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加藤シゲアキ原作脚本×大橋和也・寺西拓人W主演! 舞台『AmberS -アンバース-』の見どころは?

  • 2026.5.3

現在公演中の舞台『AmberS -アンバース-』のゲネプロ、囲み取材へ出かけた。本作のクリエイティブプロデューサー・原作・脚本を務めるのは加藤シゲアキ、演出は河原雅彦。大橋和也(なにわ男子)と寺西拓人(timelesz)のW主演の舞台だ。この名前が並んだ時点で、相当なボリューム感。「特に若い世代の方々にとって、演劇というのは敷居が高くなっているかもしれませんけれど、気兼ねなく楽しんでいただいて、観る側も演じる側も楽しい舞台を創りたい」という加藤の気持ちがこもった、「EX THEATER ARIAKE」のこけら落とし公演でもある。

「AmberS」とは永遠の若さを手に入れられる、伝説の琥珀の秘薬のこと。このAmberSをめぐって登場人物たちがそれぞれの野望や欲望、理想を行動で示していく。舞台は巨大国家パジャーリの地方都市ミトキオシティ。ヴィンガス(市川右團次)らが土地の浄化作業を担い、市民が暮らす都市に発展していた。その街には酒場を営む兄弟がいた。兄のイヴル(大橋和也)と、車椅子で生活をする弟のルイ(嶋﨑斗亜)だ。酒場の経営状態もけして芳しくはないけれど、イヴルの底抜けの明るさでなんとか暮らしていた。

その酒場にピアノ弾きとして現れたアラン(寺西拓人)。彼も何か事情を抱えていそうな憂いを帯びた表情をしている。

この日、生演奏を聴きに訪れた、ヴィンガスの娘・ノア(山﨑玲奈)と AI執事のケン(渡部豪太)は、運悪く酔っぱらい客に絡まれてしまう。が、おとなしかったアランが客をたったひとりで始末する力強さを見せる。その様子に心惹かれるノア。アランは再び演奏を続けるが、突然ルイが車椅子から崩れ落ちてこう言う。「虎が鳴いた……クラッシュが起こる……」。ここから反政府活動グループ「ユラリリス」のリーダー、オルッカ(猪狩蒼弥)やメンバーのエンリケ(川﨑皇輝)らを含む、多くの人物たちが動き出す。金満、拝金主義の思惑や、さまざまな思想が渦巻く。彼らいったいどんな結末を迎えるのか。

当日、ゲネプロを鑑賞して気になったことがいくつかある。

まずは「EX THEATER ARIAKE」へ入場した際の体感。新築特有の香りがする劇場に足を踏み込めるのは、人生のうちでそんなに多くはない機会だ。老舗の劇場もいいけれど、新しいと観客にとっても使い勝手がいい。まず素人でも分かるほど、音響が素晴らしかった。音が耳にきちんと響いているのがよく分かる。そしてさすが新設! と称賛したい劇場用固定椅子は長時間座っていても疲れ知らずだった。

続けてこの演目特有なのかもしれないが、とにかく仕掛けがダイナミックで観客を煽ってくる。炎などの特殊効果に、生演奏の音響効果、客にギリギリまで迫ってくる(ように思わせる)装置など、舞台でありながらどこかライブを観ているよう。内臓にも伝わってきそうな臨場感があった。

出演者の若さも輝いていた。その中でも山﨑玲奈の演技に意識が止まる。どこまでも伸びていくような声量とスリムな体型からは想像できないほど、迫力ある歌声を披露していた。誰だろうと調べると舞台「アニー」や「ピーター・パン」で主役を務めた経験のある19歳。舞台で生まれ育った実力が大きく花開いていた。もうひとり、初めて観たルイ役の嶋﨑斗亜も「おっ?」と思わせる密度の高い表現ぶり。上演中に緩急のある役柄を演じ切っていた。

そしてW主演のひとりである、大橋和也の湧き出る光のような明るさもストレートヒットだった。囲み会見で入退場する際も、満面の笑顔で少し腰をかがめて、小さく拍手をしながら歩いていたのはカンパニーで彼だけ。フォトセッションでも「ありがとうございます」「はーい」「ガッツ(ポーズ)とか大丈夫でしょうか」と、全方位のカメラマンをもてなしていた。2月に行われた「なにわ男子」のメンバーによるひとり舞台の会見でも同じような光景を見たけれど、関西出身ならでは、のサービス精神なのかもしれない。 壇上の挨拶では彼の恒例でもある「プリン食べすぎてお尻プリンプリン」のパフォーマンスも飛び出した。本人いわく、初日の緊張を解きほぐすために決行したらしいが、余計に緊張が増したとか。それ以外にも大橋の人柄の良さが滲み出ていたのは、会見中。出演者がマイクを通して話すと都度、その人物に顔を向けて「ウン、ウン」とうなずきながら、拍手も交えてリアクションをしていた。こんな朗らかな人がいてくれると、チームワークは心強いはず。とにもかくにも、囲み会見は大橋劇場。取材陣の気持ちがやわらいだ。

大橋が演じたイヴルは、本人の太陽のような人柄が反映されていた。対して月のような静かさを讃えた寺西が演じるアラン。静と動が奏でる舞台を創り上げた、二人の先輩である加藤の多才ぶりにも、改めて唸った。アイドル、俳優、小説家、脚本家、演出家……と年々肩書きを増やしながら、まだ38歳。後輩を含めてクリエイターや俳優の才能を牽引するポテンシャルが、舞台に輝いていた。次はどんな一面を魅せてくれるのだろうか。

そんな新しいエンターテイメントを目の当たりにして感化されたのか、劇場の帰り道に「♪アンバース」とオリジナル劇中歌を自然と口づさむ。これぞ“生”の醍醐味だ。5月24日、千穐楽までの本作の無事上演を願う。

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