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タカ・イシイギャラリー 京都にてマルタン・マルジェラによる日本初の個展を開催

  • 2026.4.22
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タカ・イシイギャラリー 京都にて、マルタン・マルジェラによる個展を開催。マルジェラにとって美術作家として日本初となる同展では、2018年から2025年の期間に制作された約14点の近作が発表されています。東京の九段ハウスで同時期に開催さている個展の情報と合わせてご紹介します。

タカ・イシイギャラリー 京都でマルタン・マルジェラの個展を開催中

Martin Margiela《TOPS & BOTTOMS(Faun/top)》2023年 (C)Martin Margiela. Courtesy of Bernier/Eliades、Photo:“We Document Art”

2008年に自身の名を冠したメゾン マルタン マルジェラ20周年ショーを機にファッション界を離れ、2009年以降は視覚表現の射程を積極的にファッションの外部へ拡張させ、ビジュアルアートに専念してきたマルタン・マルジェラ。その実践の根底にあるのは人間の身体への継続的な探究であり、古典彫刻から現代美術に至るまで身体表象を形成してきた力学を再活性化させているといいます。例えば、《Tops & Bottoms》と題された連作では、ルーヴル美術館に収蔵されている大理石彫刻に基づき、規範的な裸像を現代の下着の形状で切り出すことで下着本来の機能を反転させてその内部を露見させ、魅惑と疎外の狭間にある緊張を生み出しています。

詩的なストーリーを投げかけるマルジェラのアート作品

写真前/Martin Margiela《BARRIER Sculpture(white)》2024年、写真後Martin Margiela《BARRIER Mural (white)》2024年 (C)Martin Margiela. Courtesy of Bernier/Eliades、Photo:“We Document Art”

シュルレアリスムやポップ・アートといった歴史的なアートの潮流と共鳴するように、鋭い観察眼で日常的な物体に特別な関心を寄せ、日々の生活の中にある素材に取り組むマルジェラ。同展では、カーペットやシリコンといった特徴的なテクスチャーの素材を用いて、触れた感覚をより活性化させ、鑑賞者の注意の対象を生きた身体から物質の残余へと移行させています。《Barrier Sculpture》では、都市で一般的に見られる保護バリケードの形状をフェイクファーで覆うという意外性を持たせることで再文脈化を図り、物体の通常機能を引き上げ詩的で不可解なアート作品に仕上げています。

ミニマルでありながらも深遠に介入するマルジェラは、ありふれたものの痕跡を残したまま異様なものにつくり変えるという手法で、注意深く見ることや定期的にアップデートしていくことを問いかけます。一連の作品が示すのは、「物体の“生”は直線的でも有限でもなく、常に新たな文脈に置かれることで、変異と再活性化の可能性が開いている」ということ。マルジェラの全作品を通じて反復的に現れる“断片化”には、常に不完全性の感覚が伴い、そこから両義性と不可解性に満ちたさまざまなナラティブ(自発的な物語性)が立ち上がります。

展示空間の入口近くにある石のテーブルに置かれた作品《Black Nail Polish》は、爪のような形をしたニンフェンブルク磁器製の焼成用具5点で構成されていますが、焼成から生み出されるはずの物体は不在のまま。組み立て前のプラモデルを思わせる《Kit(Black)》もまた、まだ実現されていない完成形を想像によって投影することを促しています。

会期は5月16日まで

タカ・イシイギャラリー 京都のマルタン・マルジェラの個展は、5月16日(土)まで開催されています。見えないものや差し控えられたものに継続的に取り組み、不完全性や沈黙、存在と空虚の狭間といった捉えがたい境界に鑑賞者を導くマルジェラの作品を、ぜひ実際に体感してみてください。

マルタン・マルジェラ
会期/~2026年5月16日(土)
営業日/木~土曜日
※日~水曜日、祝祭日は定休日
時間/10:00~17:30
会場/タカ・イシイギャラリー 京都
所在地/京都府京都市下京区矢田町123
TEL/075-366-5101
予約/要。公式サイトから

九段ハウスの「MARTIN MARGIELA AT KUDAN HOUSE」は5月5日まで

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東京の九段ハウスにて開催中のマルジェラの大規模個展「MARTIN MARGIELA AT KUDAN HOUSE」は、大好評につき5月5日(火)まで会期を延長。1927年竣工の歴史的な邸宅を舞台に、数多くの作品が儚くも一時的なインスタレーションとして展開されています。

(C)Nils Edström

タカ・イシイギャラリー 京都での展示と同じく、再利用、分解、変容といったテーマへの探究を深め、平凡なものを非凡なものへと転化させた作品の数々。展示構成およびキュレーションは、全てアーティスト自身が手掛けたという同展では、コラージュや絵画、ドローイング、彫刻、アッサンブラージュ、映像といった多様な技法が紹介されています。マルジェラが大切にする「私的な空気感」が反映されている九段ハウス内の各部屋を巡りながら、親密な距離感で作品と向き合うことができます。

「MARTIN MARGIELA AT KUDAN HOUSE」
会期/~2026年5月5日(火・祝)
時間/10:00〜19:00(最終入場18:00)
※2026年4月29日(水・祝)および5月5日(火・祝)は最終入場16:00、閉館時間17:00、2026年4月30日(木):は開館時間12:00〜19:00(最終入場18:00)
会場/九段ハウス
所在地/東京都千代田区九段北1-15-9
MAIL/contact@rinartassociation.com(rin art association)
料金/¥2,500
予約/公式サイトから

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