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「1ヶ月で10kg痩せたい」極端な食事制限を続けると…→管理栄養士が明かす、身体に起こる“想定外の異変”「飢餓状態に近い」

  • 2026.5.11
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※Google Geminiにて作成(イメージ)

「1ヶ月で10kg痩せたい!」そう思ったことはありませんか? 多くの人が挑戦する「短期間での大幅減量」ですが、実は身体にとっては大きな負担がかかっているかもしれません。無理な食事制限は、代謝の低下やリバウンドだけでなく、思わぬ体調不良を招くリスクもあります。

「なぜ、急激なダイエットは逆効果なのか?」「どうすれば健康的に体重を整えられるのか?」という疑問について、管理栄養士の工藤まりえさんに詳しく解説していただきました。正しい知識で、無理なく理想の身体を目指しましょう。

なぜ「1ヶ月で10kg減」のような急激なダイエットは危険なのか?

---短期間で一気に体重を落とそうとするダイエットが、なぜ「良くない」と言われるのでしょうか? 身体には何が起きているのですか?

工藤まりえさん:

「1ヶ月で10kg減のような急激なダイエットをするとき、多くの場合は「食事量を極端に減らす」「糖質をほぼゼロにする」「1日1食にする」といった、かなり無理のある食べ方になっています。しかし、身体からするとそれは“ダイエット”というより、“飢餓状態”に近い反応と言えます。

食べる量が急に減ると、身体は「緊急事態」と判断して、できるだけエネルギーを使わない“省エネモード”に切り替わります。すると代謝が落ちて、短期的には体重が減っても、中長期的にはどんどん痩せにくくなっていきます。

しかも、短期間で大きく体重を落とそうとすると、脂肪だけではなく筋肉もかなり減りやすくなります。筋肉は代謝を支える大事な組織なので、ここが減ると「前より食べてないのに太りやすい」という状態になりやすくなります。

さらに、ホルモンバランスも乱れやすくなります。女性の場合は、生理周期が乱れたり、無月経になったり、冷えやだるさを感じたりすることがあります。男性でも、疲れやすさや集中力低下、やる気が出ないといった変化が出ることがあります。

また、無理な食事制限が続くと、ストレスホルモンであるコルチゾールも増えやすくなります。すると睡眠の質が落ちたり、イライラしやすくなったり、「ずっと食べ物のことを考えてしまう」という状態になることも少なくありません。」

なぜ無理な食事制限は「味覚」まで変えてしまうのか?

---極端なダイエットを続けていると、食事の味が変わったり、おいしいと感じられなくなったりすることがあると聞きました。これは一体どういうことでしょうか?

工藤まりえさん:

「短期間で一気に痩せようとすると、「糖質を完全に抜く」「サラダだけで済ませる」「断食を繰り返す」といった、かなり偏った食べ方になりがちです。ですが、こうした極端な食事制限は、ホルモンバランスや体調の変化だけでなく、味覚にも大きく影響することがあります。

実際に、「味が薄く感じる」「何を食べてもおいしくない」「濃い味ばかり欲しくなる」といった変化が起こるケースは少なくありません。その背景にあるのが、偏った食事による栄養不足です。

特に不足しやすいのが亜鉛です。亜鉛は、舌にある“味蕾(みらい)”という、味を感じる細胞の再生に必要な栄養素です。しかし、極端な食事制限を続け、肉や魚、卵などを減らしすぎると不足しやすくなります。すると、味を感じるセンサー自体がうまく働かなくなり、「味がわかりにくい」と感じることがあるのです。

また、断食や極端な糖質制限では、エネルギー不足や脱水によって唾液量が減ることもあります。唾液には、食べ物の成分を舌に届ける役割があるため、口が乾くだけでも味は感じにくくなります。

さらに、無理な食事制限によるストレスも、“おいしい”と感じる感覚を鈍らせる原因になります。味覚の変化は、身体からの「栄養が足りていない」というサインの一つ。体重だけを急いで落とそうとすると、見た目以上に身体機能へ大きな負担がかかってしまうのです。」

健康的に「理想の体重」に近づくための正しいアプローチとは

---では、身体に負担をかけずに体重を整えていくには、具体的にどのような食生活を心がければよいのでしょうか?

工藤まりえさん:

「健康的に体重を整えていくうえで大前提になるのは、まず食事のバランスを整えたうえで“余分な部分を減らしていく”という考え方がとても大切です。

また、「いつまでに、どのくらい減らしたいのか」というスケジュール設定も重要です。短期間で極端に体重を落とそうとすると、どうしても無理な食事制限になりやすく、栄養不足や代謝低下、リバウンドにつながりやすくなります。健康的に減量を進めるためには、身体に負担をかけすぎないペースで取り組むことが大切です。

食事の際の工夫としては、まず第一に「たんぱく質を毎食適量入れる」ことです。肉・魚・卵・大豆製品などをしっかり摂ることで、筋肉量の低下を防ぎやすくなり、代謝維持にもつながります。朝食がパンとコーヒーだけになっている方は、ゆで卵やヨーグルトを加えるだけでも変わってきます。

次に、糖質も極端に抜かないことが大切です。ごはんやパンは完全にやめるのではなく、量を調整しながら取り入れることで、空腹感や反動食いを防ぎやすくなります。1食に握りこぶし1つ分程度を目安に摂取しましょう。

また、「空腹を我慢しすぎないこと」も意外と重要です。長時間何も食べずにいると、次の食事で一気に食欲が暴走しやすくなります。間食を完全に禁止するより、ナッツやチーズ、ゆで卵などを上手に活用したほうが、結果的に安定する方も少なくありません。

ダイエットは、「どれだけ我慢できるか」ではなく、「無理なく続けられるか」が重要です。必要な栄養をきちんと満たしたうえで、少しずつ整えていくことが、結果的に、健康的に体重を維持することにつながっていきます。」

「我慢」ではなく「習慣」へ。無理なく続けることが美しさへの近道

短期間で一気に結果を出そうとする焦りが、実は身体の機能を低下させ、ダイエットを遠ざけてしまう大きな要因でした。大切なのは「どれだけ我慢できるか」ではなく、「どれだけ無理なく続けられるか」です。

まずは毎食たんぱく質を取り入れ、極端な制限を避けることから始めてみましょう。自分の身体を大切にしながら、必要な栄養を満たし、少しずつ整えていくことこそが、結果的に理想の体重を維持するための最短ルートと言えそうです。


監修者:工藤まりえ
大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。

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