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腸は年齢とともにどう変わる?便秘が増える理由と腸を若返らせる3つのポイント

  • 2026.6.10

腸は年齢とともにどう変わる?便秘が増える理由と腸を若返らせる3つのポイント

栄養や水分を吸収し、不要物を便として排出するとともに、細菌やウイルスから体を守る腸は、単なる消化器官だけでなく、免疫や神経をコントロールする、いわゆる司令塔のような存在。年齢とともに腸は、どのように変化するのでしょうか。

PROFILE
一般社団法人日本美腸協会
常務理事 山村康子さん

「一家に一人、美腸の専門家を育てる」をテーマに、食事や生活習慣、腸もみなどを通じた“腸活”の普及活動を行っています。セミナー監修や講演、メディア出演も多数。腸内環境を整えることで、心と体の健康を支える大切さを伝えている。

加齢による腸の2つの変化

腸は全身に影響を及ぼす臓器だからこそ、加齢で体に変化が起こると、どうしても腸の変化は避けられないと話すのは、日本美腸協会の山村康子さん。その変化は大きく二つあると言います。

「一つは腸の動きです。年齢を重ねると、だんだん活動量が減っていき、それに伴い筋肉も減っていきます。筋肉が減ると、便を押し出す力が弱まり、便秘になりやすくなるのです。もう一つは、腸の中身の変化です。年をとると腸内細菌のバランスが変化し、体によいとされる有用菌が減ってしまうこともわかっています」

そもそも腸の中には100兆個ともいわれる腸内細菌が生息し、全身のバランスを整えています。一般的に、体にプラスに働く「善玉菌」、反対にマイナスに働く「悪玉菌」、このどちらか優勢なほうに傾く「日和見菌」に分けられますが、最近では、体に役立つ働きをする菌として「有用菌」あるいは「有益菌」、その反対の菌として「有害菌」という分け方をするケースも増えています。

「これらの腸内細菌は、椅子とりゲームのようなもので、有用菌が減ると有害菌が席をとってしまう。ですから加齢によって有用菌が減り、有害菌が増えると、腸内細菌のバランスが乱れて、今までうまくいっていた調整がうまくいかなくなるのです」

体だけでなく、生活習慣の変化も大きいと山村さんは指摘します。

「昔は朝から焼肉に行けたのに、と言う人も多いように、年をとると、だんだん食べられなくなります。これは唾液や胃液など消化液が減り、消化する力が低下してしまうことが原因。また水も飲めなくなってしまう。これは喉の渇きを感じにくくなるのと、トイレを気にしてしまうことから生じていて、この水分不足が便秘につながることも少なくありません」

こうした体や生活習慣の変化から、便秘をはじめ、便が緩い、ガスが多い、お腹が張るといった悩みを持つ、ゆうゆう世代の女性が多いと言います。

腸の老化を防ぐ3つのポイント

では老化にストップをかけて、腸を若返らせるにはどうしたらよいのでしょうか。

「腸の内側と外側、両方から刺激を与えることが大切です。内側からの刺激は、まず食事です。食べなければ腸は動きませんので、腸によい食べ物を心がけて同時に、水分もしっかりとるようにします。外側から必要なのは、筋肉による刺激、つまり運動です。すでにウォーキングなどを習慣にしていらっしゃる方も多いでしょうが、とてもいいですね。さらに大切なのは、生活リズムを整えること。特に腸にとって、朝はゴールデンタイム。朝時間を整えると、腸が元気になります」

ゆうゆう世代の腸活のカギは「食事」「運動」「生活リズム」の3つなのです。

腸食の基本は「発酵食品+食物繊維」

先述したように、食事については「有用菌を意識してとることが重要」と山村さん。具体的には、どんなものをとるとよいのでしょうか。

「『発酵食品+食物繊維』は、毎日とってほしいですね。発酵食品には、ビフィズス菌や乳酸菌、酪酸菌といった有用菌がたっぷり含まれています。

口に入れた有用菌は、食物繊維をエサにして発酵しますが、その過程で酢酸や酪酸、プロピオン酸などの“短鎖脂肪酸”を生み出します。短鎖脂肪酸には、腸のエネルギー源になるだけでなく、腸のバリア機能を守り、有害菌が増えにくい環境をつくる働きがあるため、発酵食品と食物繊維はセットでとるのが、よい腸をつくるのに欠かせないのです」

この短鎖脂肪酸を生み出す食物繊維を“発酵性食物繊維”と言いますが、その代表的なものが水溶性食物繊維のほか、食物繊維のように働くレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)やオリゴ糖などです。

「不溶性食物繊維は、ごぼうや玉ねぎなどのイヌリン、りんごや柑橘類などのペクチン、オートミールやもち麦などのβグルカン、わかめや昆布などアルギン酸に含まれます。またレジスタントスターチは、冷えたごはんやじゃがいも、青めのバナナ、豆類、長芋など。オリゴ糖は豆類や果物、はちみつに多く含まれています」

発酵食品と食物繊維の組み合わせとは、例えばどんなものでしょうか。

「ヨーグルトにオートミールやはちみつを加えたり、納豆に海藻を合わせてサラダにしたりするとよいでしょう。また野菜を使った漬物は、それ自体が発酵食品と食物繊維を兼ね合わせたものになっています。その土地ごとの漬物を改めて見直すのもいいですし、キムチやザワークラウトなど、海外の漬物を食卓に取り入れるのも新鮮です。

また最近は麹が身近になっています。料理に塩麹やしょうゆ麹を使う人も多いですし、甘酒も人気。でも、やっぱり麹の代表選手は味噌です。味噌汁の中に海藻や野菜を入れるだけで、発酵食品+食物繊維になります。材料がなければ、とろろ昆布や切り干し大根など買い置きの乾物を入れてもいいし、のりをちぎって入れてもいい。とにかく味噌汁は懐が深いんです」

ポイントは、なるべく頻繁に、そして多種類のものをとること。

「有用菌は、腸に定着せず、摂取をやめると減っていくので、繰り返しとることが大事です。また発酵性食物繊維は食品の発酵速度によって、大腸で発酵する場所が入口、中間、奥と異なるので、同じものばかりでなく、いろいろなものを食べて、腸に多様な菌を入れましょう。いろいろな種類の発酵性食物繊維をとることで、短鎖脂肪酸を継続的に生み出すことになります。市販のヨーグルトや納豆も、いつも同じものではなく、次に買うときは、少しミーハーな気持ちで違うものを選んでみる。そうすると、また違う菌が入ってよい刺激になります。ちなみにヨーグルトは乳酸菌で発酵させているので、多くに乳酸菌が入っていますが、ビフィズス菌が入っているかどうかは商品によりけり。ビフィズス菌入りがほしいときは、『ビフィズス菌入り』表示のものを選びましょう。また『生きて腸まで届く』とうたわれるヨーグルトは、胃酸に強い菌として乳酸菌やビフィズス菌が入っていることが多いですね」

「発酵食品+食物繊維」は1日3食のうち、必ず1食は入れてほしいと山村さん。

“生きるエネルギー”をつくる腸活

とはいえ、急に食物繊維を増やすのは要注意とか。

「食物繊維を急に増やすと、おなかが張ってしまうことがあります。特にガスが多くなってきたと感じる人が増やすと、パンパンに感じることがあります。ただし、おなかが張ってもゼロにせず、少し減らす程度にしましょう。その分、水分を増やして調整すると、おなかの張りが落ち着きます」

1日3食が基本ですが、食の細い人は何回かに分けてもよいそう。

「食べられないと体力も落ちるし、腸の働きも弱っていくので、1日の中で分けて少しずつでも食べてほしいですね。間食に果物やヨーグルトを食べるのは、とてもよいですね」

食べることは生きるエネルギーだからこそ、食事は大切にしてほしい、そう山村さんは言葉に力を込めます。

「腸が元気になれば食欲も出るし、しっかり食べられます。ゆうゆう世代が腸活をすると、どんないいことがあるの?と聞かれたら、やはり生きるうえでの楽しみが増えるから、とお答えしたいですね」

まずは今夜の食事から何か一品、“腸食”を加えてみましょう。

取材・文/池田純子 写真/ピクスタ

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