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『毎月10万』母に仕送りする50代息子→「同居してないと扶養に入れない」と思いきや…8年後、判明した“制度の見落とし”

  • 2026.7.20
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPの柴田です。「扶養に入れる」と聞くと、同じ屋根の下で暮らす家族を思い浮かべる方が多いと思います。

今回は、その思い込みで8年間、払わなくてよかった税金を払い続けたAさん(55歳・男性)のお話です。

そもそも「扶養」には2種類ある

本題に入る前に、少しだけ整理させてください。一口に「扶養」と言っても、実は社会保険上の扶養と税法上の扶養という、まったく別の制度が2つあります。

社会保険の扶養は「健康保険の被扶養者にできるか(親の保険料負担がなくなるか)」という話。税法上の扶養は「あなたの所得税・住民税が安くなるか(扶養控除が受けられるか)」という話です。判定の基準になる収入のラインも、それぞれ違います。

同じ「扶養」という言葉なのに中身が別物なので、本当にややこしくてわかりづらいですよね。今回のAさんのケースで問題になるのは、後者の「税法上の扶養(扶養控除)」のほうです。

親孝行の毎月10万円

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

会社員のAさんは、地方で一人暮らしをする母親(80歳)に、毎月10万円の仕送りを8年間続けてきました。父親を亡くして以来、母親の年金だけでは生活が心もとないと知り、自分から申し出た仕送りです。子どもの教育費と住宅ローンを抱える身には決して軽くない負担ですが、「親の生活を守るためにも、まぁ仕方ないかな」と黙々と続けてきた、絵に描いたような親孝行息子です。

一方で、会社の年末調整の書類にある「扶養控除」の欄は、毎年きれいに空欄のまま。「扶養は同居している家族の話。別々に暮らしている母さんは関係ない」と、疑うことすらしていませんでした。

相談中の何気ない一言で時が止まる

転機は、筆者に家計とライフプランの相談をしにいらしたときのこと。雑談の中で仕送りの話が出たので、私はこう尋ねました。「Aさん、お母様を扶養控除に入れていないんですか?別居でも、仕送りで生活を支えていれば対象になりますよ。おそらくお母様の状況ですと、Aさんが控除を受けられると思います」。

Aさんは状況を飲み込めず、しばらくフリーズ。「扶養」と「同居」はセットだと考えていたため、「このFPは何を言ってるんだ?」と思ったそうです。

税法上は「同居」より「生計を一にしているか」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

税法上の扶養控除の条件は「同居していること」ではなく「生計を一(いつ)にしていること」。つまり、離れて暮らしていても、仕送りによって生活の面倒を見ている実態があれば対象になるのです。

ここで大事なのが「継続性」です。別居していても、毎月の仕送りで生活を支えていれば「生計を一にしている」と扱われる余地があります。逆に、年1回だけまとまった額を渡すような継続性の弱い援助だと、扶養として認められない可能性があります。つまり、金額の大きさよりも、継続的に生活費を負担している実態のほうが重要なのです。

もちろん親の所得が「年間の合計所得金額が48万円以下」という条件はあります(親が65歳以上で公的年金収入のみの場合、令和7年分以後は年金収入158万円以下が一つの目安)。70歳以上の親なら「老人扶養親族」として、別居でも年間48万円の所得控除が受けられます(同居なら58万円)。

ざっくり計算すると、Aさんの取り逃した節税額は所得税と住民税を合わせて年間約9万円。8年間で約72万円です。

「月いくら送ればOK」の明確な基準はない

「じゃあ毎月いくら送ればいいの?」と気になるところですが、実は日本の税法上、「月いくら以上送れば扶養にできる」という明確な金額基準はありません。

一方で、税務署からの確認や税務調査に備える意味では、銀行振込など記録が残る方法で継続的に送金しておくのが安全です。実務上は、親の生活費を実際に補っていることが分かる金額・頻度であるかどうかが重視されます。

ここでよくある勘違いを一つ。兄弟姉妹がいる場合、同じ親を扶養控除の対象にできるのは、原則として1人だけです。「みんなで少しずつ仕送りしているから、全員が扶養控除を受けられる」というわけではないので、誰が申告するかは事前に話し合っておきましょう。

税金は手を挙げた人だけが安くなる

税金の制度は、こちらから手を挙げないと1円も安くなりません。役所や税務署が「あなた、控除を忘れていますよ」とわざわざ教えてくれることはありません。

不幸中の幸いで、払いすぎた税金は「還付申告」でさかのぼって取り戻せます。ただし、さかのぼれるのは原則5年分まで。Aさんは筆者のアドバイスをもとに税務署で手続きをしています。

親に仕送りをしている方、離れて暮らす子どもに学費や生活費を送っている方、「生計を一にする」に心当たりがあれば、まずは国税庁のサイトや税務署、勤務先の年末調整の担当者に確認してみてください。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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