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3年前、“妊婦の殺人犯役”で震撼させた「愛され女優」記憶喪失ヒロインから派遣OLまで…若き実力派とは

  • 2026.6.24
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2022年8月、「THE BEAUTY WEEk AWARD 2022」で表彰された生見愛瑠(C)SANKEI

明るい看板を持っている人が、ふいに見せる静けさにハッとすることがある。それは別人を演じているのではなく、たぶんもともと持っていた温度が、たまたま画面に出ただけ。テレビでよく見るあの「めるる」も、ほんとうはそんな人なんじゃないかと感じる。

生見愛瑠。明るくて、可愛らしくて、バラエティでくるくる動き回る。その印象は、そのまま正しい。でも、それと同じくらいの熱量で、彼女には距離をとる温度がもとから同居している。陰と陽を切り替えるのではなく、同じ顔の上に両方を重ねて運べる人だと思う。

はじめての「主役級」の陰

その温度がはじめて画面で見えたのは、2023年のフジテレビ系ドラマ『風間公親-教場0-』。人気シリーズのスピンオフ的な連続ドラマ。めるるが演じたのは、萱場千寿留という19歳の大学生。臨月の妊婦で、子の父親で工芸家の浦真幹夫から「結婚はできないが生まれる子は引き取りたい」と告げられ、相手を背後から襲って殺害してしまう加害者。生見にとっては初の母親役で、本格的な「陰」の役でした。

声を落として、表情を抜いて、ただ泣き崩れるだけで表現しない。引き算で、別人の輪郭をそっと立ち上げていく。バラエティで弾けるあの愛嬌は、見終わった頃にはきれいに置き去りにされていた。

おもしろいのは、これを「めるるを脱いだ」と書きたくなる気持ちを、画面のほうがやんわり拒んでいたこと。脱いだのではなく、もとから持っていた温度のひとつを、役のかたちで出して見せた。そんなふうに映ったのです。バラエティの愛嬌を脇に置けるのは、別人格になりきれるからではなく、もう一つの温度を最初から自分の中に持っているから。そう感じる。

助演から主演へと駆け上がる

この時期から、業界側が生見を呼ぶ理由が、はっきり言語化されていきます。日本テレビ系『セクシー田中さん』(2023年)で演じた倉橋朱里は、木南晴夏演じる田中京子の「裏の顔」(ベリーダンサー)に憧れていく派遣OL。ボブのウィッグで、明るく可愛らしいトーンを一段抑えた役どころでした。この役で第118回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演女優賞にも届いた。

その流れがそのまま主演に届いたのが、2024年のTBS系ドラマ『くるり〜誰が私と恋をした?〜』。GP帯連続ドラマの単独初主演で、瀬戸康史・神尾楓珠・宮世琉弥の三人が相手役という、めずらしい設計のラブコメだった。

生見が演じた緒方まことは、記憶喪失のヒロイン。自分が誰なのか、誰を好きだったのか、何もない場所から物語が始まる役どころです。明るく可愛らしい「めるる」と、芯のある芝居をする「生見愛瑠」、その「全く違う一面を持っているところ」が様々な顔を持つ主人公にぴったりとハマる。

明るさだけで通すこともできたはずの場で、記憶のない側、自分の輪郭がない側を中心に置くほうを引き受けてしまう。脇で培ってきた引き算の芝居が、主演の比重をまるごと持っていく側に回った瞬間。陰と陽の同居が、画面の真ん中で動きはじめた転換点でした。

初の教師役への期待が高まる

そして2026年7月スタートの、フジテレビ系ドラマ『GTO』。生見が任されるのは、鬼塚英吉(反町隆史)の副担任を務める古典教師・柏原実央。合理的で、効率重視。トラブルは避けたい。生徒や同僚と一定の距離を置き、感情を表に出さない。生見にとって初の教師役で、なおかつ役どころとしては1998年版の冬月あずさ(松嶋菜々子)に次ぐ、鬼塚の「新たなバディ」。28年ぶりに動きはじめる『GTO』の新作で、ヒロインの比重がそのまま渡された形になります。

陰と陽を切り替える俳優ではなく、同じ顔の上に両方を重ねて運べる俳優。生見愛瑠という人の演技の正体は、そこにあるのだと感じる。明るい「めるる」を見て育ってきた人ほど、演技で見せる彼女はちょっと驚くかもしれない。でも、それはきっと別人の登場ではない。最初からそこにいた、もう一つの温度に、画面でちゃんと会える夜がある。その瞬間をもっといっぱい画面から浴びたい。


※記事は執筆時点の情報です

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