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芸妓にとって着物は「日常」でほぼ自前だけど…ただの衣服ではない受け継ぐ文化

  • 2026.6.10

札幌で芸妓をしております、「こと代」と申します。 「芸妓」といえば、京都のイメージが強いと思います。
しかし北海道にも開拓期から道内各地に花柳界がございました。
現在は札幌のみになってしまいましたが、「さっぽろ 名妓連」には11名の芸者衆が所属し、毎日お稽古、お座敷などで活動しております。

Sitakke

連載「さっぽろ芸妓日記」では、札幌の花柳界の歴史や 文化などをご紹介していきたいと思います。お付き合いのほど、どうぞ宜しくお願いいたします!

着物は、私たちにとって「衣装」であると同時に、日常の一部でもあります。だからこそ、その管理やメンテナンスはすべて自分の責任。

クリーニングに出すのはもちろん、ほつれを直したり、小さな不具合に気づいて手を入れたりと、一枚一枚に手をかけながら大切に付き合っています。

舞台などで使用する裾の長い特別な衣装(引き着といいます)は置屋さんからお借りすることもありますが、基本的に普段着ているものは自前です。

そう聞くと驚かれることも多いのですが、それだけ着物が生活に根付いているということなのかもしれません。

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こちらが裾引きの衣装。最近は男役をやらせていただくことが多いので、この姿になる機会はめっきり減りましたね

お客様からよくいただく質問のひとつに、「着付けは自分でしているの?」というものがあります。

答えは、ほとんどの場合が「はい」です。

今となっては普段着のような感覚なので、慣れてしまえば15分ほどで着られるようになりました。

ただし、引き着や複雑な帯結びになると話は別で、お母さんやお姐さんに手伝っていただくこともあります。

札幌には、京都のように着付け専門の男性である「男衆(おとこし)さん」はいません。

そのため、いつもお世話になっている呉服屋さんにお頼みしたり、お母さんに着付けをしていただいたり…。
その都度、着付け場所や時間を相談しながら自分たちでスケジュールを組みます。

そうした積み重ねもまた、札幌ならではのやり方なのだと思います。

若いころは落ち着いた色に憧れて…

Sitakke
どのように工夫すればステキに着こなせるか…。いつもお母さんやお姐さんにアドバイスをいただきます。日々、研究ですね

着物の選び方も、年齢や経験とともに少しずつ変わっていきます。

入門したばかりの頃は、赤やピンクのような華やかでかわいらしいものを着るように、という風に言われていました。

若い頃って、お姐さん方が着ているような渋くて落ち着いた色味のお着物に憧れたりするんですよね。

当時は、「かわいらしい着物は若いうちしか着られないからね!」とよく助言をいただいていたのですが、この言葉の意味がこの頃よく分かってきたような気がします。

年を重ねるにつれて、自分にふさわしい色や柄を選ぶ必要が出てきます。
今の自分は、ちょうどその移り変わりの中にいるように感じています。

着物を譲り、受け継ぐということ

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大切に扱えば、長く楽しめるのが着物のいいところ。メンテナンスについても、色々な方に相談しながら、お勉強中です

そしてもうひとつ、この世界のステキなところだと感じているのが「受け継ぐ」という文化です。

自分がかつてお母さんやお姐さんからしていただいたように、今度は自分が後輩へ着物を譲る側になってきました。

誰かが大切にしてきた一枚を、また別の誰かが受け取って着続けていく。

その循環の中にいられることが、とてもうれしく、誇らしくもあります。

着物はただの衣服ではなく、人から人へと想いごと受け継がれていくもの。

日々の手入れや工夫の積み重ねも含めて、その一枚に物語が宿っているのだと感じています。

***

連載さっぽろ芸妓日記」

文:さっぽろ名妓連 こと代
編集:Sitakke編集部あい

<「こと代」プロフィール>
札幌生まれ、札幌育ち。2018年にお披露目して以降、現在も最北の花柳界「さっぽろ 名妓連」で芸妓として活動中。開拓期から続く北海道の花柳界文化をたくさんの方に 知っていただくべく日々奮闘中。飼い猫達と遊ぶことが日々の癒し。

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