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なぜ?足の付け根が痛いとき、考えられる理由とは。痛み緩和ストレッチも

  • 2026.5.13

「歩くと足の付け根が痛い」「立ち上がるとき痛みがある」「朝起きたとき股関節がこわばっている」

足の付け根、つまり股関節周辺の痛みは、日常生活のさまざまな動作に影響を与えます。階段の上り下り、靴下を履く動作、車の乗り降りなど、当たり前にできていたことが痛みによって困難になると、生活の質は大きく低下してしまいます。

足の付け根が痛いときに考えられる主な原因と、自宅でできる痛み緩和ストレッチ、やってはいけないこと、そして病院を受診すべきサインについて、つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック院長・中谷 創先生が解説します。

足の付け根が痛いときに考えられる理由

足の付け根(股関節周辺)の痛みは、痛みの場所や性質、いつ痛むかによって原因は異なります。ここでは比較的多く見られる原因を紹介します。

1. 筋肉の硬さ・疲労(股関節周囲の筋肉の問題)

足の付け根の痛みで最も多いのが、股関節周囲の筋肉の硬さや疲労によるものです。長時間座り続ける人、運動不足の人、逆に急に激しい運動をした人に起こりやすい傾向があります。

股関節の動きに関わる主な筋肉には、腸腰筋(ちょうようきん)、大腿四頭筋、内転筋群、ハムストリングス、臀筋群などがあります。これらの筋肉が硬くなったり、疲労が蓄積したりすると、股関節の動きが制限され、痛みが生じることがあります。

とくに「腸腰筋」は、長時間座っていると縮んだ状態で固まりやすく、立ち上がったときや歩き始めに足の付け根の前側が痛む原因になりやすい筋肉です。

このタイプの痛みは、ストレッチや適度な運動で改善することが多いです。

2. 変形性股関節症

変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることで痛みが生じる疾患です。加齢とともに発症リスクが高まり、40代以降の女性に多く見られます。

初期は、歩き始めや長時間歩いた後に足の付け根や太ももの前側、お尻に痛みや違和感を感じます。進行すると安静時にも痛みが出るようになり、股関節の動きが制限されて、靴下を履く、足の爪を切るといった動作が難しくなることもあります。

日本人の場合、生まれつき股関節の形状に問題がある「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」が原因となっているケースもあります。

変形性股関節症は進行性の疾患であるため、早期発見・早期対応が重要です。痛みが続く場合は、整形外科を受診しましょう。

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3. 鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)

サッカーなど蹴るスポーツをしている人に多く見られるのが、鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)です。足の付け根の前面(鼠径部)に痛みが生じ、キック動作や急な方向転換で悪化します。

この症状は、股関節周囲の筋肉や腱、靭帯に繰り返しストレスがかかることで発症します。体幹や股関節周りの筋力バランスの乱れ、柔軟性の低下などが関係していることが多いです。

スポーツを続けながら痛みと付き合っている人も多いですが、放置すると慢性化しやすいため、早めにスポーツ整形外科などを受診することをおすすめします。

4. 股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)

股関節唇(こかんせつしん)とは、股関節の受け皿(臼蓋)の縁にある軟骨組織です。この部分が損傷すると、足の付け根の奥深くに痛みを感じたり、股関節を動かしたときに「カクッ」「ゴリッ」といった引っかかり感を覚えたりします。

スポーツによる繰り返しの負荷や、股関節の構造的な問題が原因となることが多いです。若い世代のスポーツ選手にも見られますが、中高年で発症することもあります。

股関節唇損傷は、レントゲンでは診断が難しく、MRIなどの詳しい検査が必要になることがあります。引っかかり感や動かしたときの痛みが続く場合は、専門医を受診しましょう。

5. 妊娠・出産に伴う痛み

妊娠中や産後の女性は、足の付け根に痛みを感じやすくなります。これは、妊娠中に分泌されるホルモン(リラキシン)の影響で、骨盤周囲の靭帯が緩むことが主な原因です。

また、お腹が大きくなることで姿勢が変化し、股関節周囲の筋肉に負担がかかることも痛みの原因になります。産後も、骨盤の不安定さが残っていたり、抱っこや授乳などで偏った姿勢が続いたりすることで、痛みが持続することがあります。

多くの場合、産後数ヶ月で自然に改善しますが、痛みが強い場合や長引く場合は、産婦人科や整形外科、骨盤ケアを専門とする施設に相談しましょう。

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続き:股関節の痛みを緩和! 無理なくほぐすストレッチ3選

股関節の痛みを緩和! 無理なくほぐすストレッチ3選

筋肉の硬さが原因の痛みであれば、ストレッチで症状が緩和することがあります。ここでは、股関節周囲の筋肉を無理なくほぐすストレッチを3つ紹介します。

【注意】 ストレッチは痛みのない範囲で行ってください。強い痛みがある場合、炎症が疑われる場合、原因が明らかでない場合は、まず医療機関を受診し、ストレッチをしてよいか確認してから行いましょう。

1. 腸腰筋ストレッチ(足の付け根の前側をほぐす)

デスクワークで長時間座っている人におすすめのストレッチです。股関節の前側にある腸腰筋を伸ばし、立ち上がりや歩き始めの痛みを緩和します。

やり方

1.片膝を床につき、もう片方の足を前に出して膝を90度に曲げる
2.背筋を伸ばし、骨盤を正面に向ける
3.体重を前にゆっくりと移動させ、後ろ足の付け根の前側が伸びるのを感じる
4.この姿勢を20〜30秒キープする

反対側も同様に行う。

ポイント

・腰を反らせないように注意する(骨盤を後傾させるイメージ)
・伸びを感じる程度で止め、無理に深く入らない
・呼吸を止めずに、ゆっくりと深呼吸しながら行う

2. 内転筋ストレッチ(太ももの内側をほぐす)

太ももの内側にある内転筋群が硬くなると、股関節の動きが制限され、足の付け根に痛みや違和感を感じることがあります。このストレッチで内転筋をほぐしましょう。

やり方

1.床に座り、両足の裏を合わせて膝を外側に開く
2.両手で足首またはつま先を持つ
3.背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと上体を前に倒す
4.太ももの内側が伸びるのを感じたら、その姿勢を20〜30秒キープする

ポイント

・膝を無理に床につけようとしない
・背中を丸めずに、股関節から折り曲げるイメージで前傾する
・痛みが強い場合は、上体を倒さずに姿勢をキープするだけでも効果がある

3. 臀筋ストレッチ(お尻の筋肉をほぐす)

お尻の筋肉(臀筋群)が硬くなると、股関節の動きが悪くなり、足の付け根の後ろ側やお尻に痛みを感じることがあります。座り仕事が多い人は、お尻の筋肉も硬くなりやすいです。

やり方

1.仰向けに寝て、両膝を立てる
2.右足首を左膝の上にのせる(数字の「4」のような形)
3.左太ももの裏に両手を回し、左膝を胸に引き寄せる
4.右のお尻が伸びるのを感じたら、その姿勢を20〜30秒キープする
5.反対側も同様に行う

ポイント

・頭や肩が床から浮かないようにする
・膝を引き寄せすぎず、お尻の伸びを感じる程度で止める
・腰に痛みがある場合は、無理をしない

これらのストレッチは、1日1〜2回、毎日続けることで効果が現れやすくなります。入浴後など、身体が温まっているときに行うと、筋肉がほぐれやすくなります。

足の付け根が痛いときにしてはいけないこと

痛みがあるときに間違った対処をすると、症状を悪化させてしまうことがあります。以下の点に注意しましょう。

1. 痛みを我慢して動き続ける

「動かさないと固まってしまう」「痛くても運動したほうがいい」などの考えから、痛みを我慢して運動を続けてしまうと、逆効果になることがあります。

炎症が起きている場合や、関節や軟骨に問題がある場合は、無理に動かすことで症状が悪化することがあります。

軽い筋肉の張り程度であれば、ストレッチや軽い運動で改善することもありますが、痛みが強い場合や運動後に痛みが増す場合は控えましょう。

2. 自己判断で強いマッサージや矯正を行う

炎症が起きている部位を強くマッサージする、矯正などを自己流で行ったりすると、かえって痛みが増したり、周囲の組織を傷つけたりする可能性があります。

マッサージや整体を受ける場合は、資格を持った専門家に相談し、現在の症状を伝えた上で施術を受けるようにしましょう。

3. 長期間放置する

「そのうち治るだろう」と痛みを放置してしまうことも、避けたい行動の一つです。

筋肉の疲労による一時的な痛みであれば、数日〜1週間程度で自然に改善することが多いです。しかし、2週間以上痛みが続く、徐々に悪化している、日常生活に支障が出ている場合は、何らかの疾患が隠れている可能性があります。

変形性股関節症などの疾患は、早期に対処することで進行を遅らせることができます。痛みが長引く場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

股関節の痛み、放っておくとどうなる?専門医に聞いた「歳のせい」にしないほうがいい理由

こんな痛み方は要注意!病院に行くべきサイン

以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

安静にしていても痛む

通常、筋肉や関節の痛みは、動かしたときに増し、安静にしていると軽減します。しかし、じっとしていても痛みがある、夜間に痛みで目が覚めるといった場合は、炎症や感染、その他の疾患が疑われます。

発熱を伴う場合は関節内の感染(化膿性関節炎)の可能性があり、緊急の対応が必要になることがあります。

痛みが急激に悪化した

昨日まで普通に歩けていたのに、急に歩けなくなるほど痛くなったなどの急激な悪化パターンは、骨折、関節内の出血、軟骨や靭帯の損傷などを示唆している可能性があります。

転倒や事故などの明らかなきっかけがある場合はもちろん、思い当たることがなくても急激に痛みが増した場合は、すぐに受診しましょう。

歩行が困難になっている

痛みのために足を引きずる、杖がないと歩けない、階段の上り下りができないといった場合は、関節や周囲の組織に大きな問題が生じている可能性があります。

日常生活に明らかな支障が出ている場合は、我慢せずに医療機関を受診してください。

しびれや感覚の異常を伴う

足の付け根の痛みに加えて、太ももや足にしびれ、感覚の鈍さ、力が入りにくいといった症状がある場合は、神経が圧迫されている可能性があります。

腰椎の問題(椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など)が原因で股関節周囲に痛みやしびれが出ることもあります。神経症状を伴う場合は整形外科や神経内科を受診しましょう。

腫れ、熱感、赤みがある

足の付け根が腫れている、触ると熱い、皮膚が赤くなっているといった場合は、炎症や感染が疑われます。発熱や全身のだるさを伴う場合は、感染症の可能性があるため早急に受診が必要です。

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監修者プロフィール

つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック院長 中谷 創(なかやつくる)

防衛医科大学校卒。つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック院長。医学博士、整形外科専門医。
日本スポーツ協会スポーツドクター。ラグビー日本代表の海外遠征などの帯同や東京オリンピック、ラグビーワールドカップの大会ドクターなどを務める。陸上自衛隊在籍中は医官として自衛官の健康管理や整形外科手術を手掛ける。東京、札幌などで勤務。
公式サイト https://tsukuruseikei.jp/

<Text:外薗 拓 Edit:編集部>

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