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『バレないようにお願い』。彼が送ってきた地図に、私に宛てたとは思えないメッセージが添えられていた話

  • 2026.6.16
ハウコレ

出かける支度をしていると、彼から待ち合わせ場所の地図が届きました。場所を確かめてかばんを手に取ったとき、地図の下に短いメッセージが添えられているのに気づきます。けれど、その一文を読み返すほどに、嫌な予感だけが膨らんでいきました。

その日まで続いた、彼のそっけなさ

彼と付き合って、もうすぐ二年になります。この数週間、彼はどこかうわの空で、会っていてもメッセージアプリの画面ばかり気にしていました。

数日前、思いきって聞いてみたことがあります。「最近、何かあった?」。返ってきたのは、「ううん、ちょっと仕事が立て込んでて」でした。それ以上は踏み込めず、私はうなずいて話を終わらせました。久しぶりの休日に二人で出かける約束だけを心の支えにしていたのです。だからこそ、待ち合わせ場所の地図が届いたときは、ほっとしました。そう思っていた矢先のことでした。

地図に添えられた、ひとことの違和感

地図のすぐ下に、彼からの短いメッセージが続いていました。「先に着いてて。バレないようにお願い」。

私に送る言葉ではない、とすぐに思いました。私は今から向かう側で、先に着いて隠れる理由などありません。だとすれば、このメッセージは誰に向けたものなのか。頭の中で、よくない想像が次々とつながっていきました。この数週間のそっけなさ、画面を伏せるしぐさ、立て込んでいるという仕事。全部がこのメッセージに結びついていくようでした。

返信を打っては消し、また打ち直しました。「これ、私宛で合ってる?」。送信ボタンの前で何度もためらい、結局その問いは送れませんでした。確かめるのが怖かったのだと思います。

地図が示した場所で、待っていたもの

確かめる勇気が出ないまま、私は地図が示すカフェへ向かいました。歩いている間も、最悪の場面ばかりが浮かびます。

店の前まで来て、足を止めました。窓際の席に彼がいて、その向かいに座っていたのは、私の友人だったのです。テーブルには小さなケーキと花が置かれていました。私に気づいた彼が、ばつの悪そうな顔で店から出てきます。「ごめん、それ、友達に送るはずだったメッセージなんだ」。あとから出てきた友人も、申し訳なさそうに頭を下げました。「驚かせたかっただけなの。ごめんね」。二年目の記念に、二人でこっそり準備してくれていたのだと、そこでようやく飲み込めました。

そして...

席に着いてから、私は正直に打ち明けました。「てっきり、ほかの誰かと会うんだと思った」。彼は深く頭を下げ、この数週間、準備にかかりきりで私を不安にさせていたことを謝ってくれました。

サプライズはうれしい。でも本当は、毎日の小さな不安にこそ気づいてほしかった。そう伝えると、彼は「これからはちゃんと言葉にするよ」とうなずきました。

彼がケーキのろうそくに火をつけるころには、この数週間ずっと張りつめていたものが、ゆっくりとほどけていくのを感じていました。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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