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「得をしたのは会社だけだった…」退職日を“月末の1日前”にした50代女性、後日届いた納付書を見て“絶句したワケ”【FPは見た】

  • 2026.8.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FP・社会保険労務士の柴田です。退職日を決めるとき、何を基準にしていますか?

多くの場合、「月末」や「有給休暇を消化しきる日」を退職日にするかと思います。

実は退職日が「月末かどうか」で、社会保険料ひと月分、金額にして数万円が動きます。今回は、そのたった1日で損をした50代女性Aさんのお話です。

「月末の前日で」と言われるまま決めた退職日

Aさん(50代女性)は、30年近く勤めた会社を3月いっぱいで退職するつもりでいました。

ところが総務との面談で「手続きの都合もあるので、3月30日付けの退職でどうですか」と提案され、「1日くらい同じでしょう」と深く考えずに了承。

退職日は3月30日、つまり月末の1日前になりました。

届いた納付書を見て「3月はまだ会社にいたのに?」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

よく見ると、3月分から自分で払うことになっている。「3月30日までは会社にいたのに、どうして?」。納得がいかず、私のところへ相談に来られました。

社会保険の資格を失うのは「退職日の翌日」です。3月31日(月末)退職なら資格喪失は4月1日で、3月分までは会社の社会保険に加入し、保険料は会社と折半。ところが3月30日退職だと資格喪失は3月31日となり、月末時点で会社の社会保険に入っていないため、3月分はまるごと国民年金・国保に自分で加入して全額自己負担になるのです。

私が試算すると、Aさんの場合の差額は数万円。しかも厚生年金の加入記録もひと月分減るため、将来の年金額にもわずかに響きます。

一方で、会社は3月分の社会保険料の会社負担分を払わずに済んでいます。Aさんは「得をしたのは会社だけだったんですね」と、悲しさと怒りが混在したような表情をしていました。

1日の重みの正体は「月単位ルール」

なぜ1日でこれほど変わるのかというと、社会保険料は日割り計算されず、月単位で決まるからです。月の最終日にどこの保険に入っているかで、その月ひと月分の払い先が決まります。

国民年金の保険料はひと月1万7,000円前後、これに国民健康保険が加わるため、退職月ひと月分を自己負担するだけで数万円になります。会社の社会保険なら半分は、会社が持ってくれていたお金です。

なお、会社の健康保険料が給与額に応じて決まるのに対し、国民健康保険料は前年の所得や家族構成で決まります。お住まいの市区町村によって計算方法が異なり、退職前の収入が高かった人ほど保険料が想定以上に高くなりがちです。「会社員時代と同じくらいだろう」と思って納付書を見ると、金額の大きさに驚くケースは少なくありません。

悪気のない「月末より少し前で」に注意

誤解のないように言うと、会社側に必ずしも悪意があるわけではありません。ただ、月末前退職なら会社はその月の保険料負担がなくなるのは事実で、「月末より少し前で」と勧められるケースは実際にあります。

悪気のない総務の提案が、結果として従業員の損になっていることもあるのです。退職日を1日動かすだけで数万円変わるのに、この仕組みを退職届を出す前に教わる機会は、ほぼありません。

なお、退職後すぐ転職先に入社して空白期間がない場合は、転職先の社会保険に切れ目なく入るため、この問題の影響はほとんどありません。また、退職後の健康保険には、国保のほかに会社の健康保険を最長2年続けられる任意継続や、家族の扶養に入る選択肢もあり、どれが有利かは人それぞれです。

Aさんもその後、国保と任意継続の保険料を並べて比較し、安いほうを選んで少し取り返しました。転んでもただでは起きないところは、さすがです。

まとめ

これから退職を考えている方は、退職日を決める前に「月末退職と月末前退職で、社会保険料はどう変わりますか」と確認してみてください。

たった1日の違いを知っているかどうか。それだけで、退職後の家計のスタートラインが数万円変わります。決して無視できない金額ですから、ぜひ社会保険のルールを知っておきましょう。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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