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不倫相手と子どもを作り、悪びれもせず離婚を切り出した夫。怒った元サレ妻が、ベビーシッターとして彼の新しい家庭に潜入する!【書評】

  • 2026.6.11

【漫画】本編を読む

『元夫の家でベビーシッター始めました』(リアコミ:原作、shiyoco:漫画/KADOKAWA)は、夫の裏切りによって人生を壊された女性が、彼の新しい家庭に「別の立場」で入り込み、自らの生き方を見つめ直す物語である。一見すると復讐劇のようでありながら、その奥には、傷ついた人間は再び前を向けるのかという問いが横たわっている。

主人公・芹奈は、子どもを望みながらも夫とのレスに悩んでいる女性。だがある日、「女として見られない」という一方的な理由で離婚を突きつけられるが、夫が別の女性との間に子どもをもうけていたという裏切りがあった。しかも夫に反省の色はなく「慰謝料を払えばいいだろう」と開き直る状況だった。

このどうしようもない現実に対し、芹奈が選んだ行動が強烈だ。離婚後、彼女は元夫とその再婚相手、そしてふたりの子どもが暮らす家にベビーシッターとして入り込む。「復讐する気なのか」と怯える元夫。普通ならばあらゆる関わりを断ちたくなる相手の生活圏に、あえて踏み込むという設定が強い緊張感を生み出す。

物語の出発点は怒りであるが、話が進むにつれ、焦点は単なる報復から少しずつ変わっていく。壊された人生をどう立て直すのか。過去とどう折り合いをつけるのか。元夫の家庭という歪んだ舞台に立った芹奈自身の選択が見どころだ。

また、登場人物たちの「人間らしさ」も印象的である。元夫の身勝手さは際立っているが、再婚相手や子ども、そして芹奈自身もそれぞれに事情を抱えているため、単純な善悪で割り切れない状況が物語に奥行きを与えている。

タイトルからはセンセーショナルな復讐劇を想像するだろう。だが本作は、その復讐の後に残る虚しさも描いている。裏切られた者が人生を取り戻すこととはどういうことかを問いかけてくるのである。

文=ダカール

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