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恐竜時代の琥珀から「光るホタルの新種化石」を発見

  • 2026.5.15
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

夏の夜、草むらの上をふわりと漂うホタルの光は、どこか儚いものに見えます。

しかし、その小さな光の歴史は、私たちが思うよりもはるかに古かったようです。

中国・河北大学(Hebei University)らの研究チームは今回、約9900万年前のビルマ琥珀に閉じ込められていた甲虫化石を調べ、現代のホタルに近いルキオリナ亜科(Luciolinae)に属する新属新種のホタル化石を発見したと報告しました。

新種ホタルの学名は「クレトルキオラ・ビルマーナ(Cretoluciola birmana)」と命名されています。

研究の詳細は2026年5月6日付で学術誌『Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences』に掲載されました。

目次

  • 恐竜時代の森には、すでに「ホタルの光」があった
  • 「ホタルの発光」は少なくとも白亜紀には完成していた?

恐竜時代の森には、すでに「ホタルの光」があった

今回見つかった化石は、ミャンマー産のビルマ琥珀に閉じ込められていました。

琥珀とは、太古の樹脂が長い時間をかけて固まったものです。

粘り気のある樹脂に小さな昆虫が捕まり、そのまま樹脂が化石化すると、まるで時間を封じ込めたカプセルのように、当時の姿を細かく残すことがあります。

今回の標本も、わずか数ミリほどの小さな雄の甲虫でした。

しかし、その保存状態は非常に良く、チームは大きな眼、糸状の触角、6つの腹部腹板、そして雄に見られる2つに分かれた発光器を確認しました。

【発見された琥珀中の化石画像がこちら

この「2つに分かれた発光器」が重要です。

現代の多くのホタルは、腹部にある発光器で光を出し、求愛や警告などのシグナルに利用しています。

今回の化石にも、それに近い発光器の構造が見られたため、チームはこの甲虫をホタル科の中でも、現代のホタルに近いルキオリナ亜科に属するものと判断しました。

つまり、恐竜がまだ地上を歩いていた白亜紀中期の森では、すでに現代のホタルに通じる仲間が存在し、夜の暗がりで光を放っていた可能性があるのです。

ただし、ここで注意したいのは、この研究が「ホタルの発光が9900万年前に誕生した」と証明したわけではない点です。

今回わかったのは、少なくとも約9900万年前には、発光器を備えたルキオリナ亜科のホタルが存在していたということです。

発光そのものの起源は、さらに古い可能性もあります。

「ホタルの発光」は少なくとも白亜紀には完成していた?

これまでにも、白亜紀の琥珀からホタルの可能性がある化石は報告されていました。

しかし、それらが本当に現代のホタルにつながるルキオリナ亜科なのかについては、疑問が残っていました。

今回の化石は、特徴がより明確で、ルキオリナ亜科として確実性の高い白亜紀化石とされています。

この発見が面白いのは、ホタルの「光るしくみ」が、少なくとも白亜紀の段階でかなり完成された形をしていたことです。

現代のホタルの光は「ルシフェリン」という物質と「ルシフェラーゼ」という酵素などが関わる化学反応によって生まれます。

今回の化石から化学反応そのものを直接見ることはできませんが、発光器の構造が現代のホタルに近いことから、当時のホタルも何らかの発光シグナルを使っていた可能性が高いと考えられます。

恐竜時代にはすでに「ホタルの光」がみれた?/ Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

夜の森で光ることには、さまざまな意味があります。

仲間に自分の存在を知らせることもあれば、異性への求愛に使われることもあります。

また、捕食者に対して「食べてもおいしくない」と警告する役割を持つ場合もあります。

もちろん、9900万年前のホタルが現代のホタルとまったく同じ点滅パターンで求愛していたとまでは言えません。

しかし、発光器がすでに備わっていたことは、白亜紀の夜にも小さな光のコミュニケーションがあった可能性を示しています。

恐竜時代というと、巨大な肉食恐竜や翼竜、シダ植物の森を思い浮かべがちです。

けれど、その足元や木々の間では、数ミリの小さな甲虫たちが、すでに淡い光を瞬かせていたのかもしれません。

この化石は、恐竜時代の世界が巨大生物だけの舞台ではなかったことを教えてくれます。

白亜紀の夜には、私たちが夏の風物詩として見ているホタルの光につながる、小さなランタンたちもまた存在していた可能性があるのです。

参考文献

Dinosaurs had company in the dark: Amber fossil reveals an ancient glow that lit Cretaceous nights
https://sciencex.com/news/2026-05-dinosaurs-company-dark-amber-fossil.html

元論文

A true Luciolinae fossil from the mid-Cretaceous Burmese amber provides new insights into the early evolution of fireflies (Coleoptera: Lampyridae)
https://doi.org/10.1098/rspb.2025.3316

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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