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「よろしければどうぞ」抱っこ紐の若いママに席を譲った50代の私→疲れた表情に走った笑顔で一日が軽くなった瞬間

  • 2026.5.10

朝の電車でやっと座れた一席

50代になって、立ち仕事の翌日は腰がひどく重く感じる日が増えました。

その日も、朝の通勤電車に揺られながら、私はようやく空いた一席にそっと腰を下ろしたところでした。

混雑したホームで何本か見送って、やっと座れた窓際の席です。

座れた瞬間に、こわばっていた背中の力がふっと抜けたのを、いまでもよく覚えています。

次の駅で扉が開き、車内にぐっと人が押し込まれました。

その人混みの中に、抱っこ紐で赤ちゃんを胸に抱えた、20代後半くらいの女性の姿が見えたのです。

電車が揺れるたび、抱っこ紐の中の赤ちゃんがぐらぐらと揺さぶられているのが、座席からはっきり見えました。

お母さんは赤ちゃんの背中を支えるように、もう片方の手を一生懸命添えています。

声をかけるかどうかで、一瞬だけ迷いました。

最近は親切のつもりで席を譲っても、「すぐ降りるので大丈夫です」と断られ、こちらが気まずくなる場面も少なくありません。

それでも、目の前の若いお母さんの疲れた目元と、首が完全に座っていない赤ちゃんの様子を見ていると、迷っている時間そのものがもったいなく思えてきたのです。

声をかけた瞬間に走った笑顔

私は鞄を持ち直して立ち上がり、できるだけ自然な声で言いました。

「よろしければどうぞ」

女性は一瞬だけ目を見開いて、それからすぐにふっと笑顔になりました。

「ありがとうございます。本当に、助かります」

遠慮するでもなく、迷うでもなく、まっすぐな声でした。

座った瞬間に、彼女の肩からすうっと力が抜けていくのが分かります。

胸元の赤ちゃんの体勢を整え直し、もう一度こちらに向かって、丁寧に頭を下げてくれました。腕の中の赤ちゃんも、揺れが落ち着いたからか、すっと表情が穏やかになっていきます。

(よかった、譲って)

胸の奥が、じんわり温かくなりました。

隣に立っていた中年の男性が、ちらっと私のほうを見て、ほんの少し会釈をしてくれたのも忘れられません。声に出さない、でも確かに通じ合った空気が、車両のその一角に流れたのです。

立ったまま終点まで揺られて、腰は正直少し痛みました。それでも、降りるときの足取りは行きよりずっと軽かったのです。

「ありがとう」のひと言が、こんなに人の一日を変えるのだと、50代になって改めて知った朝でした。譲る勇気を一つ出すだけで、自分の方こそ温かいものを受け取って帰る日があるのだと、しみじみ思います。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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