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体調不良で欠勤が続いた50代男性→『傷病手当金があるから大丈夫』と思いきや…翌月、給与明細を見て“絶句したワケ”

  • 2026.7.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

業務外の病気やけがで働けなくなったとき、会社員を支える制度のひとつが傷病手当金です。ただし、給与のように決まった日に自動で入るものではありません。

今回は、体調不良で欠勤が続いた50代会社員の事例をもとに、「給与減と入金時期のズレ」について見ていきます。

「あとで補えるはず」が通用しなかった給与減の現実

今回のAさん(仮名・56歳)は、妻と高校生の子ども1人と暮らす会社員です。毎月の手取りは約32万円。妻のパート収入が月8万円ほどあり、世帯の手取りは月40万円前後でした。

住宅ローンは月9万2,000円、食費は月8万円、光熱費と通信費で約5万円、教育費と保険料で約7万円。月の支出はおおむね36万円です。子どもの塾代や部活動費が重なる月は、ほとんど貯金に回せないこともありました。

それでもAさんは、「会社員には傷病手当金があるから、病気で休んでも何とかなる」と考えていたそうです。実際、医療保険にも加入しており、入院費や手術費への備えはしているつもりでした。

ところが春ごろから体調を崩し、検査や通院が続いて有給休暇を使い果たし、ついに欠勤が続くようになりました。 そして翌月、給与明細を見たAさんは言葉を失います。いつも32万円ほどあった手取りが、なんと18万円まで減っていたのです。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

減給時に追い打ちをかける「社会保険料」の罠

なぜ、ここまで手取りが減ってしまったのでしょうか。 実は、「仕事を休んで給与が減っても、健康保険料・厚生年金保険料(社会保険料)や住民税は免除されず、前月までと同じ金額が引かれ続ける」という恐ろしいルールがあるからです。

育児休業などとは異なり、病欠による休職では社会保険料の免除制度はありません。基本給がカットされたにもかかわらず、高額な天引き額が変わらなかったため、手取りは予測を遥かに超えて激減してしまったのです。

山本さんは「傷病手当金があるから、あとで補えるはず」と考えていました。 仮に支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均が44万円であれば、傷病手当金の目安は1日あたり9,780円。対象日が20日分あれば、約19万6,000円になります。 (※現在の会社での加入期間が12か月に満たない場合は、別の計算方法が適用されます)

しかし、このお金はすぐに振り込まれるわけではありません。

傷病手当金は、実際に休んだ期間が経過した後に、本人の記入、会社の証明、医師の意見書をすべて揃えて提出する「完全な事後申請」です。 書類が受理されてから審査を経て振り込まれるまでには、通常1〜2か月近くかかります。

つまり、給与がカットされてから実際に傷病手当金が口座に振り込まれるまでには、「実質2〜3か月もの間、無収入(または大赤字)の空白期間」を自力で耐え抜かなければならないのです。

Aさんの場合、給与が大きく減った月の生活費36万円に対し、世帯収入は妻のパート分を含めても26万円ほど。差額約10万円を貯金から補いましたが、翌月も休みが続いたことで、固定費の引き落としが先に来てしまい、貯金は60万円台からあっという間に30万円台まで減ってしまいました。

その後、無事に傷病手当金は支給されましたが、入金されたときには、すでにカード払い、医療費、交通費、生活費の不足分を先にすべて貯金から立て替えた後でした。Aさんは「制度があること」と「今すぐ使えるお金が手元にあること」は別物なのだと、身をもって痛感したそうです。

傷病手当金で見落としやすい“入金までの空白”

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傷病手当金は、休んだ初日からすぐ支給される制度ではありません。療養のために連続して3日間仕事を休んだ(待期期間)後、4日目以降も仕事に就けない日が支給対象になります。

また、給与の全額を補う制度でもありません。目安は、原則として「標準報酬月額の平均を30日で割り、その3分の2」を1日分として計算します。

このような休職リスクに備え、あらかじめ次の点を確認しておきましょう。

  • 欠勤した場合、給与はどの月からどれくらい減るのか
  • 有給休暇は何日残っているのか
  • 傷病手当金の申請ルートと、会社・病院の書類作成にかかる日数
  • 入金までの数か月間の生活費を、どの預金から捻出するのか (※有給休暇などで給与が支払われている日は、傷病手当金は支給されません。ただし、支払われた給与が傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給されます)

病気への備えは、医療費より「毎月の支払い」から考える

病気への備えというと、多くの人が「入院費や手術費」を気に病み、医療保険を厚くしがちです。しかし、休職時に家計を本当に破綻させるのは、病院への支払いではなく「毎月の固定費の引き落とし」です。

住宅ローン、家賃、教育費、保険料、通信費などは、あなたの収入がゼロになっても、翌月から容赦なく口座から引き落とされます。さらに、休職中であっても「社会保険料」や「住民税」の請求は毎月届くのです。だからこそ、会社員の方であっても、万が一に備えて「生活費の1か月分、できれば3か月分程度」を、投資や定期預金ではなく、いつでも引き出せる普通預金(流動性資金)として口座に分けておくことを強くおすすめします。

月の支出が35万円なら、まずは35万円、できれば100万円前後がひとつの目安です。傷病手当金は非常に心強い制度ですが、あくまで「あとから入るお金」です。病気やけがに備えるときは、制度の有無だけでなく、「給与が減る月、申請する月、実際に入金される月」までのタイムラグを冷静にシミュレーションしておきましょう。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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