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3人に1人は「生きている間に世界が終わる」と信じていた

  • 2026.4.19
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

「この世界は、自分が生きている間に終わるだろう」

そう考えている人は、みなさんの周りにどれくらいいるでしょうか。

実はこの考えは、ごく一部の極端な人だけのものではないかもしれません。

米カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)らの研究で、およそ3人に1人が「自分の生きている間に世界が終わる」と信じていることが明らかになりました。

さらに興味深いのは、この“終末観”が単なる考え方にとどまらず、私たちが地球規模の問題にどう向き合うかにまで影響している点です。

では、「世界の終わり」を信じることは、私たちの現実の判断にどんな影響を与えているのでしょうか。

研究の詳細は2026年の学術誌『Journal of Personality and Social Psychology』に2026年に掲載されています。

目次

  • 終末信念は「マイノリティー」ではない?
  • 終末観は「現実の行動」にどう影響しているのか

終末信念は「マイノリティー」ではない?

終末的な思考というと、宗教的な預言や陰謀論のような特殊な信念を思い浮かべるかもしれません。

しかし今回の研究は、そのイメージを大きく覆しました。

調査では、宗教的に多様な集団(キリスト教各派・ユダヤ教・イスラム教・無宗教など)に属する一般男女、3400人以上を対象にしています。

その結果、対象者の約3人に1人が「世界は自分の生きている間に終わる」と考えていました。

この傾向は特定の宗教や文化に限らず、さまざまな背景を持つ人々に広く見られています。

つまり終末信念は、社会の片隅にある奇妙な考えではなく、意外なほど一般的な“世界の見方”なのです。

さらに研究者たちは、この終末信念を単純な「終わるか・終わらないか」では捉えませんでした。

代わりに、次のような複数の要素に分解して分析しています。

一つは「終わりがどれくらい近いと感じるか」です。

明日にも起こると感じるのか、それとも遠い未来の話なのかで、心理的な影響は大きく変わります。

二つ目は「原因は何か」という視点です。

人間の活動が原因だと考える人もいれば、神や超自然的な力によるものだと考える人もいます。

三つ目は「自分たちにコントロールできるのか」という感覚です。

人間の努力で未来を変えられると考えるか、それともどうにもならないと感じるかによって、行動の方向は大きく変わります。

そしてもう一つ重要なのが、「終末をどう評価するか」です。

完全な破局と捉える人もいれば、何か新しい変化や再生の始まりと見る人もいるのです。

このように、終末信念は単純な恐怖ではなく、複雑な心理の組み合わせでできていることがわかりました。

終末観は「現実の行動」にどう影響しているのか

では、こうした終末信念は現実の行動にどのような影響を与えるのでしょうか。

研究の核心はここにあります。

終末信念は、気候変動や戦争、経済危機、技術リスクといった地球規模の問題に対する見方を強く左右していました。

例えば「世界の終わりが近い」と感じている人ほど、リスクをより深刻に捉え、強い対策を支持する傾向があります。

一方で、「これは神の意志であり人間にはどうにもできない」と考える人は、積極的な行動に出にくくなります。

また、「自分たちで未来を変えられる」と感じている人は行動しやすく、「終末の後には良い変化が起こる」と考える人は、リスクを受け入れつつも行動を支持するという、一見矛盾した傾向も見られました。

特に重要なのは、これらの影響が単なる知識や経験よりも強く現れる場合があるという点です。

つまり人は「どれだけ知っているか」よりも、「世界がどうなると信じているか」によって判断を左右されやすくなることがあるのです。

さらに研究は、人々が個別の問題ごとに考えているわけではないことも示しました。

私たちは気候変動、戦争、技術リスクをそれぞれ独立して評価しているように見えて、実際には「人類はどこへ向かっているのか」という一つの物語でまとめて理解しています。

このため、あるリスクを「終末的だ」と感じる人は、他のリスクも同じように捉える傾向がありました。

終末信念は、個々の問題ごとの意見というよりも、新しい情報を解釈するための“レンズ”のような役割を果たしていたのです。

この構造は、なぜ社会的な議論がしばしば、かみ合わないのかを説明します。

人々は同じデータを見ていても、前提となる「世界の見方」が異なるため、まったく違う結論にたどり着いてしまうのです。

「世界の終わり」をどう考えるかが、今の行動を決めている

「世界がどう終わるか」をめぐる考えは、遠い未来の空想のように見えるかもしれません。

しかし実際には、その信念が個々人の「今どう行動するか」に強い影響を与えています。

3人に1人が終末を身近なものとして捉えている現代において、私たちは単にデータや証拠を巡って議論しているわけではありません。

その背後にある「世界はどこへ向かうのか」という物語そのものが、すでに異なっているのです。

だからこそ、地球規模の問題を理解し、乗り越えていくためには、事実だけでなく、その奥にある人々の信念にも目を向ける必要があります。

世界の終わりをどう捉えるかは、実は未来そのものだけでなく、現在の選択をも左右しているのです。

参考文献

Believing in the End of the World
https://www.psychologytoday.com/us/blog/media-spotlight/202604/believing-in-the-end-of-the-world

元論文

End of world beliefs are common, diverse, and predict how people perceive and respond to global risks.
https://doi.org/10.1037/pspi0000519

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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