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「早くなんとかしなくては」 新千歳空港で7000人が一夜を明かしたあの日の舞台裏

  • 2026.4.7

季節はすっかり春!になってきた北海道。
札幌市内も「あんなに積もっていたのに…」気がつけば積雪ゼロ!

でも今シーズン、振り返れば北海道の「大雪」「暴風雪」に翻弄された人は多かったはず…。

冬は毎年やってくる!そして大雪もまた…。
だからこそ一緒に考えたい、あの日の裏側を取材しました。

暴風雪が突きつけた交通リスク

Sitakke

1月25日、北海道を襲った暴風雪。まだ記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
日曜日でもあったので、きっと道民だけでなく、北海道を訪れていた多くの観光・ビジネス客にとっても大変な一日でした。

この日、北海道の空の玄関口、新千歳空港は暴風雪によって大規模欠航。空港からつながる二次交通の要・JR千歳線は終日運休に…。

札幌圏の交通はほぼ麻痺状態となりました。
多くの人が移動手段を失い、札幌の交通インフラが抱える課題が一気に露呈しました。

1週間後の2月1日、札幌在住のブロガー・しょーこさん(@kotton105910)が自身のブログとSNS「X」に投稿した言葉が、多くの共感と議論を呼ぶことに。

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しょーこ@札幌クリップ@kotton105910の投稿より

この記事では、その混乱の中で空港がどのように対応していたのか、刻一刻と状況が変わる中、一丸となって奮闘した現場の舞台裏にまで迫ります。

暴風雪がもたらした「移動不能」の一日

Sitakke

この日、札幌では24時間に54センチの雪が降り、1月の観測記録を更新しました。
暴風雪の影響は広範囲に及びました。

新千歳空港では多くの便が欠航し、最大で約7,000人が空港内で夜を明かす事態に…。
飛行機で無事に空港におりたっても、その先の交通網が大きく乱れていたためです。

混乱を決定的にしたのは、札幌と空港を結ぶJR快速エアポートの終日運休でした。

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空港連絡バスは始発から運休。
JRは遅延や間引きをしながら運転を続けていたものの、午後3時から「除雪」のために運休に…。
この運休は結局「除雪が終わる」見通しがずれ込み続け、本格的な当初の予定の19時間後、26日の午後1時ごろの本格的な運転再開まで続きました。

空港は本来午後11時30分に閉館します。

しかし、運休によって行き場を失くしてしまった人のために、『緊急事態」としてターミナルビルを開放。

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ロビーには座る場所もないほど人があふれ、長時間の待機を余儀なくされました。

生活者が感じた「札幌の交通の交通課題」

札幌のブロガー・しょーこさんは2月1日、「札幌の新しい交通はどこへ向かうのか― 地下鉄延伸で解決?札幌の交通が抱える本当の課題 ―」と題した記事を出し、SNS「X」にも投稿しました。そこには、生活者としての実感が率直に綴られています。

地下鉄延伸だけでは解決できない、札幌の交通の現実。
冬の大雪、駅の使いにくさ、高齢化。
新交通も予算がなければ実現は簡単ではありません。
必要なのは“誰もが無理なく使える移動”だと思っています。

(しょーこ@札幌クリップ@kotton105910より)

しょーこさん自身、今回の暴風雪は「札幌の冬事情」というイメージとのギャップを痛感したといいます。

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「しかし、観光客が多く利用する空港アクセスはJRが運休、バスや高速道路もストップして代替手段が乏しく、その構造的な課題が一気に表面化した形です」

「道民でも予定が狂うことがあるので、旅行者の方には“北海道の冬は電車が止まることがある”と思ってほしいですね」と、そのギャップに対して警鐘を鳴らします。

7000人を支えた一夜の舞台裏

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暴風雪のあの日の裏側。
新千歳空港では、交通のまひによって空港から動けない人たちのために、昼夜を問わず対応に追われていました。

新千歳空港はじめ、道内7空港を運営する北海道エアポートは1月25日の午前9時に対策本部を立ち上げ、各部署から要員を招集。

ふだんは当日の最終便が近づくと、公共交通機関の運行状況を見ながら「この便は間に合わなそうだ」「この便ならギリギリ間に合うかもしれない」といった判断が必要になります。

しかし、この日はJRもバスも次々と運休し、状況が刻一刻と変化してその判断は格段に難しくなりました。

「公共交通の状況が判断の軸になるため、その場で最適な対応を選ぶしかないのです」(広報課担当者)

新千歳空港では、定められたルールの中で現場が状況を見ながら判断を下す体制が基本となっているということです。

「現場判断」という難しさ

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刻一刻と状況が変わる中、外は氷点下の世界。
タクシーを待つために屋外に並ぶと、体調を崩す人が出る可能性があります。

「現場の社員が、利用者をなるべく屋外で待たせないようにする形や待機列の整理など、状況を見つつ対応しました」(広報課担当者)

加えて妊婦、体調不良者、高齢者、子ども連れなど、特別な配慮が必要な利用者には会議室を開放し、寝具を配布。

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さらに閉館と共に営業終了する国内線コンビニを24時間オープンにしてもらうよう要請し、館内にいる人が飲食できる体制も整えました。

「『まず命を守る』という観点を最優先に、対応を続けました」

総務や経理なども含め、社員は総動員。
利用者はもちろん、二次交通の手配や案内のために外へ出る社員の安全面も考慮しながら対応は続きました。

対応が続いた一夜

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館内に誘導した後も、「どこにお客様に並んでいただくか」「どこで待機していただくか」など、状況に合わせた対応が続いていきます。

「スタッフはずっと緊張感を保ちつつ、最適解を模索する状況でした」(広報課担当者)

北海道エアポートでは、JRが止まった場合に備えてタクシー会社やバス会社と協定を結んでいます。
しかし今回は、千歳ではなく札幌市内の大雪によって交通網がまひしたため、タクシーもバスも千歳まで来られない状況に陥りました。

「輸送力の高いJRが止まると影響は非常に大きいのですが、それでも代替手段は考えていた。今回はその代替手段が機能しないほどの札幌圏での大雪でした」

広報担当者によると、特に胸に残っているのは、不安そうに夜を過ごす旅行者の姿でした。

「慣れない土地で困っている方々を見て、早くどうにかしなければと強く感じました。お客様が無事に目的地へ向かえるよう、できる限りのサポートを続けました」

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また旅行者の中には外国人旅行者も多くいました。
館内へ案内する際に列で人数を区切って誘導しようとしても、言語の違いもあり、十分に伝わらない場面も見られ、今後の課題となったといいます。

これに関しては、今後、外国人旅行者向けの情報発信の強化を進める予定だそうです。

札幌の「移動の未来」をどう描くか

Sitakke

暴風雪で露呈した交通の落とし穴、SNSで語られた市民の声、そして空港スタッフが支えた一夜。

一連の出来事は、「札幌の移動システムは今のままで良いのか」という問いを、私たちに投げかけています。

札幌では、地下鉄延伸や新しい交通システムとして連節バスの導入なども検討されています。
そして除排雪体制をどうしていくのかも、毎年の大きな課題です。

必要なのは、どれかひとつの対策ではなく、“誰もが無理なく移動できる都市”という当たり前の安心です。

北海道が向き合わなければいけない「雪」の問題。
自然が相手のことではありますが、その中で生活と安心をどう守るのか。

空の玄関口で、不安な一夜を明かす利用者を裏から支えた「人」の働きが見えた一方で、これからの「当たり前」をどう守るのかを考えるきっかけになりました。

<取材協力>
・北海道エアポート

・しょーこ@札幌クリップ(@kotton105910)さん(X)

<記事内画像>(注釈がないもの)
・HBC報道部より

文・取材:ゆきお

<プロフィール>
WEB編集者兼ライター。東京在住のころからSNSで道内の話題を探すのが好きで、日常生活で役立ちそうなネタを日々探索しています。
2026年3月から念願の札幌勤務に。

編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は2026年3月取材時の情報に基づきます。

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