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「老後のための貯金にしよう」生活費から“800万円”貯めた60代妻→夫の死後、税務調査で告げられた事実に“立ち尽くしたワケ”

  • 2026.8.14
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。節税が好きなFPの柴田です。

今回は、30年かけて育てた「へそくり」が、夫の相続で思わぬ形で裏切られた60代のAさんのお話です。

まじめにやりくりしてきた人ほど他人事ではない話なので、ぜひ最後まで読んでください。

生活費の残りを、こつこつ30年

Aさん(60代女性)は結婚以来、夫から渡される生活費を上手にやりくりし、残ったお金を自分名義の口座に移してきました。

特売を追いかけて生活費を抑え、知人との会合を我慢し、30年で貯まった残高はおよそ800万円。

「これは私の努力の結晶。老後のための貯金にしよう」という心意気で、通帳を眺めるのがAさんの密かな楽しみだったそうです。

税務調査で言われた「これはご主人の財産です」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ご主人が亡くなり、相続税の申告を済ませてしばらくした頃、税務調査の連絡が来ました。

調査官が注目したのは、Aさん名義の口座です。「奥様のご収入では、この残高の説明がつきません。原資はご主人の収入で、贈与の事実もないため、これはご主人の財産です」という趣旨の指摘を受けました。

Aさんは「生活費として渡されたお金の残りだから、私のものだ」と食い下がりましたが、認められませんでした。Aさん名義の800万円は「名義預金」として相続財産に加算され、追徴課税に。相談に来られたAさんは、「30年間何のために節約してきたの…」と立ち尽くしていました。

預金は「名義」ではなく「原資」で決まる

酷な話に聞こえますが、税務の世界では、預金が誰のものかは名義ではなく「お金の出どころ」と「誰が管理していたか」で判断されます。夫の収入から渡された生活費をやりくりして貯めたお金は、名義が妻でも法的には夫の財産のままです。過去の判例でも、生活費の残りを妻名義で貯めた預金は夫の遺産と扱われています。

この「名義預金」は、相続税の税務調査で指摘されやすい典型例です。専業主婦やパート勤めの妻の口座に、収入と釣り合わない残高があると、税務署は相続財産の計上漏れを疑います。調査では過去10年分ほどの通帳の動きが確認されるため、「バレないだろう」は通用しません。

税務署は「KSK(国税総合管理システム)」というシステムで、納税者の申告内容や収入の情報を長年にわたり蓄積・管理しており、家族名義の口座残高が収入と見合っているかどうかも把握しやすい体制にあります。特に、出金がほとんどなく入金ばかりが続く口座は、「実際に使っている本人のお金」ではなく、誰かの資金を貯め込んだだけの名義預金ではないかと疑われやすい典型パターンです。

Aさんの口座も、まさに30年間コツコツと入金が積み上がるだけの動きだったため、調査官の目に留まりやすかったと考えられます。

もったいないのは、Aさんの場合、最初から正直に申告していれば、配偶者には相続税の大きな軽減(法定相続分または1億6,000万円まで非課税)があるため、税負担はさほど重くならなかった可能性が高いことです。

申告から漏れたことで、本来の税金に加えてペナルティの加算税や延滞税まで付いてしまう。隠すつもりがなくても、結果として一番損な形になってしまいました。

へそくりを本当に「妻のもの」にするには

では、どうしておけばよかったのか。答えは、「贈与の形」を整えておくことです。夫婦の間であっても、あげた・もらったの合意を贈与契約書などの形に残すことが大切です。贈与を事実があれば、名義預金は回避できます。

また、年110万円の基礎控除の範囲を意識して記録を残す。もらった側が自分の印鑑と通帳で管理し、実際に使う。こうした積み重ねがあれば、妻の財産だと説明できます。逆に、夫に内緒でこっそり移しただけのお金は、どれだけ年月が経っても贈与にはなりません。

まとめ

悪意のないへそくりでも、申告漏れとなれば追徴課税の対象です。夫婦のお金の「名義と実質」のズレは、相続が起きてからでは直せません。ご主人が元気なうちに、口座のお金の出どころを整理し、必要なら贈与の形を整えておく。それが、30年の努力を本当に自分のものにする唯一の方法です。

念のため付け加えると、へそくりを貯めてきたこと自体は責められる話ではありません(普段の生活で名義預金を意識するほうが酷です)。今回のように、家計を預かっている方は、名義預金のリスクについて認識しておきましょう。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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