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“嘘をつく子供”は将来どうなる?長期研究で見えた「普通の嘘」と「危険な嘘」の違い

  • 2026.5.31
気を付けるべき「子供の嘘」のパターンとは / Credit:Canva

「食べてないよ」

そう言いながら、口の周りをチョコだらけにした子どもを見たことがある人は多いでしょう。

子どもの嘘は、大人にとっては困った行動に見えます。

では、子どもの頃によく嘘をつく人は、大人になってから問題を抱えやすいのでしょうか。

カナダのマギル大学(McGill University)の研究チームは、3000人以上の子どもについて、6歳頃から19歳までの嘘の変化を追跡し、さらに成人初期の心理的・法的問題との関係を調べました。

この研究論文は2026年5月27日付の学術誌『Development and Psychopathology』に掲載されました。

目次

  • 嘘をつく子供は将来どうなるのか
  • 問題なのは、嘘が「増え続ける」「残り続ける」パターンだった

嘘をつく子供は将来どうなるのか

これまで子どもの嘘については、幼児期に嘘をつく能力がどのように現れるのか、認知能力とどう関係するのかがよく研究されてきました。

しかし、「嘘をつく子どもが、その後どのような発達をたどるのか」を長期間追跡した研究は多くありません。

そこで研究チームは、ケベック州で行われた長期調査のデータを用いました。

対象となったのは、1986年から1988年にフランス語圏の幼稚園に通っていた3017人の子どもたちです。

このうち2000人は代表的なサンプルとして無作為に選ばれ、残る1017人は幼稚園時点で行動上の問題が比較的多く見られた子どもたちでした。

研究では、親と教師が「その子はどれくらい嘘をつくか」を、6~19歳までのそれぞれの時点で評価しました。

回答は「当てはまらない」「時々ある」「頻繁にある」の3段階でした。

さらに研究チームは、6歳時点の攻撃性、12歳時点の衝動性、19歳時点の攻撃性、22歳時点の反社会性パーソナリティ障害の基準、25歳までの犯罪歴も調べました。

つまりこの研究は、単に「嘘をついたかどうか」を見るものではありません。

子どもの嘘が、成長とともに減るのか、増えるのか、あるいは一定のまま続くのかという「軌跡」を調べたのです。

その結果、ほとんどの子どもでは、嘘は低頻度で安定しているか、年齢とともに減っていく傾向が見られました。

一方で、一部のパターンでは、攻撃性や衝動性の高さ、成人初期に見られる反社会性パーソナリティ障害の基準、犯罪歴との関連が確認されました。

では、本当に「危険な嘘」とはどのようなパターンだったのでしょうか。より詳細な結果を見ていきましょう。

問題なのは、嘘が「増え続ける」「残り続ける」パターンだった

研究では、親の報告と教師の報告を分けて分析しています。

これは、家庭と学校では子どもの見え方が異なるためです。

実際、親と教師の評価は完全には一致せず、それぞれ別の側面を捉えていました。

教師の報告では、子どもたちは大きく3つのグループに分かれました。

最も多かったのは、嘘が少なく、年齢とともにさらに減っていくグループで、全体の73%を占めました。

次に多かったのは、年齢とともに嘘が増えていくグループで22%、残る5%は、幼少期には嘘が多いものの、その後大きく減少するグループでした。

ここで重要なのは、幼い頃に嘘が多かった子どもでも、その後減っていくケースがあったことです。

つまり、「小さい頃によく嘘をつく=将来危険」という単純な話ではありません。

親の報告でも、全体の58%は「時々嘘をつく程度」で安定しており、30%は低頻度のまま減少していきました。

一方で、親から見て「時々嘘をつく程度」が長く続くグループや、幼少期から中期にかけて一時的に増えた後に減っていくグループも確認されました。

そして研究チームは、こうした“嘘の軌跡”が、その後の心理的・法的問題とどう関係するのかを調べました。

教師の報告では、嘘が少ないグループに比べ、嘘が増えていくグループなどで、19歳時点の攻撃性や犯罪歴が高い傾向が見られました。

親の報告では、「時々嘘をつく程度」が長く続くグループで、犯罪歴や反社会性パーソナリティ障害の基準、19歳時点の攻撃性が高くなっていました。

また、6歳時点の攻撃性や12歳時点の衝動性も、嘘の軌跡と関係していました。

たとえば教師報告では、攻撃性や衝動性が高い子どもほど、嘘が増えるグループや、幼少期に高く後で減るグループに入りやすい傾向がありました。

親報告では、攻撃性や衝動性の高さは、「時々嘘をつく程度」が続くグループと関係していました。

この研究は「嘘をつく子は犯罪者になる」と示したものではありません。

重要なのは、嘘そのものではなく、“嘘が長く続くこと”や、“攻撃性・衝動性と組み合わさること”です。

子どもの嘘の多くは成長過程で見られる普通の行動である一方、一部の持続的なパターンは、支援を考える手がかりになり得ます。

子どもの嘘を見るとき、本当に重要なのは、その行動が時間とともにどう変化していくのかを見守ることなのかもしれません。

参考文献

Do lying children grow up to be criminals? Mostly not, but persistent patterns may signal later risk
https://medicalxpress.com/news/2026-05-children-criminals-persistent-patterns.html

元論文

The long view: Lie-telling trajectories, ages 6 to 19 years
https://doi.org/10.1017/S0954579426101515

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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