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アン・ハサウェイが『プラダを着た悪魔2』で再びアンディに! 前作から20年間の進化を振り返る

  • 2026.5.3
アン・ハサウェイが『プラダを着た悪魔2』で再びアンディに! 前作から20年間の進化を振り返る
『プラダを着た悪魔2』 (C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

アイドル的存在から一歩抜け出した時期に出演した前作

【この俳優に注目】『プラダを着た悪魔2』は、人気作の待望の続編というだけでなく、主人公・アンディを演じるアン・ハサウェイのキャリアをあらためて振り返る機会でもある。

一流ファッション誌編集長の新人アシスタントとして奮闘したアンディ。その後は報道記者として活躍していたが、古巣のファッション誌「ランウェイ」の危機を救うべく再び現場に復帰する。劇中のアンディ同様、久々に懐かしい場所=役に戻ったハサウェイがキャラクターの成長をどう演じるか、メリル・ストリープが演じるカリスマ編集長ミランダとの関係が、今回の大きな見どころになっている。

ハサウェイのキャリアを振り返ると、同じ場所に戻るというよりも、似たテーマに何度も向き合いながら少しずつ視点を変えてきたことが分かる。なぞるのではなく、少しずつ高度を変えて進んでいくような歩みだ。

最初の転機となったのは、アン・リー監督の『ブロークバック・マウンテン』(2005年)だ。映画デビュー作『プリティ・プリンセス』シリーズ(2001年、2004年)で主演を務めてブレイクしてから、しばらくは明るく清楚なイメージがついて回った。その殻を破るべく挑んだのが本作だ。裕福な家庭に育ったロデオクイーンで、夫の秘密に薄々気づきながらも家庭を守ろうとする女性を演じ、短い出演シーンの中で実力を示した。この作品を見たストリープが『プラダを着た悪魔』(2006年)への起用を後押ししたとも言われている。

結果的にハサウェイは、その期待に見事に応えた。彼女が演じたアンディ・サックスは未知の世界に飛び込み、試行錯誤を繰り返しながら少しずつ適応していく。新しい環境で自分を変えていくという王道の成長物語は、ハサウェイ自身がアイドル的存在から一歩抜け出すタイミングとも重なり、『プラダを着た悪魔』で彼女のキャリアは大きく前進した。

『レ・ミゼラブル』の熱演でアカデミー賞助演女優賞受賞

その後はイギリスの作家を演じた『ジェイン・オースティン 秘められた恋』(2007年)やアクション・コメディ『ゲット・スマート』(2008年)で役の幅を広げ、さらに『レイチェルの結婚』(2008年)では薬物依存や家族の問題を抱えた不安定な女性を演じて、第81回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。

『プラダを着た悪魔』が「努力は報われる」というポジティブなトーンだとすれば、『レイチェルの結婚』はそう簡単にはいかない現実を描く作品であり、ハサウェイはここで内面の揺れや弱さをむき出しにする演技へと踏み込んだ。

文字通り身を削る熱演を見せたのがミュージカル映画『レ・ミゼラブル』(2012年)だ。社会に追いつめられ、幼い娘を遺したまま命を落とすファンテーヌを演じ、役作りで大幅に減量。か細い体で絶望の淵にいる女性の悲しみを強烈に表現し、アカデミー賞助演女優賞を受賞した。同年にはクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト ライジング』でキャットウーマンを演じ、セクシーな怪盗としての魅力も示した。

 

 

大作からインディーズまで出演

一方で、『マイ・インターン』(2015年)では新興企業のCEOを演じ、彼女に求められる“前向きな働く女性”像を進化させた。ミランダに通じるキャラクターだが、ここではロバート・デ・ニーロがメンター的な存在として登場する。過去の要素を踏まえながら新しいテーマに挑むのも、ハサウェイの特徴だ。

意外なアプローチで驚かされたのが『シンクロナイズドモンスター』(2016年)だ。求職中でアルコール依存症の女性で未熟さや弱さも抱えたキャラクターを、SFブラックコメディという枠組みの中で演じ、新たな一面を見せた。本作では製作総指揮も務めている。

さらに『ブルックリンの恋人たち』(2014年)や『ブルックリンでオペラを』(2023年)、『アイデア・オブ・ユー ~大人の愛が叶うまで~』(2024年)など、俳優としての地位を確立して以降、製作者としても自ら関わる作品を選び取る姿勢も明確になっている。

近年では大作とインディーズ作品の両方にバランスよく出演している。『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』(2019年)のような社会派作や、ユダヤ系家庭の教育熱心な母親を演じた『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』(2022年)では助演として作品を支え、全体のバランスを意識した落ち着いた演技を見せている。

アンディの変化にハサウェイ自身の歩みが重なる

こうした流れを踏まえて『プラダを着た悪魔2』を見ると、アンディの変化にはハサウェイ自身の歩みが重なって見える。

アンディはキャリアを積み、意思決定する立場にいるが、完全に迷いがなくなったわけではない。状況に振り回され、自分の選択に悩む姿は20年前とは違うかたちでリアリティを持っている。

アンディとミランダの再会シーンは、本作のトーンを象徴している。相変わらず素っ気ないミランダと人懐こいアンディ。20年前と同じようでいて、どこか違う。その絶妙な距離感が、新たな物語の始まりを感じさせる。2人の関係は、俳優としてのハサウェイとストリープの関係にも重なる。

定位置に安住せず、同じテーマに何度も向き合いながら少しずつ変化してきたアン・ハサウェイ。 “変わる”のではなく、“変わり続けている状態”を演じてきた。その積み重ねが、今回のアンディという人物像に集約されている。(文:冨永由紀/映画ライター)

『プラダを着た悪魔2』は、2026年5月1日より日米同時公開中。

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