1. トップ
  2. 恋愛
  3. 【健康診断】タトゥーで「MRI検査」が受けられない?  医師が説く5つの医療リスク&注意点とは

【健康診断】タトゥーで「MRI検査」が受けられない?  医師が説く5つの医療リスク&注意点とは

  • 2026.4.21
タトゥーがあると受けられない検査はある?(画像はイメージ)
タトゥーがあると受けられない検査はある?(画像はイメージ)

春に健康診断を受ける人は多いのではないでしょうか。そんな中、近年、ファッション感覚でタトゥーを入れる人が増えつつあります。「タトゥーがあると受けられない検査がある」という話を聞きますが、本当なのでしょうか。タトゥーが検査や健康に与える影響について、林外科・内科クリニック(福岡県宗像市)理事長で医師の林裕章さんに聞きました。

MRI検査時にやけど負う可能性も

Q.タトゥーがあると健康診断で受けられない検査はありますか。

林さん「結論から言うと、タトゥーがあるだけで通常の健康診断の大半が受けられなくなるわけではありません。日本赤十字社が献血の一定期間制限を定めていますが、これは『検査を受けられない』というより、感染対策上の運用です。ただし、MRI検査(磁気共鳴画像法)は注意が必要で、施設によっては事前申告や個別判断になります」

(1)MRI検査の制限MRIは非常に強力な磁場と電磁波を利用して体内の断面図を撮る検査です。タトゥーがある場合に以下のリスクが生じます。

・やけどのリスクタトゥーインク(特に古いもの)には、酸化鉄などの金属成分が含まれていることがあります。これがMRIの電磁波に反応して電流が流れ、局部的に発熱して皮膚にやけどを負わせる可能性があります。

・画像の乱れ(アーチファクト)金属成分が磁場を乱すため、検査画像がゆがんだり、影ができたりします。これにより、肝心の病変が見えなくなるなど、診断の精度が著しく低下します。

(2)医療現場の現状実際には、多くのタトゥーのある人はMRIを受けています。現在では、やけどのリスクを抑えたインクも登場していますが、成分を完全に証明することは難しいため、多くの医療機関では「やけどのリスクに関する同意書」の記入を求められます。

また、タトゥーの範囲が広い場合や、目の近く(アートメイク)などは、安全を優先して検査自体を断られるケースも少なくありません。

なおレントゲン、CT検査、超音波(エコー)検査、胃・大腸のカメラなどは、通常タトゥーがあっても問題なく受けられます。

Q.タトゥーを除去すれば、検査を受けられるようになりますか。

林さん「除去の方法によって異なりますが、『完全に元の状態と同じになる』とは言い切れないのが実情です。なぜなら、レーザー除去後でも皮膚内に色素成分が残る可能性があり、MRIの安全性の観点では、リスクが変わらない可能性があると指摘されています。

レーザー除去の場合、レインボーや黒のインクをレーザーで砕きますが、砕かれた微細な金属粒子は皮膚内や近くのリンパ節に残留することがあります。そのため、除去後であってもMRIで反応したり、画像にノイズが入ったりする可能性がゼロではありません。切除手術の場合、タトゥーが入っている皮膚組織ごと切り取るため、理論的に金属成分は完全に消失します。この場合は、問題なくMRI検査を受けることが可能と思われます。

一方、通常の採血、X線、CT、超音波、心電図などについては、除去の有無で受けられるかどうかが変わることは、一般にはほぼありません。問題になるとすれば、除去直後で皮膚に炎症や創がある時期に、その部位へ器具や電極を当てることを避ける、くらいです。これはタトゥーというより、皮膚が傷んでいる時期の配慮です」

Q.タトゥーを入れることによる医学的なリスクについて、教えてください。

林さん「タトゥーは単なるファッションではなく、皮膚という臓器に異物を注入する行為です。リスクは先述のMRI撮影時のやけど以外に、大きく分けて感染、アレルギー・炎症、将来の医療上の支障、除去の難しさが挙げられます」

(1)感染症のリスク衛生管理が不十分だと、B型肝炎、C型肝炎、HIVなどの血液を介した感染症のリスクがあります。また、施術部位からの細菌感染による化膿(皮膚感染症)も一般的です。一方、適切に管理された専門施設ではリスクが低いとする報告もあり、「タトゥーそのもの」より、「どこで」「どう入れたか」がかなり重要です。

(2)アレルギー反応と肉芽腫インクに含まれる水銀、コバルト、クロムなどの金属に対してアレルギー反応を起こすことがあります。数年たってから突然、タトゥーの部分が盛り上がったり、かゆくなったりする「肉芽腫(にくげしゅ)」が形成されることも珍しくありません。まれですが、サルコイドーシスのような全身性疾患との関連が問題になる症例報告もあります。

(3)皮膚がんの発見遅延タトゥーの色素によって、その部位に発生したメラノーマ(悪性黒色腫)などの皮膚がんの変化が目視で確認しづらくなります。早期発見が遅れることは、予後に大きく影響します。

(4)リンパ節への色素沈着インクの粒子は時間の経過とともにリンパ管を通じてリンパ節に運ばれます。これが原因で、がんの精密検査(PET検査など)を受けた際、リンパ節への転移と誤診されるケースが報告されています。

(5)除去の難しさそして見落とされがちなのが、除去が簡単ではないことです。レーザー除去には通常複数回の治療が必要で、出血、発赤、痛み、傷が残るなどの症状が起こり得ます。手術で除去する際には、「除去する面積分の皮膚が足りない」ことが時に問題になります。つまり、入れるより消す方が面倒で、費用も時間も皮膚も余計にかかります。

タトゥーがあるからといって全ての医療が受けられなくなるわけではありませんが、「将来的な診断の選択肢を狭める可能性がある」という点は否定できません。特にMRIは脳や関節、内臓の疾患を見つけるための非常に重要な検査です。

もし、すでにタトゥーがありMRI検査を受ける予定がある場合は、必ず事前に主治医や放射線技師に申し出てください。冷却パックで患部を冷やしながら撮影するなどの対策を講じることが可能な場合もあります。

オトナンサー編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる