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のぞいてみました、高校の防災訓練 ~防災先進校 中央大学杉並高等学校の取り組み~

  • 2026.6.17

子どもたちが平日、多くの時間を過ごす学校。中学、高校と進むにつれ、自宅から離れた場所へ通学する子どもたちも増えて、状況によっては被災時に帰宅困難になる可能性も。親としては学校でどのような防災教育、訓練が行われているのかを把握しておきたいところではないでしょうか。今回は、「だれも失わない学校づくり」を目標に掲げ、先進的でユニークな防災教育を展開している、中央大学杉並高等学校(東京都杉並区)の防災訓練をのぞかせて頂きました。

いのちを守ったその先も考えられる防災教育

そもそもの背景として、私立校の防災はすべて各校に委ねられており、災害時にはそれぞれの学校の工夫で子どもたちを守らなくてはなりません。2005年、同校の防災訓練担当になった菊地明範教諭が06年に防災士の資格を取得。もう1名の教諭も取得し、その2名が中心となって新たな防災への取り組みが始まったと言います。

「いわゆる普通の避難訓練はもうできていたので、避難の練習をするだけではなく、いのちを守る教育、いのちを守ったその先も考えられる防災教育に力を入れていくようになりました」(菊地教諭)

同校を訪れてみると、トイレの各個室に携帯トイレや生理用品といった防災備蓄品が備えられ、ドアの内側には災害時のトイレの使い方が掲示されていました。また、すべての教室には、応急処置ができるファーストエイドキットが教卓に配備され、後ろの壁には、ペットボトルやLEDヘッドライトなどを入れた生徒の非常用持ち出し袋(各自1つずつ)がかけられているなど、校内のいろいろなところで防災意識の高さを感じました。

同校の防災の取り組みは、2022年度の第27回防災まちづくり大賞で「日本防火・防災協会長賞」を受賞しています。

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みんなで「アルファ米」を食べてみよう

同校では春と秋の年2回防災訓練が行われます。ラップを利用した止血など、応急処置を学ぶ回、携帯トイレなどの排泄に関することを学ぶ回などいくつかのテーマで、「いざという時に身体が自然に動いて、いのちを維持することができるようなプログラム」を3年間の中で学べるようローテーションが組まれています。

2026年の5月には、いのちを守った後に必要になる「食」について学び、学校が備蓄しているアルファ米の試食を兼ねた配食訓練を行い、1~3年生の生徒961名が参加しました。アルファ米とは、炊き立ての状態のまま急速乾燥したもので、長期保存ができ、お湯や水を注ぐだけでおいしく食べることができます。この日は5種類のアルファ米のほか、お米と水を耐熱性の高いポリ袋に入れ、校内に配備されているレスキューキッチンシステムで炊いたごはんも試食しました。

「学校に備蓄してあるのはアルファ米ですが、生徒の自宅にはないかもしれない。自宅で被災する可能性も十分あり、お米をこのように炊飯できるということも知ってほしかった」(菊地教諭)

また、アルファ米は生徒による人気投票を行い、その結果を、今後の備蓄計画に反映していくのだそうです。

学校の防災訓練でありながら、学校内にとどまらず、いのちを守ったその先で必要となる知恵も伝授しているその在り方はとてもありがたいと、子どもを持つ一人の親として感じました。今回は、はじめて保護者代表も2名参加し訓練の様子を見学。保護者からの意見も取り入れ、今後の訓練に生かしていくのだそうです。

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いざ!試食

緊急避難速報が流れ、机の下に避難したのち、配食訓練が始まりました。生徒たちは自分で紙皿を作り、ラップをかけ、これに配膳係の生徒が、お湯で戻したアルファ米とごはんを配食していきました。

いよいよ試食。生徒たちに感想を聞くと、「初めて食べたけれど、思っていたよりもアルファ米、おいしいです」「袋に入れてお湯を入れるだけで、こんな風にお米が炊けると思わなかった。家に帰って親と一緒に炊いてみたいです」など、前向きな声がたくさん聞こえてきました。

5種類のアルファ米(きのこごはん、たけのこごはん、ドライカレー、お赤飯、山菜おこわ)の中で栄えある人気投票第1位に輝いたのはドライカレー! 筆者も試食しましたが、確かに味も香りも1番インパクトがあり、納得の結果。ただ、今回は1口ずつの試食だったので、1袋全部を食べるとなると、もう少しあっさりした混ぜご飯類の人気が高まるかもしれないとも感じました。購入される方はご参考に。

訓練後の講評の中で、副校長が「本日の体験をご家族のみなさまに話していただき、それぞれの家庭でも災害発生後に必要な備蓄を確認し、その実際の仕様を体験してみてほしいと思います。そうして、いのちを守った後のことは何とかできる!という安心を担保しておきましょう」と話された言葉が印象的でした。

災害はいつどこで起こるのか、自分がどこで被災するのかは誰にもわかりません。学校の中の訓練や学びが、家庭や日常と地続きになり、自分のいのちを守る知識や体験となるように仕掛けられた防災訓練は、生徒だけでなく、その家族をも守るものになっていると感じました。

「2006年から訓練の形を変えてきた成果が1番見えたのは2011年の東日本大震災の時だったかもしれません」と、菊地教諭。実際に生徒たちを学校に留めることになっても、教員側も慌てることなく対応できたと言います。防災の取り組みは平時にはなかなか成果が見えにくいものですが、非常時にこそその積み重ねが見えてくる。避難をするだけの訓練ではなく、「だれも失わない」ように、いのちを守ったその先の行動まで考えた訓練を行っている、中杉の防災教育。今後も要注目!です。

☞中央大学杉並高等学校の防災訓練の詳細は、こちらから。

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<執筆者プロフィル>
水野佳
保健師 / オートキャンプ歴9年

学生時代にはバックパックを担いでフィールドワークや旅に出かけ、バングラデシュでの井戸掘りなども経験。旅やアウトドアでの知識や経験を防災活動に繋げる。産業保健師として企業勤務時に、救命講習やBCPなどの企画・運営にも関わった経験も持つ。

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