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韓ドラ・ツンデレ界の新星!『素晴らしき新世界』のチャ・セゲに見る“ツンデレ男”進化論

  • 2026.6.13

回を重ねるごとに視聴率を伸ばし、今期最大の話題作のひとつとなった『素晴らしき新世界』(Netflixで日本配信中)。なかでも視聴者を夢中にさせているのが、ホ・ナムジュン演じる財閥御曹司チャ・セゲだ。

SNSには「ツンデレ沼が深すぎる」「気づけばチャ・セゲのことばかり考えている」「1週間待てない」といった声があふれている。韓国ドラマにはこれまで数多くのツンデレ男が登場してきた。それにもかかわらず、なぜ私たちは今、チャ・セゲにこれほど心を奪われるのか。その魅力を筆者独自の視点で分析し、韓ドラ・ツンデレ男の系譜とともに探ってみたい。

本作は、朝鮮王朝時代に妖女と呼ばれた王の側室カン・ダンシム(演者イム・ジヨン)が毒殺刑で命を落とした後、現代を生きる無名女優シン・ソリの身体に転生するところから始まる。そこで出会うのが、財閥御曹司チャ・セゲだ。最悪の出会いを経て2人の関係は、やがて思いもよらない方向へ動き出す。

(写真=SBS)

これまで韓国ドラマには、数え切れないほどのツンデレ御曹司が登場してきた。『私の名前はキム・サムスン』(2005)のヒョン・ジノン(演者ヒョンビン)、『花より男子~Boys Over Flowers』(2009)のク・ジュンピョ(演者イ・ミンホ)、そして『シークレット・ガーデン』(2010~2011)のキム・ジュウォン(演者ヒョンビン)などは、韓ドラ史に残るその代表格だ。

彼らに共通するのは、恋を通じて男としても人間としても成長していくこと。すなわち韓ドラのツンデレ御曹司は、「本当の愛を知って変わる男」の物語でもあった。チャ・セゲもその系譜に連なるキャラクターであるが、なぜ私たちは彼にここまで熱狂するのだろうか。

筆者はその理由のひとつが、ホ・ナムジュンの「悪役顔」にあると考えている。

ヒョン・ジノンやク・ジュンピョ、キム・ジュウォンも登場当初は傲慢で近寄りがたい。けれど財閥御曹司らしい華やかさや王子様的な魅力を最初から備えていた。一方のチャ・セゲは違う。鋭い目つきと威圧感をまとい、王子様というよりラスボスのような存在感を放つ。顔立ちも強面で、何を考えているのかわからず、恋愛ドラマの主人公というよりは、むしろ敵役やダークヒーローを思わせる雰囲気だ。しかも“資本主義の怪物”という異名をもつ業界の異端児といわれている。だからこそ、愛する女性の前だけで見せる不器用さや弱さ、一途さがいっそう際立つのだ。

(写真=SBS)

ツンデレ男の魅力はギャップにあると言われるが、チャ・セゲの場合、その落差が歴代トップクラスなのである。その振れ幅こそが、視聴者を沼へと引きずり込む最大の理由ではないだろうか。それは彼のセリフにも表れている。

「時間を戻せたとしても、俺はまたばかみたいに君を探し回る」
「君が俺に失望したとしても、君さえ無事ならそれでいい」
「こんな男で悪いが、本心だからどうしようもない」

そこにあるのは、愛されなくても、理解されなくても構わない。ただ相手の無事だけを願う、むき出しの愛情だ。

その人のためなら失敗も空回りもする。甘い言葉を並べるより、探し、駆けつけ、守ることで気持ちを示す。決断力がある一方で傷つきやすく、孤独も抱えている。そのアンバランスさが人間味となり、見る者の心をつかむのである。

私たちが本当に心を奪われるのは、「こんな人がここまで誰かを愛するのか」という瞬間だ。チャ・セゲが多くの視聴者を沼に落としている理由も、きっとそこにある。彼は従来の「俺様なのに優しい」型とは一線を画す。あの悪役顔の御曹司が見せる、不器用で必死な愛情。他人には冷たいのに、一度愛したら誰よりも一途――それこそが、2020年代の韓ドラが生んだ新しいツンデレ像であり、チャ・セゲはその進化形を体現するキャラクターなのである。

(文=田名部 知子/Xで気ままなソウルの日常を発信中:@t7joshi)

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