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<降霊か、後悔か>サークル合宿に参加した女子大生の身に起きた戦慄… “失踪した先輩”を呼び続けた狂気の一夜

  • 2026.5.6
写真はイメージです。提供:アフロ

実話怪談を語り続けて実に10年という記念すべき年を迎えた、生配信サービス「TwitCasting」の人気怪談語りチャンネル「禍話(まがばなし)」。

そんな禍話から、とある山間部のロッジに夏合宿にきた女子大生が体験した、不気味な一夜をご紹介します――。


「ちょうど1年前、ここで…」

写真はイメージです。提供:アフロ

次々と披露されていく“まことくん”への思い出と後悔の数々。

なぜ新入生への説明もなく夜中にこんな会が催されているのか。果たしてこれは本当に怪談なのか……。

Dさん曰く、今目の前で滔々と語る先輩たちが、日中に和やかに笑い合っていたのと同じ人物にはどうしても思えなかったそうです。

「私たちの落ち度だよ。『人の立てない林の中に女が立ってる』とか、そんなことあるわけないって、ちゃんと言えば良かった」

「思えば飲み会のときに『●●ちゃんがいる』って言っていたのも変だったよね。サークルの人でもないから、知り合いなのかと思っちゃったけど」

妙に聞き取れない名前。

「あ、ごめんね。1年には言ってなかったよね! ちょうど1年前の今日なんだ、まことがいなくなったの」

こちらに振り向きそう言ったI先輩の表情は、まるで“これで全部説明になっている”と言わんばかりのもので、その何気無さがDさんら1年生たちの心を曇らせました。

「だからさ、1年のみんなも、なんかおかしなことがあったらすぐに指摘してね! 誰か気づいた人いる?」

トイレに出かけたDさんの頭によぎった“記憶”

もう限界かも……そう感じたDさんは先輩の問いを逆手に取り、こう返しました。

「あ、あの! 指摘というか、私トイレに行ってきてもいいですか?」

「トイレかよ~!」

かすかに緩んだ場の空気。

Dさんはペコペコと頭を下げつつ、足早にロッジ外のトイレに向かいました。

自分の要領の良さに自分で感心しつつ用を済ませたDさん。手洗い場で鏡を見ていたとき、ふいにあの写真アルバムが頭をよぎりました。

「あ…………いや、絶対そうじゃん……」

ごっそり抜けていた去年のアルバム。その中心に“まことくん”がいたのではという疑念が、Dさんの中で閃きました。

一体、先輩たちは何を思ってこんな場所で私たちに何も告げずに合宿を平然とやっているのだろう……考えるだに答えが出なくなるその疑問に困惑していると、トイレの外の木陰から物音が聞こえたのです。

写真はイメージです。提供:アフロ

ガサッ……ガサガサッ……。

「ひっ!」

藪をかき分けるように遠のいていくその足音は、1人ではないようでした。

「…………うっ!!」

唐突にこみ上げる吐き気と、脳裏に閃光のように蘇る田んぼの光景。

男の肩に手を置いたまま、ゆらゆらと音もなくついていく女の陽炎のような後ろ姿。

「うげっ……」

手洗い場の流しに嘔吐してしまったDさんは、トイレから飛び出すと全力でコテージに走りました。

コテージに戻って見た信じがたい光景

「●●ちゃん……●●ちゃん……」

藪の向こうから聞こえてくるのは消え入るような男の声。なぜか彼の口にする名前が頭をすり抜けていくのです。

『思えば飲み会のときに「●●ちゃんがいる」って言っていたのも変だったよね。サークルの人でもないから、知り合いなのかと思っちゃったけど』

乱れる呼吸と吐き気を抑えながら、ロッジの扉を開けたDさん。

写真はイメージです。提供:アフロ

「……あの、ちょっと今トイレで、あの、私足音聞いて……それが……」

彼女が顔を上げた、そのときでした。

同級生たちも加わり総勢20人くらいでできた輪の中心に、見知らぬ女がこちらを向いて立っていたのが見えたのです。

その女の顔は、見えているのになぜか認識することができませんでした。

「さあ、思ったこと、気づいたことは遠慮なく言ってね!」

声を張り上げるI先輩。

「先輩、なんであのときと同じ場所を選んじゃったんですかぁー?」

「なぁんでだろうねぇ。最初は違う場所にするはずだったんだけどぉ。ごめん、私たちにもわかんないかも」

「あはははは」
「わはははは」

「Dちゃん。どうしたの、そんなところで?」

I先輩の言葉を受けた一同が、一斉にDさんのことを見つめました。

「まさかそれって、あの……」

Dさんは震える足でロッジから飛び出し、管理棟に向かって駆け出しました。

まだ電気が点いていた管理棟のドアをバンバンと叩き、迷惑そうに出てきた40代の男性と目が合った瞬間、Dさんはこらえきれずにその場でまた嘔吐してしまったそうです。

しばらくして落ち着きを取り戻したDさんは、水を差し出しながら背中をさすってくれる管理人さんに、自分の身に起きたことを全て伝えました。

こっそり酒を煽った大学生が見た悪夢と思われても構わない、そう覚悟していたDさんでしたが、管理人さんの返答は予期せぬものでした。

「まさか去年って……あの山狩りしても見つからなかった事件かな……」

管理人さんは“まことくん”の事件のことを知っていたのです。

写真はイメージです。提供:アフロ

どちらにせよまだロッジに不審者がいる可能性は捨てきれない……そう冷静に判断した管理人さんは奥から懐中電灯を取ってくると、Dさんに「私は現場を確認しに行くから君はここにいて」と告げたそうですが、メンバーの安否が不安だったDさんはよろよろと立ち上がり、同行を申し出ました。

「君の先輩たち、予約のときに全然違う大学名とサークル名を名乗っていたんだよ。だから全然気がつかなくて……」

懐中電灯の明かりで夜道を照らし、悔しさを滲ませながらそう語ってくれた管理人さん。

Dさんはロッジの前に着くと、さっきまであれだけ声を張りながら喋っていた先輩たちの声が聞こえないことに恐怖を覚えました。

「な、何やってるの、君たち……」

「すみませーん。管理人ですけどもー。ちょっと上がらせていただきますねぇー」

そっと開かれる扉の音。

しかし、管理人さんが急に足を止めました。

「な、何やってるの、君たち……」

写真はイメージです。提供:アフロ

管理人さんの脇から部屋を覗き込むと、I先輩を含むサークルメンバーたちが手を繋いでぐるりと円を描いたまま、誰1人動くことなく無言で突っ立っている姿が目に飛び込んできました。

その円の中から、あの女は忽然と姿を消していました。

Dさんが部屋の明かりを点け、管理人さんが幾人かの肩をゆすり始めてからようやく、皆ポツポツと意識を取り戻し始めたそうです。

あの正体不明の女のことを問いただしても、皆ぼーっとしたまま夢を見ているように返すばかり。結局I先輩の「すみませんでした……今日はこれでお開きにしますので」という一言でその場は解散となり、皆バラバラとそれぞれの寝室に引き上げていきました。

1人取り残され呆然としていたDさんは、心配する管理人さんの言葉に甘えて管理棟の空きベッドを借りることにし、そのまま朝まで泥のように眠ってしまったそうです。

翌朝、管理人に起こされると…

翌朝、慌てた管理人さんに起こされたDさんは、サークルメンバーが彼女を置いたまま先にキャンプ場を後にしていたことを知らされました。

同情して駅まで車で送ってくれた管理人さんに何度も頭を下げたDさん。

「こんなこと言うのは変だけどさ、あの人たちとはもう付き合わないほうがいいかもね」

「はい……」

写真はイメージです。提供:アフロ

1人乗り込んだ電車の中でDさんは、先輩たちがやっていたことはある種の降霊術のようなものだったのかもしれない、と思いました。

それほどまでに皆“まことくん”に会いたかった。それほどまでに大切な仲間だったのでしょう。

サークルメンバーの連絡先を1人ずつ消し、ついにI先輩の連絡先を消すとき、Dさんは泣いてしまったといいます。

それ以来、サークルメンバーはDさん以外全員行方不明となり、彼女は警察から何度も事情聴取を受けました。

その後、Dさんはどのサークルにも入らずひっそりと大学を過ごし、卒業後は全く別の地に引っ越して、今は幸せに暮らしているそうです。

文=むくろ幽介

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