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現代クラフトの発展を目指す「ロエベ財団 クラフトプライズ 2026」の大賞と特別賞が発表

  • 2026.5.21
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レザーのクラフト工房としてスタートしたLOEWE(ロエベ)の文化財団、ロエベ財団がクラフトの革新に挑むアーティストたちにスポットを当てる「ロエベ財団 クラフトプライズ」。毎年開催される国際コンペティションの第9回となる、2026年の大賞と特別賞が発表されました。ファイナリストの作品は、ナショナル・ギャラリー・シンガポールにて6月14日(日)まで展示され、ロエベ財団のデジタルプラットフォーム「The Room」でも公開される予定です。

「ロエベ財団 クラフトプライズ 2026」のファイナリストが発表!

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現代クラフトにおける革新性や卓越性、芸術的価値を讃える「ロエベ財団 クラフトプライズ」は、2016年に発足して以来、クラフト技術の発展に貢献する新たなアーティストを多く発掘してきました。2026年は“均衡”や“不安定さ”、“緊張”の間を行き来するような作品群を紹介。自然界からのインスピレーションは素材と制作プロセスの双方に見られ、切断や湾曲、織り、積層といった工程を通して、“成長”、“衰朽”、“循環的変容”といったイメージが織り込まれました。籠編みや染色、テキスタイル、建築的制作といった手法が、現代的な文脈やスケール、協働によって再解釈されるなど、文化的伝統が作家に新たな指針を与え、「生きた言語」としてのクラフト作品が生み出されています。

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2026年2月に審査が行われ、133の国と地域から寄せられた5,100点を超える応募からファイナリスト30作品を選出。陶芸や木工、テキスタイル、家具、製本、ガラス、金属、ジュエリー、漆など、多岐にわたる作品が揃います。その中から大賞1作品と特別賞2作品が発表され、大賞受賞者には€50,000、特別賞受賞者には€5,000€が授与されます。

各界の第一線で活躍するさまざまな分野から審査員を招集

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2026年はロエベ財団のプレジデントであるシーラ・ロエベさんやロエベの新クリエイティブ ディレクターであるジャック・マッコローさんとラザロ・ヘルナンデスさん、2025年の同プライズの大賞受賞者である青木邦眞さんほか、デザインや建築、批評、ミュージアム・キュレーションなど各界の第一線で活躍する幅広い分野から審査員が集められました。審査員団は、技術的な達成度やクラフトの技巧、革新性、そして芸術的ヴィジョンという観点から、選出を行ったといいます。

今年のファイナリスト作品についてシーラ・ロエベさんは、「審査が歴代で最も困難だったもののひとつであると同時に、クラフトが現在どこまで広がり得るのか、そして未来においてどのような可能性を持ち得るのかを、審査員たちが深く議論する機会となりました」とコメント。ジャック・マッコローさんとラザロ・ヘルナンデスさんは、「ファイナリスト作品にはいずれも、並外れた献身、創造性、革新への意志が息づいていました。どの作品も、つくることの無限の可能性を力強く物語っています」とメッセージを寄せています。

大賞に輝いたのは韓国出身の陶芸家ジョンジン・パクさん

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大賞を獲得したのは、韓国出身の陶芸家であり、ソウル女子大学校助教授を務めるジョンジン・パクさん。“制御”と“崩壊”の間の緊張関係を探求した、椅子状のフォルムの作品《Strata of Illusion》が選ばれました。こちらは色付きの磁土を塗布した数千枚に及ぶ紙を積層し、高密度かつ直線的な量塊として形成されており、焼成の過程で紙は燃え尽き、熱と重力によって構造が沈み込み、歪みながら最終的なフォルムになっていくそうです。

ジョンジン・パク《Strata of Illusion》2025年 Hearst Owned

陶芸というメディウムに対する既成概念を覆しながら、意外性と必然性を同時に備えた彫刻的存在感を立ち上げた点が高く評価された同作品。磁器を基礎としながらも複数のクラフトの伝統に呼応し、空気によってフォルムを形成するアプローチは吹きガラスを想起させます。焼成の中で紙が消失していく詩的なプロセスや沈み込んだフォルムの不完全さが、審査員たちが強く惹きつけられたポイントだったそう。プロセスやリスク、素材の振舞いを作品の意味の中心に据える誠実さが、「ロエベ財団 クラフトプライズ」に通底するテーマに響きました。

特別賞は2作品が獲得

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特別賞のひとつめは、ガーナ・グルンシ地方の伝統的な集落を空撮写真をもとに再構成した大規模なタペストリー。スペインのデザイナー、アルバロ・カタラン・デ・オコンさんとガーナ上東州の遠隔地にあるボルガタンガという町で250人以上が集う職人コミュニティ「ババ・ツリー・マスター・ウィーバーズ」が共同制作したものです。

ババ・ツリー・マスター・ウィーバーズ(メアリー・アナバ、チャリティー・アベアマ・アトゥア、クリスティアナ・アナバ・アコルポカ、アサキロロ・アドゥコ、メアリー・アインボグラ、テニ・アイネ、スボロ・アイネ、プンカ・ジョー)×アルバロ・カタラン・デ・オコン《Frafra Tapestry》2024年 Hearst Owned

アルバロさんがマドリードで図面を描き、その後ガーナにてマスター・ウィーバーであるメアリー・アナバさんが率いる「ババ・ツリー・マスター・ウィーバーズ」がエレファントグラスを用いながら、伝統的な籠編み技法によってテキスタイルとして制作。現代的なテクノロジーと、祖先から受け継がれる織りの知識との融合が高く評価されました。失われつつある建築文化と生活様式の集団的記憶を記録しようとする、大陸を越えた創造的な協働が審査員に称賛されています。

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もうひとつの特別賞は、イタリア・パドヴァ出身のジュエリーアーティスト、グラツィアーノ・ビジンティンさんによる2点のネックレスです。薄い金板から構成された極小の立方体を連ね、古代の金工技法であるニエロによって装飾されています。

グラツィアーノ・ビジンティン《Collier》2025年 Hearst Owned

審査員はニエロを用いて現代的なジュエリー作品を生み出した、卓越した技巧と独創的なアプローチを高く評価。ニエロを金の表面に絵画的に施すことで、無数の小さな絵が連なっていくような視覚効果を生み出している繊細なデザインにも賛辞が寄せられました。

作品はナショナル・ギャラリー・シンガポールにて展示中。オンラインでも公開予定

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「ロエベ財団 クラフトプライズ 2026」のファイナリストの作品は、東南アジアで有数のビジュアルアート機関であり最大の近現代美術館ナショナル・ギャラリー・シンガポールにて、6月14日(日)まで展示されています。これらはロエベ財団によるデジタルプラットフォーム「The Room」でも公開され、あわせて展覧会カタログも刊行される予定です。革新的な技術や表現力で生み出されたクラフト作品に、ぜひご注目ください。

問い合わせ先
ロエベ ジャパン クライアントサービス
TEL/03-6215-6116
URL/www.loewe.com

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