1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「無効になってしまうんですか?!」医療費控除で確定申告した40代女性、窓口で突きつけられた“ワンストップ特例の落とし穴”

「無効になってしまうんですか?!」医療費控除で確定申告した40代女性、窓口で突きつけられた“ワンストップ特例の落とし穴”

  • 2026.9.23
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

今回ご紹介するのは、毎年ふるさと納税のワンストップ特例を利用していた40代女性Aさんの体験談です。資産運用の相談で窓口を訪れたAさんが、雑談の中で語った確定申告の思わぬ顛末とは。

資産運用の相談で来店、雑談から出てきた確定申告の話

Aさんは45歳、正社員として働いています。夫と二人暮らしで、子供はいません。

この日は、以前から加入している投資信託の運用状況を確認するために窓口を訪れました。ひととおり相談が終わったあと、担当者が最近の様子をたずねると、Aさんは去年病気が見つかり、入院と手術を経験したことを話してくれました。手術から半年ほど経ち、体調はすっかり落ち着いているといいます。会話の流れで出てきたのが、年明けの確定申告での、ある戸惑いでした。

入院・手術をきっかけに、初めての確定申告へ

Aさんは毎年、ふるさと納税を4つの自治体に行い、それぞれの自治体にワンストップ特例申請書を提出していました。確定申告をしなくても寄附金控除が受けられるこの制度は、会社員のAさんにとって手軽で、これまでは「申請書を出せば、それで完了」という認識で続けていました。

去年の入院・手術を経て、退院後に医療費の領収書を整理すると、自己負担額は年間で25万円を超えていました。「これだけの金額なら、医療費控除を受けたほうがいい」と考えたAさんは、生まれて初めて確定申告をすることにしました。

「ワンストップ特例の申請はすでに済んでいるから、医療費控除の分だけ申告すればいい」。Aさんはそう考えていました。

「もう終わっている」はずの手続きが、無効になっていた

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ところが確定申告の相談窓口で、Aさんは思いがけない説明を受けました。ワンストップ特例は、確定申告をしない会社員などのための制度で、一度でも確定申告をすると、その年に提出していたワンストップ特例の申請はすべて無効になってしまうというのです。医療費控除だけを目的にした確定申告であっても、これは変わりません。

「申請書はちゃんと出したのに、無効になってしまうんですか?!」とAさんは戸惑いを隠せませんでした。

案内された対応方法は、ふるさと納税の分も、確定申告書の中に寄附金控除として自分で記入し直すというものでした。4つの自治体に寄付した金額や、それぞれの自治体から届いていた寄附金受領証明書を、あらためて確定申告書にまとめて記入することになりました。

手続きの手間は増えましたが、確定申告に正しく含めれば寄附金控除自体は受けられるため、税負担が増えるわけではないとの説明にAさんは少し安心したそうです。

「せっかく手続きを済ませたつもりだったのに、二度手間になってしまいました。医療費控除だけ別にできると思い込んでいたのが甘かったです」とAさんは振り返ります。

担当者からは、マイナンバーカードを使った「マイナポータル連携」についても案内がありました。事前に設定しておくと、医療費通知情報やふるさと納税の証明書データを自動で取得でき、確定申告書への入力もほぼ自動化できるといいます。

ただし、これはあくまで入力の手間を省く仕組みであり、確定申告をすればワンストップ特例が無効になること自体は避けられない、という説明もあわせて受けました。「今回は一から金額を拾い直しましたが、次に確定申告することがあれば、その仕組みを使ってみます」とAさんは話してくれました。

ワンストップ特例を利用する際に確認しておきたいこと

ふるさと納税のワンストップ特例を利用する際に確認しておきたいことは、次の点です。

  • ワンストップ特例は、確定申告をしない給与所得者などのための制度
  • 確定申告をすると、その年に提出していたワンストップ特例の申請はすべて無効になる
  • 医療費控除など、ふるさと納税以外の理由での確定申告であっても、ワンストップ特例は無効になる
  • 無効になった場合は、ふるさと納税分を寄附金控除として確定申告書に自分で記入し直す必要がある
  • 正しく確定申告に含めれば、寄附金控除自体は通常どおり受けられ、税負担が増えるわけではない
  • マイナポータル連携を事前に設定しておくと入力の手間は減らせるが、確定申告をすればワンストップ特例が無効になること自体は避けられない

「手続きは済んでいるから安心」と思い込む前に、あとから確定申告をする可能性があるかどうかを考えておくことが、二度手間を防ぐ第一歩です。ふるさと納税や確定申告について気になることがあれば、税務署や税理士に相談してみてください。


参考:
ふるさと納税の流れ(総務省ふるさと納税ポータルサイト)

執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ