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酢の“本当の力”で体脂肪率10%減も!お酢沼にはまった教授と料理研究家が実感

  • 2026.5.29

酢の“本当の力”で体脂肪率10%減も!お酢沼にはまった教授と料理研究家が実感

「酢は体にいい」と聞くけれど、実際どう取り入れたらいいのでしょう? 全国33の酢蔵を巡る発酵料理研究家・岩間明子さんは、お酢を意識してとるようになってから、体脂肪率が自然に10%落ちたそう。東京農業大学の教授で調味料研究の第一人者・前橋健二さんとともに、「酢の本当の力」について語り合ってもらいました。3回に分けてお届けする第1回です。

酢は塩と並ぶ世界最古の発酵調味料のひとつです。

世界中で使われているにもかかわらず、日本では「酸っぱいのが苦手」「酢の物にしか使わない」という声も少なくありません。けれど酢には、酸味をつけるだけではない、さまざまな働きがあります。

酢の専門家であるおふたりが、歴史的な観点を加え、酢の持つ力について語り合いました。

「お酢が好きすぎて、33の醸造所を尋ねました」

岩間明子さん(以下、岩間) お酢とお酢料理を専門に掲げて料理研究家として活動するかたわら、お酢が好きすぎて、全国のお酢屋さんを訪ねる「お酢旅」を続けています。途中、コロナ禍で思うように旅ができない時期もありましたが、酢のおかげか私は元気に活動できて、2026年3月までに33の醸造所を訪ねることができました。

前橋健二さん(以下、前橋) 最近行ったところは?

岩間 兵庫県のマルカン酢です。

前橋 江戸時代初期からの歴史があるところだよね。

岩間 そうですね。300年以上の歴史がある醸造所が、いくつも残っています。お酢旅をしてわかったのは、ひとつとして同じ酢はないということです。つくり手の酢への想いはもちろん、つくり方、材料、環境、そして酢づくりに欠かせない酢酸菌という微生物。そのすべてが違っていて、醸造所に伺うたびに毎回新しい発見があります。

前橋 酢は懐の深い調味料なんだよね。食材のよさを引き出してくれるし、どんな調味料と合わせても、ちゃんと受け止めてくれる。合わない調味料がないんだよね。

岩間 本当にそうですね。ちなみに、先生がお好きな酢はなんですか?

ヒポクラテスが推奨した「酢ドリンク」の作り方

前橋 私は黒酢ですね。とくに壺でつくられた黒酢が好きです。独特の香りがあって、癖があると感じる人もいると思います。好き嫌いは分かれるかもしれませんが、私はあの香りがとても好きなんです。

岩間 先生は、黒酢をお酢ドリンクとして飲まれることもあるんですか?

前橋 飲みますよ。おいしいなあと思います。私の本『「にごり酢」だけの免疫生活』(青春出版社)にも書いたのですが、古代ギリシャの医師で「医学の父」とされるヒポクラテスも、酢を治療薬として処方していたんです。

とくに推奨していたのが、「オキシメル」という酢ドリンクです。作り方もきちんと記録されていて、酢に同量のはちみつをまぜ、20倍の水で薄めるとあります。オキシメルは治療のためだけでなく、食事のときの水代わりにも飲める酢ドリンクですよ。

岩間 お酢ドリンクは、古代ギリシャの時代からポピュラーだったのですね。

前橋 おそらく白ワインビネガーを使っていたのでしょう。実際に作って飲んでみると、さわやかでおいしいですよ。酢の量はほんの少しでいいんです。酸っぱいと感じるほど入れる必要はありません。少量でも効果は十分ありますから。

食事のときに飲むドリンクにするなら、水200mlに酢とハチミツをそれぞれ小さじ1杯で十分です。朝、昼、晩の3回飲めば、1日の推奨摂取量である大さじ1になります。

「特別ダイエットをしようとしたわけではないのに……」

岩間 1日15mlのお酢を、どうやったら毎日の生活の中で自然に取り入れてもらえるか。私は常にそこを意識しているので、古代ギリシャ時代から薬代わりに飲まれていたというエピソードは、とても興味深いです。

前橋 酢の健康効果について、古代の人たちは経験的に知っていたのでしょうね。
実際、酢には消化を助ける、筋肉の疲労を回復させるほか、血糖値の上昇を抑える、内臓脂肪を減少させるなど体へ見逃せない効果があります。

岩間 私も酢を意識的に使うようになって、体の変化を実感しています。特別ダイエットをしようとしたわけではないのに体脂肪率が10%も自然に落ちたり、長年の悩みだった便秘もいつの間にか解消したりしました。腸内環境が自然に整ったのだろうと思います。

前橋 酢には殺菌効果もあります。14世紀頃のフランスでペストが大流行し、多くの死者が出ていたとき、ある4人の盗賊は平気で町中を歩き回り、盗みを働いていたそうです。

なぜそんなことができたのかというと、感染予防のために、酢にハーブやスパイスを浸した消毒薬をつくり、それで口をすすぎ、鼻からにおいを吸い込んでから外出していたと言われています。

このときの消毒薬は「四泥棒の酢」と呼ばれ、今でもフランスで入手できます。抗生物質がなかった時代に、酢が効果的な殺菌剤のひとつとして使われていた例ですね。

岩間 私の初めての書籍『お酢推すレシピ』(主婦の友社)でも、防腐効果は酢の働きのひとつとして取り上げています。

酢は本当に多くの機能を持っていますよね。臭いをマスキングしたり、保存性や安全性を高めたりする働きも見逃せません。今回の本では、その中でも調味料としての力に注目しました。

前橋 酢は薬ではなく食品ですから、やはり「おいしさ」が大切だと思います。

お話を伺ったのは

前橋健二さん
東京農業大学 応用生物科学部 醸造科学科 教授

専門は農芸化学。博士。日本の調味料研究の第一人者。発酵における微生物と成分変化、発酵調味料、味の解析や味覚の仕組みなど、「発酵」と「味」について多方面から科学的にアプローチしている。著書に『「にごり酢」だけの免疫生活』(青春出版社)など多数。

岩間明子さん
ビネガー・発酵料理研究家/酢醸造所サポーター

お酢の魅力に目覚め、歯科衛生士として働きながら、お酢レシピの発信や、全国のお酢蔵を訪ね歩く「お酢旅」を続ける。お酢にハマるあまり、東京農業大学応用生物科学部醸造科学科の研究生となり、前橋教授に師事。『お酢推すレシピ』(主婦の友社)は初著書。

取材協力:東京農業大学
撮影:佐山裕子(主婦の友社)

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