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【60代エンタメ】 歌舞伎界のプリンス市川染五郎が挑む『ハムレット』が開幕!現代に生きるハムレット像、そして新たなシェイクスピア俳優の誕生!

  • 2026.5.13

市川染五郎さんの初ストレートプレイ初主演となる『ハムレット』が5月9日から東京・日生劇場にて上演中。現代のハムレットを鮮烈に演じる市川染五郎さんの溢れる魅力が評判を呼んでいます。
 
世界的な演出家デヴィッド・ルヴォーのもと、ハムレットの母・ガートルード役を演じる元宝塚歌劇団花組トップスター・柚香光をはじめとした多彩なキャスト陣とともに、新風が吹き込まれたシェイクスピア悲劇の傑作。本作にかけるカンパニーの意気込みを、ゲネプロの舞台写真とともにお届けします!

(c)松竹/梅田芸術劇場
デンマークの王子ハムレット(市川染五郎)。揺れ動く心境を物語る独白は聞きどころ。

父王の死の真相から、叔父への復讐を誓う王子ハムレットは、祖父・松本白鸚さん、父・松本幸四郎さんも演じた大役。初のストレートプレイにして初主演となる『ハムレット』に挑む市川染五郎さんは、稽古を通して作品の奥深さと向き合ってきたと語りました。
 
「演出家のデヴィッド・ルヴォーさんから受け取ったものを、ひとつひとつ自分の中で整理しながら、“ハムレット”を作っていく作業が本当に楽しかったです。何を選ぶのか、何を決断するのかと悩む感覚そのものが、ハムレットの感情に重なっていった。役者として、こんなに面白いと思う時間はありませんでした」
 
また、「何百年もかけて世界中の人たちが磨いてきた作品だからこそ、演じる役者も自然とハムレットと一心同体になっていく。作品に向き合う自分自身の心情にも大きな影響を与えてくれました」とその実感を明かしました。

(c)松竹/梅田芸術劇場
左から、宰相ポローニアス(梶原善)、その娘オフィーリア(當真あみ)、息子レアティーズ(石川凌雅)。

「台詞は覚えるというより、ハムレットの心の動きをグラデーションのように作っていく感覚でした」と染五郎さん。「まず思考があって、そこから自然に言葉が生まれてくる」というルヴォーさんの演出を受けながら、感情の流れを丁寧に積み重ねていったといいます。
 
さらに、「ルヴォーさんから、“これは誰も見たことがない『ハムレット』になる”とプレッシャーをかけられました」と笑いながらも、「これまでさまざまな演出で『ハムレット』をご覧になってきた方にも、新鮮に映る作品になっていると思います」と心境を述べました。
 
「『ハムレット』を初めて観る方にも、言葉をきちんとお客様に届け、“共有する”ことを細やかに演出していただきました。これから約2か月間、そのことを忘れず、言葉の大切さを心に置きながら、この素晴らしい皆さんと最後まで走り切れたらと思っています」

(c)松竹/梅田芸術劇場
父の死後、すぐに叔父と再婚した母への嫌悪から、オフィーリアに対して女性への不信感を露わにするハムレット。

オフィーリア役で初舞台に挑む當真あみさんも、「稽古場では、ルヴォーさんから何度も、“舞台で、いま起きていることや、オフィーリアが感じているものを、お客様と共有してほしい”と言われていました」とエピソードを披露。
 
映像作品との違いについては、「目の前にお客様がいることがいちばん大きかった」と振り返り、「感情も大事ですが、それを見ている方に、いかにわかってもらえるか。自分の思いを伝えようと強く意識することが難しかったです。最初は、それが自分の想像のなかにとどまってしまうことが多かった」と、舞台ならではの表現についても語りました。キャストの皆さんのお芝居を見ながら、“こういうやり方があるんだ”と観察もしていたとそうです。
 
なかでも染五郎さんについては、「3時間を超える舞台ですが、稽古はそれ以上に長い時間。その中で、染五郎さんは最初から最後までずっと作品の中に入り込んでいました」と、その集中力に感銘を受けた様子。「その姿を見て、私も見習いたいと思っていました」

(c)松竹/梅田芸術劇場
叔父クローディアスの罪を確かめるためにハムレットは、ホレイショー(横山賀三)にある計略をもちかける。

(c)松竹/梅田芸術劇場
兄を殺した罪を悔い懺悔をするクローディアス(石黒賢)と遭遇したハムレットは、その場での復讐を思いとどまる。

ハムレットの母・ガートルード役を演じる 柚香光さんもまた、シェイクスピア作品の奥深さに魅了されているひとりです。「“この場面のこの言葉には、こんな思いが隠されていたんだ”という発見をしたと思ったら、次の日、“まだ全然わかっていなかった”という新しい発見がある。その繰り返しの日々でした」
 
さらに、「稽古の中でキャストの皆さんと共有してきた『ハムレット』を、これからどうお客様に届けていけるのかを、もっと把握していきたい」と話し、「難しさを感じながら演じていきたいです」と真摯な思いを語りました。

(c)松竹/梅田芸術劇場
ガートルードはハムレットの常軌を逸した行動に、彼の狂気を確信し、クローディアスに告げる。

そんなキャスト陣を見守る演出家・デヴィッド・ルヴォーさんは、染五郎さんについて「彼が感じているプレッシャーは、ご自身とハムレット自身によるものなのだと思います」と述べ、初めて歌舞伎座で染五郎さんを見た際、「なんて知性のある俳優なんだろう、この方はハムレットにぴったりだと思った」と明かしました。
 
また、シェイクスピア作品について、「“難しい”“わからないかもしれない”と思われがちですが、実は『ハムレット』は現代の戯曲なんです。父であること、母であること、そして死と向き合うことなど、人間のさまざまな側面が描かれているからこそ、繰り返し上演される」と、その普遍性を強調しました。
 
そして、「この作品の言葉は本当に力を持っています。そして、その言葉は観客の皆さんのものでもあり、舞台の上にいる私たちのものでもある。“言葉を分かち合うこと”、それがすべてです。この作品がご来場くださる皆さんに響くことを願っています。ぜひ楽しんでください」と締めくくりました。

衣装を身につけ、取材に登壇した皆さん。左から、横山賀三さん、梶原善さん、石黒賢さん、市川染五郎さん、當真あみさん、柚香光さん、石川凌雅さん、デヴィッド・ルヴォーさん。

最後に、ゲネプロ前の直前取材に登壇されたキャストの皆さん、そして演出家デヴィッド・ルヴォーさんからのメッセージをご紹介します。

ハムレット役 市川染五郎さん

(c)松竹/梅田芸術劇場
染五郎さん演じるハムレットは、喪に服す意味で常に黒い衣装を身に纏っている。

「素敵なカンパニーの皆さんと一緒に魂を吹き込んできた『ハムレット』が、ようやく幕を開けるんだなという気持ちで、本当に楽しみです。お客様が入って、初めて作品が鼓動を始めると思うので、その時間をお客様と共有できたらと思っています」

オフィーリア役 當真あみさん

(c)松竹/梅田芸術劇場
父ポローニアスに従い、これまでの贈り物をハムレットに返そうとするオフィーリア。

「初めて舞台に挑戦させていただいて、この1か月のお稽古の中で、本当にたくさん学ぶことがありました。皆さんのお芝居から得るものがたくさんあって、『ハムレット』という作品を自分の中でもどんどん深めていけた期間でした。これからは、今まで蓄えてきたものを舞台上で皆さんと共有していく作業を楽しんでいけたらと思っています」

クローディアス役 石黒賢さん

(c)松竹/梅田芸術劇場
力強い存在感と言葉で、周囲の人間をコントロールしようとするクローディアス。

「クローディアスは、ハムレットの父である王を殺した、とんでもない大悪人です。僕にとっては初めてのシェイクスピア、初めての日生劇場、そしてキャストの皆さんとも初めてだったんですが、それがすごく良かったなと思っています。この1か月、本当に濃密な時間でしたし、デヴィッドの演出のもと、いい稽古をさせてもらいました。あとはもう、僕がやるだけです」

ガートルード役 柚香光さん

(c)松竹/梅田芸術劇場
刻々と変化する状況のなかで、心境の変化を見せるガートルード。その美しさから目が離せない。

「1か月稽古を重ねてきましたが、お稽古すればするほど、“ここでこんな感情になるんだ”“ガートルードはいろいろな思いを抱えて生きていたんだ”という発見があって、そんな毎日でした。シェイクスピアが、それだけ深い戯曲を書かれたんだなとあらためて感じています。瞬間瞬間に感情や思考、情緒がどんどん広がっていくような、初めての体験をさせていただいています。劇場で、この『ハムレット』をお客様と共有できたら、本当に幸せです」

ポローニアス役 梶原善さん

(c)松竹/梅田芸術劇場
忠実な廷臣でもあり、レアティーズとオフィーリアとのよき父でもあるポローニアス。

「私は今年60歳になりますが、同い年の石黒さんと一緒で初シェイクスピアです。ポローニアスは、王に従順に仕えているように見えるんですが、結構、自分の意思を曲げずに、自分の守りたいものを守って、調べたいことを調べる、ちょっとわがままで勝手なやつです。今回は稽古の段階から若い俳優さんたちにも協力してもらって、楽しくやらせていただきました。気づけば、本当に素晴らしいカンパニーだなと思っていて、幸せに感じています」

レアティーズ役 石川凌雅さん

(c)松竹/梅田芸術劇場
ハムレットとレアティーズの決闘から、物語のクライマックスが始まる。

「俳優の方々、演出家の方、スタッフの皆さんも含めて、“今の時代だからこそ変化を進める意味がある”と思いながら、それを信じて今日まで作り上げてきました。長く受け継がれてきたシェイクスピアの物語を、責任と覚悟を持ってしっかり演じたいと思っています」

ホレイショー役 横山賀三さん

(c)松竹/梅田芸術劇場
心乱れるなかでもハムレットがただひとり信じる、学友ホレイショー。

「稽古が始まる前は、初めてのシェイクスピアに“大丈夫かな”と緊張していました。でも、『ハムレット』という歴史ある戯曲の言葉を、一つひとつ丁寧に読み解いていく日々が本当に刺激的でしたし、それを体で納得できた時に、少しずつ楽しめるようになりました。ホレイショーはハムレットが唯一信頼する友でもあるので、隣にいて説得力のある存在でいたいと思っています」

演出家 デヴィッド・ルヴォーさん

「初めて日本で仕事をしたのは30年ほど前になりますが、このカンパニーのほとんどの人たちは、まだ生まれていなかったかもしれません(笑)。
 
日本の演劇は、私の人生にとってとても大切なもののひとつです。このシェイクスピアの戯曲を、日生劇場で、この素晴らしいキャスト陣とともにお届けできることを大きな名誉に感じています。このカンパニー、キャスト、スタッフが作っている『ハムレット』は、歴史あるシェイクスピアと手を携えながら、過去と現代を結びつけています。
 
染五郎さんのハムレットは、未だかつて見たことのないハムレットです。まさに現代を生きている人物なんです。お客様もまた現代を生きている方々。この公演を皆さんと分かち合えることを、本当に心から楽しみにしています」

舞台『ハムレット』

〈あらすじ〉
デンマークの王子・ハムレットは、父王の急死と、その直後に母ガートルードと再婚し、叔父クローディアスが王位についたことに深く苦悩していた。ある夜、父の亡霊が現れ、自らの死はクローディアスによる毒殺だったと告げられたハムレットは、復讐を誓い、狂気を装いながら周囲の反応を探る。疑心暗鬼にさいなまれ、恋人オフィーリアや友人との関係も複雑に絡み合っていく中、彼は芝居を利用して叔父の罪を暴こうと試みるが、その行動は悲劇的な連鎖を引き起こす——

<キャスト>
市川染五郎 當真あみ 石川凌雅 横山賀三 梶原善 柚香光 石黒賢 竹森千人 吉田ウーロン太 浅野彰一 石原由宇 川原田樹 近藤隼 佐々木優樹 常住富大 伯鞘麗名 前東美菜子 水口早香 森内翔大 (オンステージスウィング)栗原功平 佐々木誠

<スタッフ>
作:ウィリアム・シェイクスピア 演出:デヴィッド・ルヴォー 翻訳:松岡和子

<チケット発売>
一般発売 2026 年2 月28 日(土)10:00より

<会場・日程>
【東京】 日生劇場
2026 年5 月9 日(土)~30 日(土)
チケット料金S :席14,000 円 A 席9,000 円(全席指定・税込) ※未就学児童入場不可
主催:松竹・梅田芸術劇場

【大阪】
SkyシアターMBS
2026 年6 月5 日(金)~14 日(日)
チケット料金:S 席14,000 円 A 席9,000 円(全席指定・税込) ※未就学児童入場不可
主催:松竹・梅田芸術劇場

【愛知】
名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
2026 年6 月20 日(土)~21 日(日)
チケット料金:全席指定14,000 円(税込) ※未就学児童入場不可
主催:メ~テレ・メ~テレ事業 共催:一般財団法人稲沢市文化振興財団

◆舞台 『ハムレット』 公式サイト https://hamlet2026.jp/

この記事を書いた人  編集・執筆  杉村道子

カルチャー系を中心にインタビュー記事を執筆しています。趣味は歌舞伎、落語、ミュージル、ストレートプレイに小劇場と、ひたすら雑食舞台鑑賞。年に何本見ているのか、最近は怖くて数えていません。

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