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小1の保護者「うちの子が下校中に悪口を言われた…」と電話が。翌日、本人に確認すると“予想外の返答”に「今でもよく覚えています」

  • 2026.5.20
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こんにちは。元小学校教員ライターの、みずいろ文具です。

小学校1年生を担任していると、大人では想像できないような言葉や行動に驚かされることがあります。

今回は、1年生を担任していたときに経験した、子ども同士のトラブルにまつわるエピソードをご紹介します。

放課後にかかってきた一本の電話

ある日の放課後、私宛に電話が入りました。
私が担任している男の子、Bさんの保護者の方からでした。

「ちょっと先生…うちの子が下校中にA君に悪口を言われたらしいんです

受話器の向こうの声は、かなり怒りがにじんでいました。

「泣きながら帰ってきたんですよ」
「A君って、普段どんな子なんですか?トラブルが多いんですか?」
明日、必ず話を聞いてくださいね

1年生は、なにもかもが初めて。友達との距離感も、学んでいる途中です。
言葉の使い方も未熟で、思ったことをそのまま口にしてしまうこともあります。

もちろん、悪口を言われて悲しい思いをしたのであれば、きちんと話を聞く必要があります。
「分かりました。明日、子どもたちから話を聞いてみますね」
と伝え、電話を切りました。

当事者の2人を呼び出すと…

翌日、関係している子どもたちを別々に呼び、話を聞くことにしました。
両者からいっぺんに話を聞こうとすると、こじれてしまうことがあるからです。

まずは悪口を言われたというB君を呼びました。

「B君、昨日の帰り道、何かあった?」
そう聞くと、B君は不思議そうな顔をしました。

「え?なにが?」

あまりにもキョトンとしているので、こちらの方が少し拍子抜けしてしまいました。

「A君と、帰り道で言い合いになったって聞いたんだけど」
そう伝えると、

「う~ん、なんだろ?でも、もう忘れちゃった。もういいよ」

と言ってにこっと笑顔に。

泣いて帰ったと聞いていたので、角度を変えて聞き直しましたが、同じ反応でした。
悪口を言ったとされるA君についても個別で話を聞きましたが、トラブルの内容ははっきりとは分かりませんでした。

「先生、俺たち気にしてないから!」

別々に聞いても詳しい流れが見えてこなかったため、今度は2人を一緒に呼び、時系列で出来事を振り返ることにしました。

「最初に何があったの?そのあと、どんなことを言ったの?」

少しずつ話を聞いていくと、確かに帰り道で言い合いがあったことが分かりました。
お互いに強い言葉を使ってしまった場面もあったようで、気持ちの伝え方について、改めて指導をしました。

けれど、2人の表情は深刻ではありません。

「たしかに、そんなこともあったよね」
「でも、もう気にしてないよな」

と、どこかあっけらかんとした様子。

そして、最後にはこう言ったのです。
「あのさ~先生、ほんとに気にしてないから!」
「俺たち、友達だもんな!」

そう言って、2人は肩を組んでニッコリ。

さらに、

「そんなことより、休み時間がもったいないから、早く遊ばせてくれない?」

と言いながら、笑顔でグラウンドへ駆けていきました。

大人が思うより、子どもは前を向いている

その後、保護者の方には、学校で聞き取った内容に加え、すでに2人が肩を組んで笑顔で遊んでいる様子を丁寧にお伝えした結果、安心していただけました。

子どもが泣いて帰ってきたら、保護者として心配になるのは当然です。
「何かつらいことがあったのではないか」
「いじめに発展したらどうしよう」
そう感じる気持ちも、よく分かります。

一方で、子ども同士の関係は、大人が思っているよりもずっとしなやかなことがあります。

その場では本気で怒ったり、泣いたりしていても、少し時間がたつと、また同じ相手と笑って遊んでいるものです。
「さっきまでの涙は何だったのだろう」と思うほど、気持ちを切り替えていることも少なくありません。

だからこそ、子ども同士のトラブルでは、大人が結論を出すのではなく、まずは本人たちの気持ちを丁寧に聞き、受け止めることが大切なのだと思います。

あの日、肩を組んでグラウンドへ走っていった2人の後ろ姿を、今でもよく覚えています。

「先生、俺たち『しんゆう』だから!」

ちょっと笑ってしまいそうな、でもまっすぐな一言でした。
大人が深刻に受け止めていた出来事を、子どもたちはもう自分たちの力で乗り越えていたのかもしれません。

2人の姿は、子どものピュアさとたくましさを、私に教えてくれました。



ライター:みずいろ文具

関東の公立小学校で15年間、子どもたちと向き合ってきました。教室での日々を通して感じた喜びや戸惑い、子どもたちから教わったことを、今は言葉にしています。教育現場のリアルや、子どもたちの小さな成長の瞬間を、やさしい視点でお届けします。


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