか。私は子どもの世話も、家のことも、ぜんぶ抱えている。

なのに夫は、自分のことすらできていない。試しに私が皿を洗わずにいると、翌日は新しい食器を出してきて、また流しに重ねた。

「え、洗わないの?」

「自分のことは自分で、でしょ」

口ではそう返しながら、結局耐えきれず私が洗ってしまう。その繰り返しに、内心ずっとイライラしていた。

宣言通りにやってみた

ある朝、私は決めた。あなたがそう言うなら、その通りにしようと。

「分かった。じゃあこれから、本当にお互い自分のことだけやろうね」

「お、いいね。そうこなくっちゃ」

夫は得意げに笑った。きっと意味を分かっていない。その日から、私は自分の分だけを洗い、自分と子どもの分だけ料理した。

夫の食器の山には、いっさい手をつけなかった。

流しの皿は、日に日に高くなっていった。一日目、夫は気づかない。二日目も、見て見ぬふり。私は自分のきれいな皿で、淡々とご飯を食べた。

「なんか、皿たまってるな」

「あなたの分だよ。私は自分の分は洗ってあるから」

夫は一瞬黙ったが、まだ余裕の表情だった。

山が崩れそうになっても、見ないふりを決め込んでいた。

茶碗が尽きた朝

転機は三日目の朝に来た。出勤前、棚を開けた夫の手が止まった。

「あれ……俺の茶碗、どこ?」

使える食器が、一枚残らず尽きていた。山になっているのは、全部あなたが流しに置いたもの。私はコーヒーを飲みながら、静かに答えた。

「自分のことは自分で、でしょ?洗えば、あるよ」

夫は、流しの惨状と私の顔を、何度も見比べた。それから、ばつが悪そうに口をつぐんだ。やがて、ふらりと流しの前に立つ。

「……マジか」

初めて自分でスポンジを握り、渋々と山を崩しはじめた。ちょうど顔を出した子どもが、その背中を見て無邪気に言う。

「パパ、お皿洗ってるの珍しい!」

夫はばつが悪そうに肩をすぼめた。延々と続く皿を洗いながら、ぽつりとこぼす。

「俺、こんなに溜めてたのか……」

その日以来、夫は食器をその日のうちに洗うようになった。あれだけ動かなかった人が、今では流しを気にして先に手を出す。

「あなたの口癖、いい言葉だね」

そう言うと、夫は気まずそうに目を逸らした。自分の言葉が、まさか自分に返ってくるとは思っていなかったらしい。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる