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市川染五郎、祖父&父に続く『ハムレット』挑戦 初舞台の當真あみに送るアドバイスとは?

  • 2026.4.18
(左から)當真あみ、市川染五郎 クランクイン! 写真:小川遼 width=
(左から)當真あみ、市川染五郎 クランクイン! 写真:小川遼

歌舞伎はもちろん、昨年は現代劇ドラマにも初挑戦するなど活躍の幅を広げる市川染五郎。デビューから5年、『ちはやふる-めぐり-』で主演、劇場アニメ『パリに咲くエトワール』で声優を務めるなど着実にステップアップを続ける當真あみ。若き実力派の2人が舞台『ハムレット』で共演を果たす。祖父・松本白鸚、父・松本幸四郎も演じた縁のある役に挑む染五郎と、舞台初出演となる當真、並々ならぬ思いで本作に挑む2人に名作に臨む心境を聞いた。

【写真】市川染五郎&當真あみの初々しすぎる2ショット

◆ハムレット経験のある祖父・白鸚、父・幸四郎から贈られた言葉は?

さまざまな時代、さまざまなキャストで演じられてきたシェイクスピアの4大悲劇の1つ『ハムレット』。今回は、ハムレットを“歌舞伎界のプリンス”市川染五郎、オフィーリアを當真あみがフレッシュに演じるほか、ハムレットの叔父で、父の敵となるクローディアス役に石黒賢、ハムレットの母・ガートルード役に柚香光、さらに梶原善、石川凌雅、横山賀三と人気と実力を兼ね備えた豪華な顔ぶれが集結。トニー賞に5度ノミネートされるなど、世界的に活躍する演出家、デヴィッド・ルヴォーが演出を務めることも話題を集めている。

――そうそうたる顔ぶれがそろう本作。出演のお話を聞かれた時のお気持ちはいかがでしたか?

染五郎:『ハムレット』は、以前朗読劇でやらせていただいたことがありまして。その時は13歳でしたし、坪内逍遥の古典的な難しい言葉の翻訳でなかなか理解できずに終わってしまった感じがありました。それがすごく悔しかった思い出として残っているので、リベンジではないですけど、またきっちり取り組めるということがとてもうれしかったです。祖父や父も演じており我が家に代々受け継がれてきているものでもありますので、繋いでいけるということもうれしいなと思いました。

當真:1年半くらい前にマネージャーさんに舞台の話を聞いて、「私にできるんだろうか?」とまず考えましたし、今までたくさんの方が演じていて、新しくそこに飛び込んでいくということがすごく怖いとも思いました。

だけど、この役をこのタイミングでさせていただけるというのは奇跡的な縁で、この役をやることで何かまた新しく得られることがあるんじゃないかと思ったので、ぜひ挑戦したいですとお願いしました。

出演が決まって、1年間毎日1度は舞台のことを頭に思い浮かべるくらい緊張していますが、共演させていただく皆さんがとても優しい方ばかりなので、皆さんとどんなお稽古を重ねて作品を作り上げていけるのか今はワクワクのほうが大きいです。

――白鸚さん、幸四郎さんも演じられた役ということで、何かアドバイスはありましたか?

染五郎:祖父も父もクライマックスのシーンのためにフェンシングを習ったそうで、僕もフェンシングをやらなきゃねということだけ言われました(笑)。

歌舞伎だともちろん教わって受け継がなきゃいけないので細かく教えてくれますが、歌舞伎以外のお仕事では普段からアドバイスなどはほとんどないんです。でも、今回は2人とも演じている作品ですし、自分の経験を話してくれることはあるかもしれないですね。ただ、演出も解釈も変わってくるので、アドバイスを求めるという感じではなく、稽古に入って何か発見や疑問があった時に、経験者である祖父と父にいろいろ話を聞きたいなと思っています。

――當真さんは舞台についてどなたかにお話を聞かれましたか?

當真:上白石萌音さんの舞台を拝見した時に「緊張もすると思うけど、その空気も楽しんで。最初からガチガチにならず、自分の中でいろんなことを柔軟に受け止めて楽しんだらいいんじゃないかな」と言っていただきました。松岡茉優さんも「何か気になることや不安なことがあったらなんでも聞いて!」とおっしゃってくださって、とてもうれしかったです。

ドラマや映画の現場でお会いした方々も、舞台に立たれている姿はやっぱり全く違って見えるので、お芝居のやり方をしっかり学びたいと思っています。

◆染五郎「主役にしかない責任を背負い作品の中心にいられるように」


――演じられるハムレット、オフィーリアについてどんなイメージをお持ちですか?

染五郎:デンマークにも行ってきまして、モデルとなったお城にも足を運んだのですが、こういった空間に住んでいたんだ、この中に生活というものがあったんだという感覚を味わえて不思議な気持ちになりました。役を作り上げる上でデンマークの空気感を実際に感じられたのはとても大きかったと思います。

デヴィッド・ルヴォーさんが、現代にやる意味をきっちり考えてやりたいということをおっしゃっていて。やらせていただく側としても、きっちり現代の方の心に届くものにしたいですし、何か新しい、見たことがない解釈やカラーの『ハムレット』を作っていきたいので、ルヴォーさんともお話しながら模索していけたらいいなと思ってます。

當真:オフィーリアは演じる人や見方によってすごく印象が変わってくる女性だと思います。すごく悲劇的な終わり方をする可哀想な女性だとも思いますし、彼女なりに動いた結果であって勇ましい姿にも見えるかもしれない。そういう要素をいろいろな視点から探してオフィーリアを作っていきたいです。

――染五郎さんはストレートプレイ初出演となりますが、どんな面白さがあるだろうと想像されていますか?

染五郎:映像作品ではありますが、歌舞伎だと女性も男性が演じるので、そもそも女優さんと舞台で一緒に立つというのが今まであまりなく、そこがまず新鮮ですね。海外の演出家の方に演出していただくのも初めてですし、全体的に新鮮な体験になるのだろうなと想像しています。

――座長として心がけたいこと、大切にしたいことはありますか?

染五郎:主役をやらせていただく身としては、しっかり作品全体も見て、自分のところだけではなく思ったことがあればルヴォーさんにぶつけたいなと思っています。もちろん主役だろうがそうでなかろうが熱量は一緒ですが、主役にしかない責任というものはやはりあると思うので、その部分をきっちりと背負い、稽古期間も含めてちゃんと中心にいられるようにしたいなと思っています。

◆初めての舞台を前に當真あみが市川染五郎に聞きたいこととは?


――當真さんは、染五郎さんの舞台を観劇されたそうですが、どんな感想をお持ちになりましたか?

當真:『朧の森に棲む鬼』という作品を拝見したのですが、舞台を観劇した経験があまりなかったので、こういうお芝居や作品の作り方があるんだ!ととても勉強になりました。舞台上で作られるエネルギーみたいなものが映像の作品の現場とは全く違ったので、お稽古を積み重ねてこうやっていくのかというのがすごく感じられました。自分の中でイメージができたというか、まだ何もわからないですけど、1つ自分の中に知識としてできたので、本当に観に行けてよかったなって思います。

染五郎:あの作品もシェイクスピアを基にしていますし、何か刺激になったらいいなと思っていたので、うれしいです。

――初舞台の前に、染五郎さんに聞いておきたいことはありますか?

當真:聞きたいことがありすぎて……。舞台に臨む上で何かケアされていることはありますか?

染五郎:やっぱり声は毎日使うし大事なので、気を遣っていますね。

舞台をずっとやってきて、たまに映像にも出させていただいたりしますけど、本当に声の出し方が一番違うなって感じます。舞台をメインにやってると、やっぱり映像だとどうしても声を張ってしまって。ボリュームを下げて演じると、「これで伝わってるのかな?」と不安になったりもします。あとで観るとナチュラルな感じに映っているので、そこがまだまだ自分も慣れないところなのですが、やっぱり声は大事だと思います。

ケアはそんなにしていない方だと思いますけど、出る前にはちみつを入れた白湯を飲んだり、蒸気を吸入したりはしていますね。あとは漢方が一番いいので、今度お渡しします。

當真:ありがとうございます! 皆さんいろいろなことをご存知だと思うので、たくさん聞いて回りたいと思います。

――當真さんは喉は強いほうですか?

當真:わからないです…。映像となるとあまり声を張る機会がないので…。

染五郎:歌とかは歌われないんですか?

當真:全然歌わないんです。だから喉はちょっと怖いなと思って…。

――普段から大きい声を出さないタイプなイメージがあります。

當真:そうですね。今よりももっと小っちゃかったですね。

染五郎:でも僕も、今も小さいですけど、声が小さくて、三谷幸喜さんに「図書館にいる中森明菜さんぐらい小さい」って言われたことがあります(笑)。

――(笑)。改めまして、『ハムレット』を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

當真:たくさんの方がずっと舞台で繋いでこられた作品で、私も読んだ時に最初「ちょっと硬くて難しい」というようなイメージを抱いていたんですけど、そんなことはなくて。どれだけ時間が経っても今の私たちの教訓になるような言葉がたくさん詰まっていますし、この作品を経験することによってこれからの自分の人生に対する意識も変わってくるだろうなと感じています。

観てくださる方にもそれを感じていただけるように、お芝居にもしっかり意識して臨めたらなと思っています。

染五郎:作品全体が生きていると感じていただけるような舞台にしたいです。そこに役として存在している人物がそれぞれそこに生きていないと、作品全体が死んだ作品になっちゃうというか、それだとお客様の心に届かないと思うんです。

きっちりと作品に命を吹き込むということを当たり前のことではあるのですが意識したいなと思いますし、時代設定は現代ではないし、日本のお話でもないですが、だからこそ、きっちりと日本の方にも届くようなものにしたいです。

『ハムレット』は若者の苦悩を描いた作品だと思われがちですが、実は30歳前後なんじゃないかと言われていたりもしますし、若者の苦悩・葛藤というよりも、あくまでもデンマークの王子として生まれた宿命や生まれた環境の中でどう生きればいいのかというところに悩み、葛藤する男の話、そういう解釈でおります。若いからこその危なさといったところにフォーカスするのではなく、きっちりとハムレットという人物の本質、心の部分をきっちり積み上げて作っていきたいです。年齢や国とかは関係なく、人間の本質的な部分をちゃんとお客様に表現したいと思っていますので、ぜひ劇場でご鑑賞いただけるとうれしいです。

(取材・文:渡那拳 写真:小川遼)

舞台『ハムレット』は、東京・日生劇場にて5月9日~30日、大阪・SkyシアターMBSにて6月5日~14日、愛知・名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホールにて6月20日・21日上演。

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